5月のニュース/毎日更新

enTourage eDGeという2画面E-Readerを、テキストなどの専門E-Bookとともに提供する米国のEntourage Systems(ヴァージニア州マクリーン)は、Edge Bookstoreのコンテンツを拡充する発表を連続して行った。F. A. Davis(医療・看護教科書)、Elesevier(科学、計算機等)、Wolters Kluwer Law(法律)、Encyclopaedia Britannicaの4社で、エルセヴィアは約8,000点で他は100~200点。アントゥラージ社は、ほかにも軍・情報機関用E-Bookやマグロウヒル社の専門書も扱っている。明らかにマスではなくニッチだ。

ソニー、KDDIなどが書籍配信プラットフォームで提携。Sony Reader年内発売へ

KDDI、朝日新聞社、ソニー、凸版印刷は2010年5月27日、電子書籍の配信事業を共同展開すると発表した。7月1日に事業企画会社を設立して事業内容を検討し、2010年末をめどに事業会社へ移行して商用サービスを開始する。基本的にマルチプラットフォームのコンテンツ配信を志向している。プラットフォームのほうは「一業種一社ではない」ようだが、相互運用性が損なわれない限り、競合するプラットフォームが生まれることは歓迎される。なおソニーは年末をめどにSony Readerを国内発売する。日本製(?)の第1号とすれば結構なことだ。パナソニックの再戦、カシオ、シャープ、キヤノンなどの電子辞書組の参入が待たれる(関連記事=日経新聞、05/28)。

コラボ・ジャーナリズム・プラットフォームにPublish2がNews Exchange

Collaborative Journalismを標榜する Publish2が、NYで開催中のTechCrunch主催 Disruptカンファレンスで新しいニュース配信プラットフォーム Publish2 News Exchangeを発表した。米国を中心とした世界のWebや印刷メディアに対して記事を融通するネットワークで、高額の料金を取るAP通信(日本では共同通信)などに対抗するもの。P2NXに対してAOL Small Business、DailyFinance.com、およびTechCrunchが記事を提供する意思を表明している。P2は、P2 for Journalismfor Marketingの2種類のサービスを提供している2007年創業のスタートアップ。(05/25/2010)

eBookstoreを前にボーダーズの経営陣が交替「

経営危機とリストラが続いていた米国の大手書店Bordersは5月21日、投資会社Vector Groupのベネット・ルボウ会長 (Bennett S. LeBow)が1,110万株の発行済み株式を2,500万ドルで取得し、会長に就任したことを発表した(別に3,510万株の普通株転用可能なワラントの承認を株主に要請)。去る5月7日、Kobo eReaderの6月17日発売に合わせて、eBookstore を新たに立ち上げることを発表したばかりだが、事実上の身売りと言える。ルボウ氏はタバコ企業のオーナーで知られる。少なくともE-Bookの将来性を投資家が評価したことになる。(05/23)

「漢王」もiPad追撃に名乗り

E-Readerでもタブレットでも、世界の工場である中国の勢いはすさまじい。方正とともに代表的なメーカーであるHanwan (漢王科技)は5月18日、北京で開いた発表イベントで、 iPadを意識した新製品Hanvon TouchPad B10をデビューさせた(Shanzai.com, 5/19)。Intel ULV743/1.3GhzでWindows 7を駆動する。10インチだが重量は1kg近く、電池寿命も短い(リリース)。写真は氷のリンゴを割るセレモニーに興じる劉迎建会長。なお、朝日新聞の鈴木暁子氏が劉会長にインタビューした記事(4/6)が「朝日新聞グローブ」に掲載されている。(5/20)

Open Road社初のネイティブE-Bookはドキュメンタリー

HarperCollinsの、ジェーン・フリードマン前CEOが設立した「電子出版社」Open Road Integrated Mediaが初のネイティブE-Bookを出版した。元国務省職員でテロリストとの交渉にあたったマイケル・ライス氏が経験した6つの事例を綴った『悪との交渉:テロリストと対話する時』が記念すべき一冊で、マルチメディアコンテンツを豊富に盛り込んだほか、最新の研究に基づく情報更新にも配慮しているという。同社はベストセラー作家ウィリアム・スタイロンの作品の電子版などで知られ、これまでは評価の確立した良書をリストに加えていた。(5/20)

