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	<title>EBook2.0 Forum &#187; Editors&#8217; Note</title>
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		<title>印刷業と“電子書籍元年”(2)：付加価値の可能性</title>
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		<pubDate>Fri, 30 Jul 2010 07:35:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
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		<category><![CDATA[印刷業]]></category>

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		<description><![CDATA[近代的な出版は「版」に関する技術から生まれた。それはE-Bookについても同じである。印刷本における品質と機能を移行させた上で、本のコンテンツ価値を最大化するというロードマップを考えた場合、現状はまだ入口付近にいるにすぎ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo2.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-3722" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo2.jpg" alt="" width="90" height="80" /></a>近代的な出版は「版」に関する技術から生まれた。それはE-Bookについても同じである。印刷本における品質と機能を移行させた上で、本のコンテンツ価値を最大化するというロードマップを考えた場合、現状はまだ入口付近にいるにすぎず、機能・個性・品質が揃わないとE-Bookが独立した価値を主張できない。そこで付加価値の可能性を考えてみたい。<span id="more-3711"></span></p>
<h3>付加価値は本の構造から生まれる</h3>
<p style="padding-left: 30px;">前回は日本の電子出版における「印刷」会社の役割をお話ししましたが、E-Bookに印刷会社が関わるのは、基本的にデジタルな「版」の以下のような機能についての技術的サービスになると思われます。</p>
<ol>
<li> 表現（グラフィック）</li>
<li>活用（インタラクション）</li>
<li>管理（プロセス／コンテンツ）</li>
<li>複製（バッチおよびオンデマンドでの印刷）</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">これらは従来からやってきたことですが、これまではすべてが印刷ありきであったのに対して、E-Bookでは「版」が中心にあり、印刷は付加的なものになるということが重要です。たとえば「管理」などは印刷を前提とした裏の作業でしたが、これも（後述するように）前面に出てきます。大げさに言えば“コペルニクス的”転回が必要といえます。ビジネスモデルの変化、価格体系の変化が伴いますので、移行の方法を（業界全体として）考える必要もあるでしょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">これらに関するサービスがビジネスとして成立するには、(1) 顧客にとっての普遍的な付加価値、(2) それを実現する上での専門性という2つの要素が必要です。印刷関係の人が心配しているのは、E-Bookというものの付加価値が印刷業界にとって外のものになり、あるいは従来の専門性が役に立たなくなるのではないか、ということだと思われます。いくつかの前提が必要になりますが、E-Bookをビジネスとする上で、日本では（出版社を別とすれば？）印刷会社が最も近いところにおり、これまでの蓄積を発展させることで可能になる、と筆者は考えています。これは<span style="color: #cc0000;">本の製作は高度に技術的</span>なものであり、<span style="color: #cc0000;">デジタル化の第一段階が印刷会社で完了</span>しており、また競合となる業界（たとえばIT）が本に対する理解を獲得するのは困難があると思われるからです。</p>
<p style="padding-left: 30px;">ITは<span style="color: #0000ff;">情報</span>をデータとして扱って来ましたが、それらが持つ<span style="color: #0000ff;">意味</span>には無頓着でした。出版社は<span style="color: #0000ff;">意味</span>を扱って来ましたが、ページを内製しているところ以外は意味を<span style="color: #0000ff;">構造化</span>する技術は知りません。E-Bookにおいて日本の印刷会社が有利と思われるのは、<span style="color: #0000ff;">構造</span>を扱ってきたことです。これは世界中で日本の印刷会社だけのことなので自信を持ってよいでしょう。中西さんの言われる「創造的協調」が可能であるとすればそこだと考えられます。しかし、当然のことながら、これまで関係者の目はもっぱら印刷を前提としたレイアウトを扱う上での構造に集中してきました。そこにしか「目に見える」付加価値がなかったからです。しかし、<span style="color: #cc0000;">E-Bookの付加価値の多くは表現構造より先にある</span>のです。それは本が次のような性質を持っているからだと考えられます。</p>
<ul>
<li> 知識の構造体として、必要とする人に読まれ、体験化されることで価値を持つ</li>
