Kindleの肩に乗って:iPadデビュー
2010年 1月 28日
iPhone以来となるアップルのガジェットが、iPadという名称で発表された。インタフェースの詳細やコンテンツのラインナップや料金プランなどが明らかにはならず、これらは今後の発表を待たなければならない。以下の記事は、Wall Street Journal などからの第一報を手早く見た限りのまとめとコメントで、分析はこれから。いずれにせよ、デジタルメディアの世界にE-Readerとタブレット、アマゾンとアップルが両極として並立する形となった。メディア産業が受身のままでオファを待つ存在でいたなら、ビッグビジネスとしての将来はないだろう。
静かなスタート:すべてはこれから
アップルのタブレットについて予想をしてきたが、名前は完全に外された。iPad、iSlate、iTabletなどの候補が巷間流されており、商標登録もなされていた。最終的にiPadという“平凡”な名称となったのは、Mac→Pod→Phone と続いた流れを重視したということだろう。価格は1,000ドルという観測が流され、筆者はデータプラン付で600、900あたりを目安に考えたが、デバイスのみの499と829に落ち着いた。AT&Tから提供される3G料金は、無制限プランで月30ドルと安くはない。(製品紹介はこちらを参照)
従来の iPhoneと iTunesストアのアプリケーションのほか、新たに iBooks ストアが大手出版社の電子書籍を最低 $4.99ドルで販売する。アマゾンの $8.99~と直接比較できるかどうかはタイトルを見ないと分からない。バッテリー寿命は10時間。ジョブズ氏によれば、サンフランシスコから東京までの機内でビデオを見続けることができるそうだ(実際に試したかどうかは分からない)。iPad は独自開発の1GHzプロセッサを搭載し、16/32/64GBの3タイプのフラッシュメモリから選択できる。CPUを独自開発とした理由は今後明らかになるだろうが、今回の最大のサプライズと言っていいかもしれない。通信は Wi-Fi、Bluetoothに標準対応。3Gは $829の機種のみ。つまり500ドル版は事実上“屋内用”ということだ。10インチというサイズを考えれば、合理的かもしれない。
昨日の発表では、出版社やメディア、ゲーム企業のトップが並んで壇上で挨拶するような派手な場面はなかった。しかし、多くの有力企業と交渉を重ねてきたわけで、これからコンテンツの中身と価格が発表されていくことになる。デモに参加した New York Times 紙のマーティン・ニーゼンホルツ (Martin Niesenholtz)、デジタル事業担当SVPは「最良の印刷物を最良のデジタル技術を融合する。これはほんの始まりに過ぎない」と述べたが、価格については触れなかった。同社は今後「高品質のマルチメディアコンテンツを提供する方法を詰めていく」という声明を出している。新聞のマルチメディア化という流れはできそうだが、これがPCと異なる特別なインタフェースを使うことになるのかどうかは、これからのテーマなのだろう。
WSJの2人の記者の記事によれば、メディア業界へのiPadのインパクトは、当面書籍産業が最も大きく、新聞や雑誌、TV、映画などにはあまり影響はないだろうという。映画は「スタートレック」の一場面を映しただけ。雑誌については言及すらなかった。ジョブズ氏はアマゾンの Kindleを称賛しつつ、だがアップルは「彼らの肩の上に立って」iPadのE-Book機能を高めていくと述べた。iTunesと同様なインタフェースでオンライン書店からダウンロードするデモを行っているが、これはビデオで見た方が良い。 (01/28/2010)
Steve Jobs Takes Gamble on New iPad, by Yukari Iwatani Kane, Wall Street Journal, 1/27/2010


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