B&Nの参入で自主出版がほぼすべてのコンテンツプラットフォームに拡大

Barnes & Nobleは、この夏に自主出版プラットフォームPubIt を立ち上げると発表した(CNET関連記事)。小出版社や個人の著作者が BN.comなどで販売するのを支援するもの。アマゾンのDigital Text Platform (DTP)や、Sony Reader StoreのDIYオプション、さらにApple/iBookStoreと提携したスタートアップのSmashwordsなどが先行しており、DIY市場も活況を呈してきた。ロイヤルティ料率など詳細は数週間以内に発表されるが、業界相場となった「7:3」の近辺になるとみられる。DRMはB&Nが提供、フォーマットはEPUB。(05/20)

アマゾンが翻訳出版事業AmazonCrossingを立上げ

アマゾンが出版事業を強化、新たにAmazonCrossingシリーズを立ち上げることを発表した。WSJMashableが報じている(5/19)ことと総合すると、非英語圏からの英訳出版を中心としたもので、同社はニッチとみている。米国出版社にとって、翻訳コスト($0.1-0.125/word以上)がネックになる分野で「訳本は儲からない」という固定観念がある。大手出版社の出版点数に占める比率も低い。グローバルに豊富なマーケティング・データを有するアマゾンには、壁を壊す自信があるようだ。なお昨年5月には、自主出版ものや出版社不採用ものを出版するAmazonEncoreもシリーズ化している。(05/20)

東書商とACCESSがiPad/iPhone用雑誌アプリ出版ビジネス

都内約600の書店で構成する東京都書店商業組合ACCESS社は、iPadやiPhoneで雑誌を閲覧できる NetFront Magazine Viewer の説明会を今月11日に開催。同社の子会社が発行する「東京カレンダー」など約10誌の雑誌アプリを6月からスタートさせ、出版各社にも参加を呼びかけることを明らかにした。両者の提携は、「ケータイ書店Booker’s」に続くもの。ACCESS社はEPUBベースのオーサリングツールとビューワを開発・提供しており、Androidベースのスマートフォンにも対応する。(関連記事=読売)。(05/18)

シナジー・ソフトウェアがEPUB出版プラットフォーム・サービスのベータ版公開

シナジー・ソフトウェアは5月17日、EPUB形式の日本語電子書籍を投稿・共有できるサービス「ePubs.jp」ベータ版を公開した(参考記事)。ePubs.jpは、日本語の電子書籍を探しているユーザーや小規模出版社の利用を想定したEPUB形式の電子書籍の投稿・共有サイト。無料のユーザー登録をすれば、オーサリングツールを使って作成したEPUB形式の電子書籍を投稿・閲覧できる。(05/18)

Plastic Logicが2012年にカラー電子ペーパー製品

独自の電子ペーパー技術を使ったE-Readerを開発する英国のPlastic Logic社は、2011年内にカラーパネルの開発を完了し、翌12年からは本格生産体制に入る計画であることを明らかにした。モノクロのQUE Pro Readerが本年6月に発売予定だが、2年余りでカラー版も登場ということになりそうだ。カラー化では、ドイツのメルク社の有機IC技術を導入、生産拠点も旧東独のドレスデンに建設した(関連記事)。(05/18)

え? Kindle 2でWebブラウジング可能に?

MobileReadなどによれば、Kindle国際版でWebブラウジングが利用可能になっていた、というユーザーからの投稿が5月10日過ぎからカナダ、ドイツ、英国、オランダなどで相次いだ。つまり、KindleのG3を使って無料(?)で使えているということ。この「現象」がファームウェアの更新の結果なのか、方針変更の結果なのか、プログラムのミスかについて、アマゾンからの公式発表はなく、メディアが照会中。「できない」ユーザーもいるが詳細は不明。K2をお持ちの方は試してみては。(05/17)

NYTimesの有料モデルは、フリーミアム+従量制限

NYTimesは、検討中のWeb有料化に関し、来年1月から「一部有償化」という形で開始することを決めたようだ。ビル・ケラー編集長が明らかにした (Venture Beat, 5/14)もので、記事による区分はせず、ベビーユーザーにのみ課金するという。印刷版の読者には無料(WSJは40c/週を徴収)で、従来の「ペイウォール」より緩い、一種のフリーミアムを使ったものとなりそうだ。メータリングモデルでは、有料と無料の境界設定が成否の鍵を握るが、詳細はなお検討中。WSJの電子版は、年間100ドル以上を支払う購読者を初年度で100万人以上確保している。NYTはトラフィックに影響を与えず、情報のコアなユーザーから徴収をはかる。(05/17)

