印刷業と“電子書籍元年”(2):付加価値の可能性

2010年 7月 30日

近代的な出版は「版」に関する技術から生まれた。それはE-Bookについても同じである。印刷本における品質と機能を移行させた上で、本のコンテンツ価値を最大化するというロードマップを考えた場合、現状はまだ入口付近にいるにすぎず、機能・個性・品質が揃わないとE-Bookが独立した価値を主張できない。そこで付加価値の可能性を考えてみたい。 [続きを読む]

パワーシフト (1):ジャッカルの日

2010年 7月 29日

出版社にとって心地よいニュースではない。じつのところ、印刷本に対する影響よりもこちらのほうを怖れていたのだと思われる。しかし、それは起きてしまった。同種の出来事はすでにあったが、今回はワイリーという有力エージェンシー(literary agent)が周到に仕掛けたものだけに、比較にならない。印刷本の原出版社は著者印税の大幅引上げに応じるかどうか、厳しい判断に迫られる。 [続きを読む]

印刷業と“電子書籍元年”(1):問題提起

2010年 7月 26日

8月10日に開催する第5回研究講座「「“電子書籍元年”の中間総括-印刷業界の視点」への解題。電子出版では生産・流通・販売のいずれでも日本的特殊性が問題となるが、筆者は出版物の生産に印刷業が大きな役割を果たしていることが、長期的にみて最も重要な要因だと考えている。そこでまず、印刷業がE-Book出版の成長性と付加価値にどのように関わるかを考えてみたい。 [続きを読む]

Kindle Storeにみる価格/販売動向

2010年 7月 26日

ブログKindle Nation Dailyのスティーブン・ウィンドウォーカー (Stephen Windwalker)編集長は7月19日の記事で、 Kindle Storeの価格分析などをもとに、大手出版社が求めた「エージェンシーモデル」は早晩崩壊すると述べた。アマゾンはトップシェアを維持しつつ、業界平均 をはるかにしのぐ勢いでE-Bookを販売しており、そこでのトレンドは現在のE-Book市場の傾向を映すと思われる。(近日刊行予定の新しい週刊WebニューズレターEB Magazineテスト版のための記事。) [続きを読む]

ユーザー指向の読書環境を目ざして

2010年 7月 24日

iPadやKindleのメガストアに「コンテンツ」を提供することが電子出版はではない。電子データとなったコンテンツを可能な限り個性化・個別化することによって、読者にとっての価値を最大化することこそ、電子化の意味がある。デバイスの価格が、数10冊の印刷本ではなく、たかだか数冊の印刷本の価格になれば、質的な変化が生まれる。本の生産・流通・小売のそれぞれにおいて、アップルでもアマゾンでもない道が拓けてくる。 [続きを読む]

強まる“アマゾン出版”の影

2010年 7月 23日

米国ランダムハウス社は、英語圏を中心とした著名作家のエージェントとなっているアンドリュー・ワイリー氏 (Andrew Wylie)のワイリー・エージェンシーとの今後の関係を断絶すると表明した(07/22)。ワイリー氏が新たに電子出版社Odyssey Editionsを立上げ「直接的な競合関係」に入ったことを理由としている。Odysseyは事実上アマゾンのダミーで、まず20点を2年間Kindleで独占提供する。昨年から顕著になってきた“パワーシフト”は、強力なエージェントの参入で一気に加速することになった。日本でもおなじみの作家を並べており、ついに来るべきものが来たということだ。 [続きを読む]

E-Bookの価格問題 (1) 価格戦略の基本

2010年 7月 22日

E-Bookは紙の本と無関係に売れている。紙よりも潜在市場が大きいことは、すでにアマゾンが証明した。ならばその価格は、絶対に「紙に影響を与えない」レベルといった超消極的、退嬰的姿勢ではなく、コンテンツの価値を最大化するという戦略的観点から決定すべき時期に来ている。 [続きを読む]

第5回 研究講座「”電子書籍元年”の中間総括-印刷業界の視点」

2010年 7月 22日

【会期】 2010年8月10日(火) 13:30~16:30
【会場】 日本教育会館(東京・千代田区一ツ橋) [続きを読む]

E-Bookベンチャー(2):出版の新三位一体

2010年 7月 12日

E-Bookビジネスとは、電子的なコンテンツをつくり、iPadやKindleで提供することではない。それだけのことならば誰でもできる。誰でもできることで食っていけるほど、この世界は甘くないだろう。オンライン上で展開される「生産・流通・販売」のバリューチェーンにおける「出版」の位置は確定していないからだ。E-Bookビジネスは、コンテンツを介した著者と読者のコミュニケーションから「新しい付加価値」を創造するものである。(図はキリスト教会の三位一体概念を図にした三位一体の楯。) [続きを読む]

7月のニュース/更新

2010年 7月 1日

アマゾンは7月22日、第2四半期の決算を発表し、前年同期比で41%の増収の65.7億ドルとなったことを明らかにした。純利益も45%増(2.07億ドル)。今年前半のKindle書籍の販売は同3倍増で、Kindle上だけでなく、アプリ上での売上も同様に増えており、「一度買えばどんなデバイスでも読める」という同社のサービス戦略とともにコンテンツ販売の成長を支えているとしている。(7/25) [続きを読む]