情報整理の作業が予想外に多く、改めて範囲を広げたことの重みを感じています。米国、英国と日本の情報をたどっていくのは楽しい作業ですが、自分の書きたいものがなかなか進まない。当面はサーチエンジン(昔風に言うとクリアリングハウス)に徹して、世界の広がりの感覚をつかみながら、徐々に構造に入っていきたいと思います。
昨日は米国PBS放送のニュースアワーで放映された、TIMEのコラムニストで作家のレフ・グロスマンとBooksquare.comの編集長、カシア・クロージャー女史の対談(右コラムのビデオ参照)を見て刺激を受けました。市場競争を制約するものがほとんどない米国の出版市場では、紙と言わず電子と言わず価格競争が展開されています。とくにベストセラー本で激しく、これを目玉(囮)商品としたい大手スーパーや通販会社は(卸値を下回る)9ドルで販売し、専門書店に影響を与えています。書店への影響について、二人の見方は分かれます。
次はKindleやNookなどの電子書籍が読書体験をどう変えているか。クロージャーは「本や読書が話題になったこと自体がすばらしい」と肯定的に評価。グロスマンも、アマチュアも出版市場に参加すること、そしてネット環境から情報を得てそのまま本を読む(開かれた)読書体験の広がりに注目しています。Booksquare.comは、本誌のリンク先にも加え、編集長にも挨拶のメールを送りましたが、ぜひ意見を交換していきたいです。
本日整理した中では、「ソニーのLIBRIeはなぜ“日本のKindle”になれなかったのか」が、短い記事ですが面白かった。ソニーの大根田CFOは、理由として、日本の携帯中心の文化、出版業界の体質(消極性)、タイミングの読み誤りを挙げたそうですが、音楽業界では(自らがキープレイヤーだから当然ですが)比較的分かりやすかったビジネスモデルの問題を軽視したことは否めないと思います。アマゾンは10年を費やして準備し、100万台を売ってもなお採算点に達したかどうかは疑問視されています。Googleがどれだけの投資を行っているかも知られた話で、いずれも巨大なスケールのビジネスとしてアプローチしているわけです。ビジネスモデル問題は、近日中に問題提起の小論をまとめるつもりです。
一見、出版とは遠いようにみえますが、広告は出版のビジネスモデルを構成する重要な柱です。そうした意味で、米国の公正取引委員会(FTC)が20年ぶりに行った媒体広告に関する規約改訂は、今後直接間接に日本にも影響を及ぼすでしょう。広告のスペシャリスト、須田伸氏の日経ビジネスへの連載は、関係者必読だと思います。 (11/04、鎌田記)
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