DNPグループが図書館向け電子図書貸し出しサービス提供へ

大日本印刷 (DNP)との丸善が、図書館向けにE-Bookをインターネット経由で貸し出し可能にするサービスを開始すると日経新聞が報じた(5/16)。出版社にコンテンツデータの提供を呼び掛け、専門書等が読まれる機会を増やす、としている。データは保護され、コピー不可。現在出版社50社あまりと交渉しており、今夏には5,000冊分のデータを用意する計画。将来のE-Book流通への布石にする狙いがあるとされる。なお、DNPは丸善、ジュンク堂、図書館流通センターを経営統合して傘下に置いており、14日には新たに文教堂も加えた。(05/17)

Kindle DXの大学パイロット・プログラム失敗で分かったこと

米国の大学で行われていたKindle DX導入実験は、学生に不人気で失敗に終わったようだ、とArs Technicaがレポートしている。ヴァージニア大学ダーデン校、テキサス州立大学、プリンストン大学などでのパイロット実験で、いずれも不評だった。記事で注目されるのは、学生の個人的なツールとしては圧倒的に支持されていること。授業や研究などの場で使うには、使いやすいノート入力やファイル管理、カラーのWebブラウジング、何よりもダイナミックなアカデミックコンテンツが不可欠となるということだろう。(05/16)

Googleが不振のNexus Oneのオンライン直販を打ち切り

Ars Technica (5/14)によると、GoogleはNexus Oneのオンライン直販を打切ると発表した。通信会社のヒモつきなしでSIMフリーのスマートフォンを普及させる画期的試みだったが、無謀だった。サポートが悪く、実物に触れられず、$529の高価格…などが理由としてあげられているが、本体直販はアップルもかつて失敗している。モバイル(あるいは物理的)世界ではまだPCインターネットとは違う力学がはたらいているようだ。同じAndroid搭載機Motorolla Droidの成功やHTCの新製品などでなどでNexus Oneの運命はさらに危うくなっている。躓いた携帯は消えるしかないだろう。(05/15)

「雑誌を超えるチャレンジ」:Vanity Fairが初のiPad版発売

Vanity Fair誌が12日、初のiPadアプリ発売。$4.99で「雑誌を超えたもの」にチャレンジ。NYTimesの記事(5/11)によると、iPad版創刊号は、何が使え、何が使えないかを確認するものとなったようだ。横長と縦長の両モードで使用でき、ビデオも付いている。画像を上にテキストを下に分割表示するなどのレイアウト上の工夫も。iPad再起動時に読み終えた状態に復帰できる機能も付いている。iPad版専用広告への参加は6社。出版社にとっての問題は、iTunesからのアプリ購入者のデータが取れないこと(購読者データは電子雑誌にとって死活的な情報と考えられている)。またビデオを止めるとBGMも止まってしまうといった問題点も指摘されている。(05/15)

アドビがアップル対抗キャンペーン“We ♥ Apple”

アップル-アドビ戦争(と言われている)は激化する一方だが、アドビは13日、Flash締め出しに対する対抗キャンペーンを開始した(NYTimesおよびengadget)。広告のキャッチフレーズは“We Apple”。アップルのスポークスマンは、「Flashは標準ではない。アップルはHTML5をサポートする」とニベもないが、広告に続き、かつて1980年代にMacintosh/ PostScriptで盟友となった創業者のチャック・ゲシュキ氏が公開状を発表、ジョブズCEOが先月apple.comで展開した主張(Flashは標準でもなく、ボロだから締め出した)に反論している。重要なことは膨大なFlashコンテンツがあり、他方でHTML5はまだ固まっておらずブラウザのサポートもまちまちなことだ。この問題、意外と引き摺りそうな感じがする。(05/14)

日本でもE-Bookソーシャル・プラットフォーム

TechCrunch JapanのWebベンチャー支援イベントStartup Meeting vol.4 (4/22)で話題を呼んだSpinningWorksのQlippyが、5月14日のTechCrunch日本版で紹介されている。E-Bookをめぐるソーシャルネットワーキングをサポートする環境(ビューワ+SNSプラットフォーム)によって「読書の進化」を目ざすチャレンジに注目。(リンク記事:「Qlippyはソーシャルをつかって新しい読書体験を提案する。」TechCrunch日本語版、5/14/2010)

サイモン&シュスターの四半期決算でE-Bookが急伸

大手出版社のひとつSimon & Schuster社は、第1四半期の業績発表を行った(paidContent, 5/5)。印刷本が6%落ち込んだのに対してE-Bookを中心としたデジタルコンテンツが233%増となり、売上構成比は7.9%と大幅にアップした。印刷本の需要がE-Bookに流れたのか、それとも別の市場が生まれて落ち込みをカバーしているのかは不明だが、確実なことはデジタル化が加速していること。米国の2月までのコンテンツ出荷(IDPF発表)はすでに09年第1四半期の数字の倍を超えている。

