「出版物の利活用推進」懇談会って一体?
2010年 3月 12日
総務省、文部科学省および経済産業省は3月10日、連名で「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」の開催を発表した。第1回は3月17日、公開(傍聴制)で行われ、記者会見も開催される予定。といって、すでに行われている「利活用」を行政としてどうしたいのかは、発表からはまったくうかがえない。こういう時には何か微妙なものが隠されているものだ。
意味不明・意図不明。でもかえって重要そう
まず背景・目的として、<出版文化を次代へ継承+国民がアクセスできる環境整備=国民の知る権利の保障→知の拡大再生産>というロジックが掲げられている。行政文書でもあるまいし、こんなところに「知る権利」が出てくるのはどうかと思う。筆者の貧弱な想像力では、どう考えてもこれと「出版文化」との間に直接的な関係があるとは思えないが、懇談会の方々はご存知なのだろう。検討内容は下記のようになっている。
(1)デジタル・ネットワーク社会における出版物の収集・保存の在り方
(2)デジタル・ネットワーク社会における出版物の円滑な利活用の在り方
(3)国民の誰もが出版物にアクセスできる環境の整備 等
またも図式化すると、出版物の<収集・保存>→<利活用>→<アクセス環境>という流れとなる。これは図書館についての懇談会なのだろうか。公共図書館と“私設図書館”ともいうべきWebサービスとの問題を取り上げようというのだろうか。それならそれでもいいが、前提となる「出版物」や「出版」の形、利用環境が大きく変化しようとしていることが考慮されているようには思えない。なんとも分かりにくくなっているのは、問題状況が示されていないからだ。何のために、どういう現実の問題を解決したいと思っているのか、という意図が示されていない。作文としては最悪だ。三省の方々には、もう少し利用者の「目線」で分かりやすく説明していただきたい。国民には「知る権利」があるのですから。
懇談会の構成は、出版関連業界を中心に、著作家団体の代表、通信企業、ネット企業、メディア研究者、著作権法専門家、図書館関係者や外国法人の代表など26名となっている。かなり漏れなく網羅されているが、あまりに「シニア」クラスであり、肩書の重みに配慮したことがうかがえる。つまり「闊達なご議論」をいただいたあとは、関係三省での調整のとおりに「粛々」と…というシナリオが想定される。だから問題を縷々述べるのが憚られているのかもしれない。これで「忌憚のないご議論」を聞いてどうするかに注目したい。政策課題や政策方針について議論するよりは利害コミュニティの「要望」を聴くというスタイルは、明らかにこの歴史的な転換期の議論としては足りないのではないかと思うからだ。(鎌田、03/11/2010)








