Skiff/Marvellが演出するニュースリーダ技術 (1)

日本でも雑誌協会が共通フォーマット、共同オンラインショップの構築に向けて動き出しているが、米国の新聞・雑誌業界は、E-Readerやタブレットなどに組込むチップとフォーマッティング環境の開発という、かなり先端的な開発に注力している。その裏方が、SkiffとMarvellの2社。有料にせよ広告にせよ、そのテクノロジープラットフォームが業界の命運を握っている。

イントロダクション:CESの裏側

CESの喧騒の中ではあまり目を惹かなかったかもしれないが、スキッフ社 (Skiff, LLC) とマーヴェル社 (Marvell Technology Group) が1月8日に共同で発表したSkiff RDKと eReadingSoC は、かなり重要な意味を持った製品だと思われる。スキッフはハースト系のデジタルコンテンツ流通・広告プラットフォーム企業。マーベルはサンタクララのファブレス半導体メーカーで、ARMベースの低消費電力CPUをE-Readerや携帯製品に供給している。

アマゾンやGoogleに対抗するには、高性能高機能のテクノロジー・プラットフォームが鍵になる、とスキッフが考えたのは正しい。そのテクノロジーが、表示デバイスに最適化した自動レイアウト変換処理技術であり、そのためにはソフトウェアを組込んだ専用チップが鍵になること。チップのライセンスによって、Kindleの雑誌流通支配を阻止したいハーストや大手グループの意図を達成できると考えたのも、おそらく正しいだろう。やはり電子ブックの世界はテクノロジーの戦争なのだ(と筆者は考えてしまう)。

スキッフはE-Reader製品も出しているが、これはハード/ソフト/サービスとコンテンツの連携を重視した、一種のテスト/デモ環境の一部で、関係するコミュニティに対し、Skiff Service のソリューションを体験、実行してもらうことを意図している。他方のマーベルも、コアは半導体メーカーでありながら、2画面E-Readerなどユニークなガジェットも出している。スキッフと同じように、ガジェットに最適化したICデバイスを開発し、コンシューマ製品メーカーに販売するためである。マーベルは組込みソフトウェア技術に優秀なものを持っており、クアッドコアのARMチップやソフトウェアをワンチップ化して高速処理するSoC (Software on a Chip)技術を有し市場で有力な存在となっている。共同開発はシリコンバレーで行われたものとみられる。

スキッフは出版社の黒子、マーヴェルはメーカーの黒子だ。技術音痴で動きの鈍い出版社とマーケティングができない大手メーカーではなく、テクノロジーにフォーカスした優秀な企業が協調して動けば、あらゆる点でスピードが命の電子ブックビジネスに対応できるはずだ。日本にとってもよい教訓になると思われる。  (2)に続く (01/19/2010)

(本稿は連載完結まで、随時変更される可能性があります。)

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