Verizon+Google=タブレットでiPad/AT&T対抗

VerizonとGoogleが共同でタブレットを開発中とWall St. Journal紙が報じた(5/12)。両社は昨年 iPhone対抗となるMotorolla Droidの販促で間接的に協力し成功を収めている。Apple/AT&TとGoogle/Verizonの対抗関係は、スマートフォンからタブレットに拡大してきた。新しいデバイスが、すでに市場に出ているAndroid機なのか、新しいChrome OS機となるかが注目されるが、まだOSやハードウェアなどデバイスの基本仕様は明らかになっていない。

アマゾンがKindle 2.5でソーシャルネットワーキング機能を提供

アマゾンは5月7日、Kindle 2.5 Firmwareの限定提供(一般には5月末)を開始。Ars Technicaがかなり詳細に新機能をレビューしている。新たにライブラリの管理や読書に関連したソーシャルネットワーキング、パスワード保護機能などのサポートを追加したもので、かなりスマートな「コレクション」の作成・管理が可能となるほか、FacebookとTwitterを通じて、ハイライト箇所を外部世界に発信することができる。また、かねて期待されていたPDFファイルのパンとズームが可能になった。Kindleも着実に進化している。(05/10)

BookExpo America/IDPF DigitalBookがNYで開催へ (5/25-27)

BookExpo America (BEA=Reed Expo)は、5月25日から3日間、NYのジャヴィッツ・センターで開催される。約1,500の出展社が参加し、500人余の著者を招待したサイン会も開催されるが、E-Bookに関しても、IDPF Digital Book Zoneが併催され、またカンファレンスでも多くの関連テーマが取り上げられている。今年の「華」となるのは、 なんといっても伝説的女優・歌手・監督のバーブラ・ストライサンドで、今年11月に出版予定の初の著作”My Passion for Design”(Viking Press)について語ることになっている。今年の米国出版界最大の話題の一つか。

Mediabistroがデジタル自主出版のオンライントレーニング

self publishingを「自費出版」とするのはもはや適当でないので、本誌では「自主出版」を使うことにしたい。マーケティングを出発点とした<執筆・編集・製作 and/or 印刷・配信>のプロセスの一元的コントロールがE-Book時代の自主出版であるとすれば、出版社にすら全部をカバーするプロはいない。Mediabistro Self-Paced Coursesは、そうしたDIYニーズに応えたオンライン・トレーニングコースで、コンテンツの準備から販売、プロモーションまで6つのセッションで構成されている。1セッションに1週間を目安としているが、自分のペースに合わせて受講できる。価格も179ドルと、かなりリーズナブル。

Sony Dashが米国の店頭に登場。使えるアプリに高評価

1月のCESでの発表以来、注目されていた7インチタッチスクリーン式ネット端末 Sony Dashが、米国の店頭に登場し始めたが、Mobile Tech Review (4/30)の評価は星4つ。best tablet review (5/1)の評価もよい。外観はとてもスマートとはいえないデザインだが、「使える」アプリが最初から豊富に用意されて200ドル以下なのが高い評価につながっているようだ。日本人としては、どうもソニーがますます「外資系企業」のようになっているようでつらい。

webOS搭載HP “Hurricane”はタブレットに嵐を呼ぶか?

HPは4月末、Windows 7ベースのタブレットPC (Slate)プロジェクトを中止したが、同時にパーム社を買収した。パームの資産は Palm webOSであることから、SlateにwebOSを搭載する可能性が強まっていたが、LA Gadgets Examiner (5/8)によると、Hurricane (コードネーム)の時期は予想外に早く、今年第3四半期らしい。つまりSlate用に準備した筐体と主要部品を使い、Linux/WebKitベースのWeb OSを搭載した初のタブレットとしてデビューさせるというが、そんな芸当は可能なのだろうか。そしてwebOSをどうするつもりだろうか。

出版社と書店の味方、米国 Edelweiss がパートナーを拡大

Edelweissカタログに有力出版社が続々参加:オンライン書籍カタログと分析ツールを出版社と書店に対して提供する Above the Treeline LLC (ミシガン州、アナーバー)は4月27日、Perseus Books Groupが新たにEdelweiss Interactive Publisher Catalogsのパートナーとして参加したことを発表した。前日にはHoughton Mifflin、1週前にはMacmillanやも参加しており、出版社のサポートが加速している。同社は2001年に独立系書店を支援する目的で設立され、出版業界から高い評価を得ている。


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