書評:出版未来派のデジタル革命宣言

Futurist

「本の未来」について、この数年さまざまに語られている。いやコンピュータが登場して数十年、語られ続けてきた。うんざりだろう。しかし、幸いにも本書は「本の未来」を語ったものではない。著者たちは実践的立場からこの「未来」に関わってきており、本書は、出版という場で「未来」を現在として創ってきたテクノロジストのマニフェストだからだ。多くはE-Book2.0 … [Read more...]

出版の「著作隣接権」を考える(1):権利と利権

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「著作隣接権」を出版に適用する動きについて、そろそろ外国人に説明する必要が出てきたのだが、もちろん一筋縄でいく問題ではない。そこで様々な角度から論点を整理してみようということで書き始めたのが、このノート。筆者なりの結論は最後に述べたいと思うが、この種の権利を論ずる場合には、(1)国際性、普遍性、(2)技術的合理性、(3)著作権との整合性、(4)実効性(コスト/効果)、(5)ステークホルダーのコンセンサス、で評価すべきだと考えている。(鎌田) … [Read more...]

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出版の世界市場の成立と日本

Haruki_Murakami

これまで出版が国境を越えるには3つの壁があった。言語/文化、販路、そして出版活動の一切に要するオーバーヘッド・コストだ。これらの壁(リスク)を越えるには、一般的に言って出版社は小さすぎ、出版物は多様すぎる。しかし、その割には、壁を越えた多くの出版物が流入し、その中には成功した出版物が少なくないことは、需要が確かに存在すること、壁が低くなればその分、あるいはそれ以上に市場が拡大する余地があることを示している。そして壁は低くなった。その結果どうなるか。 … [Read more...]

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E-Book再考(5):本はコモディティか?

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「本はコモディティ(commodity)か?」、あるいは「アマゾン(Kindle)は本をコモディティに変えのたか?」という議論が、米国で活発だ1。要するに、需要に対して代替可能な商品を、最適な価格で提供するアマゾン流マーケティングが、出版ビジネスを(完全に)変えてしまったのではないか、という問題提起である。本は一冊一冊違う顔(個性)を持った商品であり、置換え不可能だというのが業界の常識(あるいは信念)だったので、これを認めることは、出版人にとってはショックかもしれない。しかし、われわれは事実の上に出版を再構築しなければならない。 … [Read more...]

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出版コンテンツ論 (3):サービス指向E-Book

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昨日の記事に多くのアクセスとコメントをいただいた。次回以降で、コンテンツ自体のソシアビリティを実現するモデルと出版社/編集者の仕事について考えていきたい。問題の組立て方が間違っていなければ答は見つかるはずだ、というのが筆者の信念でチャレンジしているが、ご協力いただければ幸い。そこで分かりやすくなるように図で表現してみた。本サイトが目指す “E-Book 2.0”の性格を「サービス指向E-Book」あるいはBook as a Service (BaaS)と呼ぼうと考えている。 … [Read more...]

出版コンテンツ論 (2):E-Bookのソシアビリティ

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コンテンツは社会的概念であり、コンテンツがコンテンツであるためにはコンテクストを実装する必要がある。コンテクストの提供(社会化機能)をクラウドプラットフォームに依存している現在のコンテンツの形態は、出版社にとってまったく不利なものだ。印刷本が持っていた、実体としてのオーラが失われつつある現在、出版社はE-Bookのユーザビリティを通じてソシアビリティを高め、読者との間のインタラクションを構築する必要がある。つまり本をソーシャルメディアとするのだ。 … [Read more...]

EPUB戦記(9):市場の要求とタイムリミット

turning point

前回述べたように、コンソーシアムの標準は「市場」の動き出すのを待たず、その1年以上前から(ニーズが把握できた時点で)着手されるものだ。遅すぎれば市場に出てくる製品やサービスに無視され、早すぎれば技術的環境が変わってしまうリスクが増す。EPUB3の活動が集中した2010年は、市場が動き始めており、アマゾンばかりが目立っていた2009年までとは状況が一変していた。E-Bookの標準フォーマットは重要な意味を持つようになった。 … [Read more...]

EPUB戦記(8):標準というゲームのルール

centering

筆者はOMGという国際標準化団体に関わっていたので、そこでの活動の表と裏を見る機会があり、多くを学ぶことが出来た。いちばん感銘を受けたことは、激論やごり押しや根回しといった(どこにでも見られる)風景だけではない、高い知性と公徳心を持つ人々の理性的な議論と、稀にしかお目にかかれない民主主義というものだった。そこでは言葉の壁などは、あまり問題にならない。ちゃんとした技術を持ち、目標を共有している限り、味方はつくれるのである。そうした意味では戦いは「日本対世界」といったものでは絶対にない。 … [Read more...]

EPUB戦記(7):世界標準に縦組という奇跡

CSS

EPUBは、W3Cの3標準(HTML、CSS、SVG)をベースとしているので、それらにない機能は入らない。ないものは間に合うように大急ぎでつくるしかない。それに日本と台湾でしか使われていない機能を世界標準に盛り込ませるには、相当の説得力と腕力、あるいはそれ以上のものも必要だった。奇跡とも言える1年半を見ていく前に、何をクリアする必要があったかを要約しておきたい。 … [Read more...]

EPUB戦記(6):国際標準化の舞台

ISO

EPUB3標準に縦組仕様を盛込むプロジェクトの成功のドキュメントについて、できるだけわかりやすく描くのが筆者のミッションである。中心的な役割を果たした人々の話を順次紹介していきたいが、内容は簡単にまとめられるものではないし、それを理解していただくためには、国際標準化という、あまり世間では知られていない背景について、筆者なりにまとめておく必要を感じている。個人的にも20年近く関わったが、理解が進まないことには理由がないわけではない。 … [Read more...]