<li>孤立しては存在せず、他の本や知識情報、人々の活動と結びついている</li>
</ul>
<p style="padding-left: 30px;">本を（表現を超えて）構造化することで、本の価値・使い勝手をさらに高め、コミュニケーションを豊かにすることができます。日本の印刷会社が（出版社やIT企業と協力して、あるいは単独で）この技術的サービスを提供すれば、イノベーションの主役ともなれます。情報産業における価値創造の最先端に立つと考えてよい、これからの日本が最も力を入れるべき技術分野です。とはいえ、当面のE-Bookはまず表現の問題をクリアする必要があります。順序として、そちらから入っていくことにしましょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>土台としてのページとスクリーン</h3>
<p style="padding-left: 30px;">版下製作の電子化は、電算写植などでの文字組版から始まり、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E8%A8%98%E8%BF%B0%E8%A8%80%E8%AA%9E" target="_blank">ページ記述言語</a>のPostScriptをベースとした<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/QuarkXPress" target="_blank">QuarkXPress</a>やAdobe CS/InDesignなどに代表される<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/DTP" target="_blank">DTP</a>の技術的完成でプリプレス領域を統合することにより、印刷本をターゲットとしたものとしては完了していました。振り返ってみれば、20年以上を費やしていますが、かなり奥の深い世界だったと言えます。他方でハイパーテキスト記述言語のHTMLをベースとするWeb出版は、商業出版や印刷とは関係の薄い世界で発展して、ハードウェアや通信環境の進化とともに機能と品質を高めてきました。</p>
<p style="padding-left: 30px;">現在のE-Bookは（ページ／ブック系の）DTPを背景とするPDFとWebを背景とする（リフロー系の）EPUBという2つの流れが主流になっています。前者は印刷会社にとってなじみのものですが、後者はそうでもありません。編集やデザインの考え方も大きく異なり、これをマスターすることが大きな課題となっています。ページ＝スクリーンとしてデザインできれば、それに越したことはないのですが、スクリーンは解像度もアスペクト比も異なり、印刷ページのようにデザイナーがベストと思われるもので指定できるわけではありません。E-Bookのデザインには、ベストよりはベター、トレードオフをコントロールするという発想が必要です。ブックデザインのプロの方ほど、なれるのに時間がかかるかと思います。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;"><span style="color: #009900;">E-Bookに命を吹き込む：まずは個性的な文字組みから</span></h4>
<p style="padding-left: 30px;">印刷会社はE-Bookのビジュアルを商売とすることはできるでしょうか。様々なスクリーンを持ったデバイスが登場しましたが、便宜的にほぼ以下のように分類してみます。</p>
<ol>
<li> 読書専用端末（6インチ前後のE-Ink、グレースケール）</li>
<li>大型専用端末（10インチ前後のE-Ink、グレースケール）</li>
<li>汎用タブレット（サイズは各種、中心的には9インチ前後のカラーLCD）</li>
<li>スマートフォン／PDA（3.5インチ前後カラーLCD）</li>
<li>パソコン／ネットブック（＞WXGAのカラーLCD）</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">この2年余りの米国市場での経験から言えることは、読書用のデバイスとしてはほとんど 1が中心になるということです。ところが困ったことに、このカテゴリーの日本語可能端末が登場しないうちに（あるいはLIBRIeやシグマブックが去った後が来ないうちに）3のiPadが話題をさらい、これが「本命」のような扱いをされています。携帯電話と電子辞書で市場をつくってきた<span style="color: #cc0000;">日本では、まだ本格的なE-Bookの環境ができていない</span>のです。あまりE-Bookに適したとはいえないデバイスで、（中身はともかく）出来のよくないファイルを表示しているのが現状と言えるでしょう。それを見ると、E-Bookでは単純なデータの変換しか仕事にならないのではと思えても不思議ではありません。</p>
<p style="padding-left: 30px;">しかし、少なくともここ数年を考えるならば、<span style="color: #cc0000;">リフロー系のファイル形式（EPUB／XMDF/.BOOK）を6インチ、E-Inkグレースケール、200dpi程度の専用端末に表示することを中心に考えるべき</span>でしょう。本を読む人が必要とするデバイスだからです。「本も読める」デバイスと「本を読む」ためのデバイスとは明らかに違います。専用端末をハイエンドな読書環境として育てていくのが本筋でしょう。対応の時間も十分にありそうです。</p>
