iPadの発売が目前に迫り、アップル・ファンとメディアは過熱するばかり。最大の注目点は、どうしても Kindle vs. iPad になってしまう。本誌はこれが「虚妄」に過ぎないと言ってきたが、米国でのプレビューに目を通した限り、そうした評価が広がりそうだ。今日のiPadは、明日のE-Readerのプロトタイプではあっても、今日のマーケットに影響を与えるものではない。ジョブズ氏はとうにご存じだが、問題は明日の市場を創造できるかどうかなのだ。
米国の電子出版コミュニティ・サイト digital book world (dbw) では、4月3日にリリースされる iPadのプレビューをE-Bookへの影響(つまりKindle vs. iPad)に絞ってダイジェストしている。アップルは特定のインフルエンサーに限定して巧みに情報をリークすることで有名だが、今回も発売前の製品の提供を受けた「選ばれた」コラムニストがすでにレビューを掲載している(“アップル記者クラブ”のようなものか)。彼らの記事は瞬時にアクセスが急増するので、悪く書きようがないはずだが、必ずしもそうではないところがおもしろい。思い通りにならないという意地があるようだ。
WSJのモスバーグ (W. Mossberg)は「新しいタイプのコンピュータ」として評価し、今日のコンピュータの機能を少なからず吸収するとしたが、E-Reader機能については、大型カラースクリーンを採用した一方、片手で持てず、読める本も少ない(45万冊の Kindle ストアに対して iPad は約6万冊)と指摘している。PCMag.comのギデオン (T. GiDeon)は、USBを欠いていることから、逆にコンピュータではなく iPod を大型化し機能を強化することを狙ったものとみた。NYTimesのポーグ (D. Pogue)は、カタログが貧弱で、屋外では読みにくく、重量は約2倍、、コンテンツは iPad専用で「これは新聞も書籍産業も助けるものではない」と断定。USA Todayのベイグ (E. Baig)は、商品としてのiPadの成功を確信しながらも、愛書家には Kindleがやさしいとして、カタログの貧弱さに加え、iPad の価格、電池寿命、重量は読書には適さないとみている。
KindleとSony Pocket Readerを愛用するChicago Sun Timesのイーナツコ (A. Ihnatko)は、価格、サイズ、電池寿命をKindleの優位として挙げ、E-Readerとしての比較では勝負にならない、とまで述べている。「数週間もつ」というKindleの電池寿命は、持ち運びが前提のE-Readerとしては最重要な要素のようだ。また259ドルのKindleには無制限の3G接続が付いているのに対して、iPad3G版はWi-Fi版より129ドル高く、月14.99ドルの接続料も追加的に必要になる。Kindle Storeの2年先行の利はかなり大きく、45万対6万は、愛書家にとっては決定的だ。もっとも iPadで Kindle StoreやBarnes & Nobleが提供を開始すればその面の不利は消失する! 結局、彼の結論は「iPad以後、400ドル以上もする電子書籍端末は犬も食わない」ということだ。彼の言うように、E-ReaderはiPadの数々の機能の一つに過ぎない。
最後にケイン (M. Cane)のブログは、iBookStoreのカテゴリとメタデータの混乱を皮肉っている。これなどはもちろん改善可能だが、本を売ってきた(ので読者を知っている)アマゾンと、本から遠いところにいたアップルの違いを物語るエピソードと言えるだろう。
dbwのゴンザレスの記事は、皮肉たっぷりに「さてこれは“キンドル・キラー”か、それともアマゾンの新しいE-Book販売チャネルか」と結んでいる。(鎌田、0403/2010)
参考:USA Todayのビデオ・レビューとアップル開発者のインタビュー
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