ニュース有料化はどうすれば可能か
2009年 11月 16日
ボストン・コンサルティング (BCG) が10月に9ヵ国で行った調査(5,000人対象)によれば、有料オンラインニュースを利用する意志があると答えたのは、米国が48%と最低で、英、豪とともに低く、欧州では60%を超えたことが明らかになった。金額では米国で月3ドルとイタリアの7ドルの半分以下だった(NYTimes 11/15)。これではたとえ1,000万の購読者を得ても年間数億ドルにしかならない。
BCGのパートナー、ジョン・ローズによれば、支払の動機は無償コンテンツの豊富さと関係がある。英語圏の米英豪では無償コンテンツが量質ともに他国より入手しやすい、ということだ。これは有料化の判断を迫られている米国の新聞産業にとっては重大な問題となる。全国規模の数社によって市場が独占されている欧州とは異なり、細分化されている米国で有償化しても、消費者は他から情報を得ることができるからだ。皮肉なことにどの国でも、支払意志のあるのは、従来からの熱心な新聞購読者であった。
レポートは、有料化によっても新聞の収入はたいして増えないこと、しかし配布コストが安いので有料配信の利益は印刷版よりはるかに高い、と指摘している。本調査の対象は、米国のほか、英国、オーストラリア、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、ノルウェー、フィンランド。
日本の場合
今回の調査には日本は含まれていないが、おそらく欧州の非英語圏と同じパターンとなったと思われる(実際に払うかどうかは別問題だが)。有料のニュース情報を必要としているのは、情報ニーズが高い現在の新聞読者以外ではない、ということは重要だ。日本の新聞は海外のそれに比べて、情報が絞りこまれている(圧倒的に少ない)点に特徴がある。また、競合紙の間の差異もあまり目立たない。つまり、読者にとっての情報価値よりは、広告主にとっての販売力・配布網で競ってきた。オンライン時代に最も相応しくないというしかない。
新聞社が「押し紙」で圧死してしまう前に、読者と広告主にとってのバリューチェーンを再構築することが不可欠と思われる。その際、以下のようなことが検討されることになろう。
- オンラインとペーパーがほぼ同内容なら、読者の選択はどうなるか(仮説1:速報を必要とする一部の読者を除いて重複購読はしないから、電子版の読者は低迷し、ペーパー版の購読も減少傾向を続ける。)
- 新聞+独自の場合はどうか(仮説2:有償オンライン版が独自コンテンツ、サービスを充実させた場合、ペーパー版の読者は減る可能性が高い。)
- いくら払ってくれるか(仮説3:年間で5万円あまり、という新聞購読料は、収入が低迷する中では過大であり、部数(=広告費)減少は避けられない。オンライン版でも月額1,000円以上のものは成立困難と思われる。)
- どんな内容なら払うか(仮説4:オンライン版は、ハイレベルあるいはニッチコンテンツの提供と、それに対応した新しいマーケティングモデルの開拓が不可欠である)。
参考記事
About Half in U.S. Would Pay for Online News, Study Finds, Richard Perez Pena, NYTimes Online, 11/16/2009








