ガラパゴスの移行戦略はMVNO=論理的垂直統合

2010年 2月 8日

NTTドコモの山田社長が iPad 向けSIMカードの販売を検討中であると表明したことは、日本でも「SIMロックフリー」の時代が近いことを思わせるものだった。クロサカ氏は「そうした大胆な動きが…保守本流であるNTTドコモから起きた」ことに「海外も含めた多くの関係者が、驚きを隠さない」と述べている。iPadへの対応がSIM自由化への一歩となるのか、あるいは物理的なロックインによらない別のモデルを模索することになるのか。クロサカ氏は、一種のOEMであるMVNOであろうと予想している。

リンク記事

「NTTドコモのiPad接近で起こる新潮流─ケータイ産業の構造に変革を促す一石となるか?」 by クロサカ タツヤ、日経ビジネスオンライン、2/4/2010 〔クロサカ タツヤのケータイ新書〕

日本型垂直統合は消滅か再編か

端末を電話会社のサービスにロックインするシステムは、インフラ主導の日本型「垂直統合モデル」の維持装置として機能してきたが、同時に“ガラパゴス日本”の象徴でもあった。もし iPadのようなコンテンツプラットフォームとセットになったガジェットが、鎖国を終わらせるきっかけとなるとすれば、大きな意義がある。欧米では、電話はフリーで情報端末はバンドルという契約が多いが、日本では逆の展開になるのだろうか。ただし、ドコモはアップル iPad というかなり特殊なサービスガジェットに限定して一種の「出島」にする可能性もないではない。iPadで10MBくらいのサイズのダウンロードが頻繁に行われるとSBMのキャパシティでは足りなくなる。iPadにとってSIMフリーは必然的な選択であり、容量の大きいドコモの「開放」は期待するところだろう。

同一サービスプラットフォームで通信サービスで競争が生まれれば、SIMロック製品を含めて価格は抑えられる。いや影響はそんなものではない。通信インフラが支配的な役割を果たす日本型モデルも相対化される。従来のケータイサービスは、iPad や Kindle などのコンテンツやアプリケーションと競争することになる。最初は「出島」だったとしても、影響は、キャリアに依存して成立しているエコシステムへの影響は大きい。それだけに簡単に進むかどうかは、ドコモの決断によるところが大きいが、おそらくドコモを含むキャリアのほうでは、すでにいくつかのシナリオを用意し、移行戦略を練っていると思われる。

クロサカ氏は、SIMロックに代わる「MVNOなどを活用した新たな垂直統合」の可能性について述べている。「インフラをサービス事業者に卸すMVNO (Mobile Virtual Network Operator) というスタイルによって、ビジネスモデルベースでの『論理的な垂直統合』を目指すのではないか。」というのである。事業機能としてはSIMロック解除のようにアンバンドル(分離・分割)しながら、高品質を売りにインフラという付加価値を回収するモデルであり、日本では例外的だが欧米ではKindleなどのメディアプラットフォームが採用している。かなり現実性が強い。ただし、同じ垂直統合でも、MVNOは基本的に“サービス事業者”中心の垂直統合で、インフラ中心の垂直型ではない。サービス事業者に対する現在のような支配力を維持するために、補足的なスキームを導入しようとするかもしれない。 (鎌田、02/08/2010)

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