電子出版史談:(8) 『数理科学』とOld Black Joe

日本の職人文化は世界から賞賛されてきたものだが、それはアートがあるからだ。それこそテクノロジーの進化の源泉でもある。だが残念ながら職人は仕事でしか語ってくれず、それが分かる繊細さを持った人しか聞くことができない。昔の編集者は、現場で職人と「対話」しつつ出版のアートの理解を深めることが出来た。今日「活字文化」が言われる割には、活版時代の活字と組版を省みる人は多くない。真似をするための技術であるデジタルがそこにあるというのに。(編集子解題) … [Read more...]

Kindle狂想曲のクライマックス

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「Kindle上陸」が主要日刊紙で間歇的しかし大々的に報じられるようになって半年あまり。確定的な報道のはずが、いずれもほどなく噂にまで格下げされている。噂にもいろいろあるが、米国のネイト・ホフェルダー氏は、この噂をユニコーン(想像上の獣)として扱い、バウカー社の調査を引用して、日本人はE-Bookなど要らないようだから、アマゾンも無駄なカネを使わないほうがいい、とまで言っている(The Digital reader, 04/18)。じっさい。これは異常な事態である。 … [Read more...]

職業としての出版(2.0)試論 (1):イントロ

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先日、小宮山量平さんが大往生されたが、20世紀の出版人がこの世を後にし、出版の技術的・経済的基盤が転換する中で、職業としての出版について考えてみたいと思いついた。直接のきっかけは「出版は進化せず、消え去るのみ」というクレイ・シャーキイ氏の発言だ。とりあえずは、出版がどうなるかではなく、出版で何をしたいのか、何をすべきなのかが問題なのだと思う。 … [Read more...]

Amazonとつき合う5ヵ条:(5) 価格決定法

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「いい値」で売れるのであれば、世の中には売り手ばかりになる。市場を重視する社会ではそれはない。だがいくつかの世界で「いいね」が通用する。税金、保険料、公共料金…公権力の絡む世界だ。そして出版、新聞、NHK。これらは情報を遍く行き渡らせるという「民主主義に不可欠な」役割の公共性が評価され、「チェックすべき」相手の公権力から「いいね」特権が認められている(??)。しかし、出版物は公共料金とは違う。需要の減少には勝てないのだ。 … [Read more...]

Amazonとつき合う5ヵ条:(4) ブックビジネス

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サプライチェーン・カンパニーとしてのアマゾンとそのビジネス/テクノロジーについて、あえて出版から離れたマクロな観点で解説してきた。ではこの会社が変えた21世紀(つまりデジタル中心)のブックビジネスはどのようなものか。人生の大半を20世紀に過ごしてきた筆者だが、それはすでに遠い過去であることを認めないわけにはいかない。21世紀の現実はユーザーのサービス指向とビジネスのサービス主導ということだ。サービスとは情報を意味する。モノづくり原理主義はこの国を救わない。 … [Read more...]

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Amazonとつき合う5ヵ条:(3)最強のメディア

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前回でご説明したように、アマゾンのアプローチは戦略的、長期的で、すべての事業は精密に設計され、連携している。ネットで販売可能なすべての商品を扱うが、すべては本から始まっていることに注目すべきだろう。当時は誰もが不思議がったが、これまでこの会社について書かれたものでも「なぜ本だったのか」は十分に解明されていないと思う。アマゾンの武器は何かを考えた筆者の結論。本こそがその最強の武器であり、本の販売を通じてメディア企業としての磐石の地位を獲得した。Kindleとデジタルコンテンツはその仕上げである。 … [Read more...]

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Amazonとつき合う5ヵ条:(2)相手を知る

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敵を知り己を知れば…、ということで、まずアマゾンとは何であるかを考えてみたい。筆者もこの数年頭を絞って考えてきたのだが、この会社が何をやっているかは誰もが知っていても、どういった存在であるかということは知られていないと思う。この会社はサプライチェーンのすべてにフォーカスし、それを組み直すことを価値の源泉としているのだが、それを「消費者の視点」でやることにユニークさがある。だからつねに「破壊的イノベーション」を志向することになる。立場によっては、良くも悪くも、ということだが。 … [Read more...]

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印刷書籍の市場崩壊はあるか

Incunable

米国の大手出版社を中心に、昨年の印刷本の下落とE-Bookの上昇分がほぼ見合ったことから、再び「カニバリズム」論が蒸し返されてきた。全体としての売上が維持され、利益率が向上したことで悲観論は強くないし、むしろ楽観論が強いのだが、フォレスター・リサーチのジェイムズ・マッキヴェイ副社長は、かつて音楽市場で起きたように、印刷本が近い将来(2012-13)、急激に落ち込むと警告している。筆者はまったく同意できないのだが、真剣に考えてみるべきテーマではある。 … [Read more...]

東北を遥か離れて:電子化事業への5つの疑問

quake

大震災から1周年。東北に少なからず縁のある者として、その復興には強い関心がある。そして出版のデジタル化にはこの3年ほど、それなりに取り組んできた。しかしこの2つを結びつけた今回の「緊急」事業には、残念ながら筆者の理解と想像力を超えたところがある。オープンに議論が交わされた形跡を発見できないのも気になる。どなたか、以下の疑問を氷解させ、愚問であったことを教えていただけることを期待したい。 … [Read more...]

E-Book再考 (9):読者/顧客/消費者の変貌

CS

かつて情報社会とか消費社会という言葉があった。その中身は大きく変わっているのだが、何が変わったのかは検証されておらず、漠然と同時の教科書的知識が陳腐化されて生きている。新しい現実と仮想的バリュー・チェーンを発見した企業は「常識」を破壊しつつ成長を続け、そうでない企業は漂流している。それぞれの仕方で消費者/顧客を再発見し、コンタクトできないと、勝負にならない。 … [Read more...]

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