“ビジネスE-Reader” Que proReader
2010年 1月 9日
かねて「折り曲げデモ」で注目されていた米国のPlastic Logic社の初の製品リリースとなる、Que proReaderがCESで発表された。E-Inkとは別系統の有機高分子技術の実装製品であるだけでなく、昨年一般化した「電子書籍端末」を超えた一種の「アクティブ・ペーパー」として注目すべきだろう。すでに多くのメディアが紹介しているが、必ずしもこの重要な特徴を捉えていない。
これが「本」を超えた21世紀の紙
いわゆる電子ペーパーを実現する技術としては数種類が存在するが、現在の主流はE-Inkだ。Plastic Logic の表示技術は、同社の創業者の一人が1990年代にケンブリッジ大学のカヴェンディッシュ研究所 (Cavendish Lab)で開発したプラスチック・トランジスタ技術を使用する。これは薄いフィルムや可塑性のある素材を使った導電体で、シリコン半導体のように使え、薄いだけでなく、巨額な設備投資が必要な液晶などに比べると製造コストも圧倒的に安い。もちろん、トランジスタとするには回路幅が大きすぎるので用途は制限されるが、表示体には十分すぎる解像度が出せる。PL社は、実用化に10年以上をかけ、2008年に生産に漕ぎつけた。(図は同社サイトから)
プラスチック・トランジスタはゼロックスやモトローラ、ダウケミカル、日立、日本電気などでも研究が進んでおり、インクジェットプリンタで印刷可能な電子回路など様々な21世紀型実装製品が生まれることになろう。proReaderは、紙のように折り曲げ可能とならず、「額縁付き」でリリースされたが、見た目より軽量 (488g)で薄型 (8.4mm)に仕上がっている。大型化も容易でカラー化も可能なので、長期的にはE-Inkに替わるものとなる可能性もある。少なくとも、ビジネスユースにはより適している。
レターサイズのビジネスE-Reader、E-Book書店へもアクセス
proReaderには2つのタイプがあり、メモリと通信機能によって、4GB+WiFi ($649)と8GB+WiFi/3G ($799)のから選べる。表示は、MS Office 文書、PDF、ePub形式に対応。新聞・雑誌を表示するが、画面サイズをレターサイズ (216×279mm)の1種類としたのは「ビジネス」を強く意識したことを物語る。ビジネスマンは日常的にPDF文書を読むことが多い。液晶画面では疲労するために印刷することも少なくないから、印刷を不要とするだけで企業としても実用性は高い。操作はタッチスクリーンで行い、ボタンはHomeの一つしかない。もちろん、スクリーンを撫でて文書を動かすこともできる。表示はタテヨコ自在になる。
重要なポイントは、PCとの協調動作で、PC側ではQueをプリンタとして認識するので、PC上でドラグ&ドロップまたはプリント操作することで、ドキュメントはQueにコピーされる。またBluetoothを使ってBlackBerryから文書を移動することもできる。メールとカレンダーが付いており、これらはOutlook、Gmail、Yahoo!、Windows Liveと協調する。テクストの入力や検索は、ポップアップ式のキーボードで行う。Dviceの評価によると、ページの表示はE-Inkのリーダより若干遅いという。しかし気になるほどではない。おそらくビジネスユースだけで元は取れると思うが、3GでBarns & Nobleのオンライン書店や無料書籍のライブラリにへ接続でき、大画面の「電子書籍端末」としても使える。
proReaderは、4月中旬にB&Nストアから発売される(予約可)
参考記事
「ビジネスコミュニケーションを変えるE-Reader」 鎌田博樹、本誌、11/13/2009
「Plastic Logic、電子書籍端末「Que」を発表–価格は649ドルから」 Asahi.com/CNET Japan、01/08/2010