<p style="padding-left: 30px;">ベースとなるのは文字組みですが、印刷本で十分経験したように、<span style="color: #cc0000;">フォント＋文字組みによる視覚表現は非常に奥深いもので、コンテンツや出版社の個性と密接な関係</span>があります。今日われわれが目にするE-Bookは無個性で粗雑な（つまり内容の価値を損ねる）ものがほとんどですが、6インチ200dpiの空間を使ってかなり高度なデザインをすることは可能です。それは印刷本の文字組みが（一定のパターンと経験則をベースに）個々のコンテンツに対応してデザインされているように、個別化・個性化されるべきで、まずそこに付加価値とビジネスの機会が生まれます。E-Bookにおける「日本の活字文化」は物理的にはそこに存在するからです。文庫・新書でさえ、出版社とシリーズによって文字組みは異なるわけで、単行本ならなおさらです。E-Bookでは文字サイズを変えられますが、重要なのはデフォルトと読者のタイプ／環境別の選択肢の合理性で、それはデバイスの機能に依存しない付加価値と言えます。</p>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookのデザインの環境はそう特別なものではありません。EPUBの場合は<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/Cascading_Style_Sheets" target="_blank">CSS</a>が基本ですが、これはWebでおなじみのものです。私は (1) 設備投資がほとんど不要、(2) 組版知識が応用可能、(3) ITの専門知識は（必ずしも）不要、であることから、これは印刷会社のビジネスになると考えていますが、Web系のCSSで日本語組版というところが唯一のハードルです。もっとも何のハードルもなければ逆に商売にはなりませんね。（鎌田、07/30/2010）</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h4 style="padding-left: 30px;">本誌関連記事</h4>
<p style="padding-left: 30px;"><a title="印刷業と“電子書籍元年”(1)：問題提起" href="../2010/07/printing-and-ebook_1/">「印刷業と“電子書籍元年”(1)：問題提起</a>」、鎌田、07/26/2010</p>
<p style="padding-left: 30px;">
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		<title>印刷業と“電子書籍元年”(1)：問題提起</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/07/printing-and-ebook_1/</link>
		<comments>http://www.ebook2forum.com/2010/07/printing-and-ebook_1/#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 26 Jul 2010 11:05:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[8月10日に開催する第5回研究講座「「“電子書籍元年”の中間総括－印刷業界の視点」への解題。電子出版では生産・流通・販売のいずれでも日本的特殊性が問題となるが、筆者は出版物の生産に印刷業が大きな役割を果たしていることが、 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo13.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-3681" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo13.jpg" alt="" width="95" height="84" /></a>8月10日に開催する<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/07/e-book2-project-seminar-5/" target="_blank">第5回研究講座「「“電子書籍元年”の中間総括－印刷業界の視点」</a>への解題。電子出版では生産・流通・販売のいずれでも日本的特殊性が問題となるが、筆者は出版物の生産に印刷業が大きな役割を果たしていることが、長期的にみて最も重要な要因だと考えている。そこでまず、印刷業がE-Book出版の成長性と付加価値にどのように関わるかを考えてみたい。<span id="more-3677"></span></p>
<h3>E-Bookにおいて出版社は必要なのか!?</h3>
<p style="padding-left: 30px;">今回は、本Forumの<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/03/ebook-and-printing-business/" target="_blank">対論シリーズ</a>でご協力いただいた<a href="http://www.nacos.com/hidehiko/hidehiko.htm" target="_blank">中西秀彦</a>をゲストにお呼びして、印刷業の視点からE-Bookを考えてみたいと考えております。中西さんのブログで<a href="http://olj.cocolog-nifty.com/weblog/2010/03/post-0618.html#comments" target="_blank">「我、電子書籍への抵抗勢力たらん」</a>と宣言しておられたのに仰天して以来のお付き合いですが、「出版社は必要なのか」という問いは強烈で、私はまだ確たる答えを持っていません。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><span style="color: #808080;"><a href="http://olj.cocolog-nifty.com/weblog/2010/07/post-6643.html"><img class="alignright size-medium wp-image-3683" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="wareden2" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/wareden2-211x300.jpg" alt="" width="148" height="210" /></a><span style="color: #333333;">「『編集』機能が低下すればするほど、また『編集』が疲弊すればするほど、印刷会社中心へと移行していく。」