E-Book/E-Reader 戦争の序幕
2009年 11月 9日
PCWorld誌がE-Readerトップ5を発表した (11/06/2009)。ソニーのタッチスクリーンPRS-600 (88点)が、Kindle DX (86点)、Kindle 2 (83点)を抑えて堂々の第1位。新製品の投入時期とテストが重なったため、Nookなどは選考外となったが、同誌の評価は、ハードウェアとその操作性、価格のほかに、コンテンツ、サポートするフォーマット等を含めたもの。(PRS-600のレビューはこちら)
ビジネスモデルの戦いとガジェットの戦い
PRS-600が最高点を得たのは、タッチスクリーンを採用した操作性、Kindle 2と同画面サイズでありながら300ドルに抑えた価格設定、無償コンテンツへのアクセス、Adobe ePubフォーマットのサポート、アマゾン専用でないことを加味したもの。つまり、Kindle をどう考えるかは、3G無線アクセスを介したAZW形式コンテンツへのアクセスが意味するアマゾン環境への“ロックイン”をどう考えるか、ということに帰着する。PRS-600は、直接コンテンツにアクセスできないために、ユーザー体験としてみた場合はアマゾンに劣ることは明らかだが、アマゾンだけが堅持する“ロックイン”政策を専門誌は否定的に見ているわけである。
コンピュータの世界は、ハードウェア、OS、アプリケーション、サービスが独立していく中で発展してきた。ファイル形式やDRMまで「専用」が罷り通る E-Book/E-Reader の世界は「遅れ」て見える。しかし、アマゾンのビジネスモデルは、出版物の流通(顧客)を出版社や書店よりも広汎に、徹底して把握している点に特徴がある。ユーザーが求めるものが、20世紀的な<ガジェット>よりも、iPod/iPhone のように<ハード+アプリ+コンテンツ+サービス>を総合したユーザー体験であるならば、アマゾン・モデルはむしろ先端をいくもので、「専用」環境も苦にならないことになる。アマゾンモデルは、独自の流通を持つことによって成立しているのだ。つまりKindleは、音楽業界における iPod/iPhone のように、ガジェットを超えた商品と言えるだろう。
E-Book/E-Reader は、(1) アマゾンと非アマゾンの競争、(2) 非アマゾン内の競争、という2つの世界で淘汰が進むことになろう。後者においては、Google(コンテンツ/広告)とアドビ(ファイル/DRM方式)が大きな役割を果たすことになる。しかし、ITやWebビジネスからみるとそうなのだろうが、伝統的にコンテンツを扱ってきた出版社と書店、また主役であるべき著作権者が、まだ前面に出てきていない(Barnes & Noble は Nookの発売という本業以外でスポットライトを浴びたにすぎないともいえる)。
E-Readerの出荷は今年で300万台を超えそうだが、1,000万台、5,000万台を超えるのにそう時間はかからないだろう。出版社や書店にとっての課題は、読者とのネットワークを確立できるかどうかだと思われるが、これについては別に考えたい。現在の E-Book/E-Reader 市場は、どうみてもまだ壮大なドラマの序章のように見える。とはいえ、これから1年間で、その後の数年間が決まるようにも思える。(11/08/2009、鎌田)
参考
The Best of Today’s E-Book Readers, by Yardena Arar, PC World 11/06/2009
Top 5 E-Book Readers, Edited by Liane Cassavoy, PCWorld, 11/09/2009