</span></span><span style="color: #333333;">という分析の一方で、「主導権をどこが握るかというのはそもそも『ますらお』的な発想です。私は電子書籍が本格化すれば、印刷と出版編集それに著者が対等な立場で協力し合いコンテンツをつくりだすという時代が来るのではないか…いや、来させなくてはならない。<span style="color: #333333;">」 </span></span><span style="color: #333333;">という理想を共有する一方で、まだ私はそこに至る道筋を描けていません。 （引用は「連載</span><a title="E-Bookと印刷業 (6)：デジタル時代こそ創造的協調" href="../2010/05/2010/05/ebook-and-printing-business-5-2/"><span style="color: #333333;"> </span>第6回：E-Bookと印刷業 (6)：デジタル時代こそ創造的協調」）</a></p>
<p style="padding-left: 30px;">しかし印刷会社を抜きに日本のE-Bookはあり得ないと考えております。たとえ印刷本が減ることがあっても、E-Bookの製作・出版に積極的に関わり、そこから付加価値を拡大させる形で出版を発展させていただきたい。出版は<span style="color: #cc0000;">生産・流通・販売という三位一体</span>で成立ってきました（<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/07/e-book-business-opportunities-2/" target="_self">鎌田、7/12</a>）。デジタル化は業種、メディア間の境界を取り去り、理論的にはすべてをメタな「唯一者」が実現することも可能になりました。バリューチェーンがデジタルに完結すると猛烈な競争が生まれ、統合／独占によるメガ（メタ）カンパニーに集中するのがWeb時代のビジネスの特徴です。日本の大日本印刷や凸版印刷が製作・流通プラットフォームを超えて版権ビジネスにまで乗り出すのはそれを見据えた戦略的な対応といえるでしょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">しかし、<span style="color: #cc0000;">ソフトウェア化されたデジタル時代のプラットフォームは、進化を止めることなく変容し続け</span><span style="color: #cc0000;">る</span>、という法則性がはたらいています。数億人のデータベースも、クラウドやデバイスの圧倒的シェアも、メガカンパニーの優位を保証し続けるものではありません。<span style="color: #cc0000;">新たな付加価値（意味のある多様化の原理）を発見した者が、それを実現するために構築するのがプラットフォーム</span>だからです。ITと情報ビジネスの両方に関わった者として、私は出版が付加価値の宝庫であり、ここから大小様々なプラットフォームやニッチが生まれると信じています。メガプラットフォームやその亜流がいくらでてきても、変わることはないでしょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>グーテンベルクの双子：印刷と出版</h3>
<p style="padding-left: 30px;">印刷業は伝統的な出版における生産プラットフォームを担っていました。そのプラットフォームは「ソフトウェア化」されつつあります。あと数年でデジタルが本体となり、市場のニーズに応じて印刷されるという形に移行します。しかし、生産と流通・販売が有効に結びつかなければコンテンツの価値は最大化されず、<span style="color: #cc0000;">出版の第一原因</span>であるべき生産の付加価値は、流通・小売に付属する広告に依存することになるでしょう。生産技術を担ってきた印刷会社には技術的なリーダーシップを発揮しうる余地があります。</p>
<p style="padding-left: 30px;">印刷業はさまざまな貌を持っており、製版・印刷・製本を担う出版もそのひとつにすぎません。しかも商業印刷や軽印刷など企業が出版するものを除けば、印刷会社の市場としての出版市場はたかだか1割ほどでしょう。だからE-Bookが増えて印刷会社が困る度合いは、全体としてそれほど多いわけではないでしょう。しかし出版物全体で電子化の比重が高まるとなると話は別で、印刷を中心とした構成を変え、他に活字コミュニケーションのバリューチェーンにおける付加価値を求めざるを得なくなります。印刷会社は出版社のE-Bookだけを考えているわけではありません。しかし、いずれにせよ商業的品質を必要とする出版で印刷会社の役割がなくなることはないでしょう。印刷以降が消滅しても<span style="color: #cc0000;">「版」がなくては出版は成り立たず、版づくりを印刷会社以外が担う割合も、そう増えるものでもない</span>と思われるからです。かつてDTPが登場した時と同じです。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Aldus_Manutius.jpg"><img class="size-medium wp-image-3687 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="Aldus_Manutius" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Aldus_Manutius-216x300.jpg" alt="" width="151" height="210" /></a>印刷業と出版の関わりを考える時、日本の印刷業が世界的に見てかなり特殊な存在であることを考えないわけにはいきません。外国では印刷とは &#8220;ink on paper&#8221;のみを指し、組版や製版、製本、その間で必要になる輸送などはすべて別業種の企業が行っています。用紙の手配も発注者が行うことであり、したがって出版社の発注担当者は、全行程を管理するために、個別の原価を含めて相当な専門知識を持つ必要があります。筆者も昔、カルチャーショックを受けた記憶があります。粗っぽい原稿と指定を渡せば版下をつくってもらえ、下版さえすれば全部を任せておける日本の「印刷会社」は、世界的に見てなんと稀有な、有難い存在か。E-Bookになっても、出版社から「版」への距離はそう簡単に縮まらないでしょう。<span style="color: #888888;"><span style="color: #333333;">（図は近代商業印刷技術の父にして出版人</span><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%A5%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8C%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A6%E3%82%B9" target="_blank">アルドゥス・マヌティウス</a>）</span></p>
<p style="padding-left: 30px;">グーテンベルクの可動活字と手刷り印刷の技術で出発した<span style="color: #cc0000;">欧米では、</span><span style="color: #cc0000;"><span style="color: #cc0000;">出版</span>社が印刷会社を兼ねる</span><span style="color: #cc0000;">のが一般的</span>でした。文字組版への技術的ハードルが相対的に高かったためです。ちなみに「版権」という概念も印刷＝出版社とともに生まれました。もともとは著作権に先立って「版面権」があったということになります。その後19世紀の機械化革命で、高速印刷機械技術が登場したことで非出版系の印刷業が成長し、独立した存在となりました。日本の「文明開化」は鉛活字の組版と機械印刷で始まったわけですが、出版社が日本語の活字組版を工程として持つのは技術的、経営的に困難でした。<span style="color: #cc0000;">日本の出版業は、印刷業が「版」の製作という主要機能の一部を担う形でスタートして今日に至っています</span>。</p>
<p style="padding-left: 30px;">周知のように、版の製作技術は機械式から写真式に、さらにDTPを含むデジタルに移行しましたが、リクルートやアスキーなど、移行期に誕生した出版社を除けば、版の製作を内部化したのはごく一部だったと思います。今回のE-Bookの登場においても、新興のデジタル出版社は独自の生産環境を構築して登場するでしょうが、旧出版社は今回もパスする可能性が強い。技術的なむずかしさ以上に、慣性（あるいは惰性）がはたらくからです。全体として縮小が続く印刷業の中でも、版に関わる部分では生産性も付加価値も高まっていると思います。ではどんな付加価値が考えられるでしょうか。（鎌田、07/26/2010）</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<p style="padding-left: 30px;"><a title="第5回EBook2.0研究講座" href="http://www.ebook2forum.com/2010/07/e-book2-project-seminar-5/" target="_blank"><strong>※EBook2.0研究講座：8/10(火) 「&#8221;電子書籍元年&#8221;の中間総括─印刷業界の視点」 詳細・申込</strong></a></p>
<hr />
<h4 style="padding-left: 30px;">本誌対論シリーズ＜E-Bookとデジタル時代の印刷業＞</h4>
<ul>
<li><a title="E-Bookとデジタル時代の印刷業＜解題＞" href="../2010/07/2010/03/2010/03/ebook-and-printing-business/">E-Bookとデジタル時代の印刷業＜解題＞</a></li>
<li><a title="E-Bookと印刷業 (1)：印刷業こそ先頭にいる" href="../2010/07/2010/03/2010/03/ebook-and-printing-business-1/">E-Bookと印刷業 (1)：印刷業こそ先頭にいる</a></li>
<li><a href="../2010/04/ebook-and-printing-business-2/" target="_self">E-Bookと印刷業 (2)：紙の桎梏と呪縛からの解放へ</a></li>
<li><a href="../2010/04/ebook-and-printing-business-3/" target="_self">E-Bookと印刷業 (3)：版が付加価値を生む</a></li>
<li><a href="../2010/04/ebook-and-printing-business-4/" target="_self">E-Bookと印刷業 (4)：生き残りをかけた軟着陸戦略</a></li>
<li><a href="../2010/04/ebook-and-printing-business-5/" target="_self">E-Bookと印刷業 (5)：デジタルプラットフォーム</a></li>
<li><a href="../2010/05/ebook-and-printing-business-6/" target="_self">E-Bookと印刷業 (6)：デジタル時代こそ創造的協調</a></li>
</ul>
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		<title>E-Bookベンチャー(2)：出版の新三位一体</title>
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		<pubDate>Mon, 12 Jul 2010 11:19:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[E-Bookビジネスとは、電子的なコンテンツをつくり、iPadやKindleで提供することではない。それだけのことならば誰でもできる。誰でもできることで食っていけるほど、この世界は甘くないだろう。オンライン上で展開される [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/520px-Shield-Trinity-Scutum-Fidei-English.svg_.png"><img class="alignleft size-medium wp-image-3555" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="520px-Shield-Trinity-Scutum-Fidei-English.svg" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/520px-Shield-Trinity-Scutum-Fidei-English.svg_-300x270.png" alt="" width="126" height="113" /></a>E-Bookビジネスとは、電子的なコンテンツをつくり、iPadやKindleで提供することではない。それだけのことならば誰でもできる。誰でもできることで食っていけるほど、この世界は甘くないだろう。オンライン上で展開される「生産・流通・販売」のバリューチェーンにおける「出版」の位置は確定していないからだ。E-Bookビジネスは、コンテンツを介した著者と読者のコミュニケーションから「新しい付加価値」を創造するものである。（図はキリスト教会の三位一体概念を図にした<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Shield_of_the_Trinity" target="_blank">三位一体の楯</a>。）<span id="more-3552"></span></p>
<h3>出版3業態（生産・流通・販売）のあり方が変わる</h3>
<p style="padding-left: 30px;">本のビジネスでは、つねに「生産・流通・販売」の三者が、一定の距離を置きながら共存してきた。印刷以前もそうであったし、印刷以後もそうである。著者側からすると本をつくれば完成かもしれないが、顔も知らぬ読者の手に商品として渡るには何ヵ月、時に何年にもわたる時間を要する。投資－回収のサイクルが一定しない商品を多数市場に供給しながらビジネスとして持続させるのは容易ではない。リスクのほとんどは流通と販売にあるといって過言ではないだろう。だから「金融」を含まないビジネスモデルは成り立たなかった。また流通・販売の形は価格・読者層・配送手段などによって歴史的に変化してきた。印刷革命の初期には「貸本」が販売において重要な役割を果たし、また読者層を維持し育てる上では図書館が引き続き大きな役割を果たしている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookは、直接的には生産と生産物の形（あるいは意味）を変えるものだが、本という物理的形態を取り去ることでは流通と販売のほうにより大きな影響を与える。流通と販売との距離はほとんどなくなった。E-Bookビジネスでは一見して「コンテンツ」が主役のように思えるかもしれない。オンライン書店に預けてしまえば、あとは売れるのを待つだけ？ それは完全な誤解だ。<span style="color: #cc0000;">出版社が読者の顔を知らず、書店のみが顧客を知る古典的な世界は、そのままオンラインに移行することが困難なものだ。</span></p>
<p style="padding-left: 30px;">第１に、商品は顧客がいて成り立つ。<span style="color: #cc0000;">本の商品性はカタログに載っただけでは実現しない</span>。「顧客＝読者」がつかない限りビジネスにはなっていない。<br />
第２に、数万点、数十万点のタイトルの中で、出版した本がまとまって売れるのは、奇跡とまではいえなくてもかなりの難事だ。オンライン配信業者が本気であなたの本を売ってくれる保証はまったくない。<br />
第３に、そもそも本をつくっただけでビジネスが成り立つなら、著者・編集者も含めて誰でも出版ができ、あなたの地位は安泰ではない。誰でも出版できる時代の出版者の価値を、結果で証明する必要がある。</p>
<p style="padding-left: 30px;">作品としてのコンテンツはともかく、商品としてのコンテンツが実現するのは依然として流通と販売においてであり、出版者にとってのこれらの重要性はまったく変わらない。それどころか、<span style="color: #cc0000;">E-Bookビジネスでは、</span>（よほど凝ったつくりでない限り）<span style="color: #cc0000;">出版者の価値は、むしろ流通と販売（つまりマーケティング）においてこそ問われてくる</span>といえよう。著者は出版社をまず販売能力(努力)で評価する。読者は適切な情報を与えてくれない出版社の本を買わない。数万、数十万のタイトルを持つオンライン書店で「目立つ」方法は、自分で考えるしかないのだ。逆に<span style="color: #cc0000;">流通・販売ビジネスは、出版者の位置を相対化することで自己の付加価値を最大化する</span>。顧客情報と本のメタデータを蓄積して、彼らがどんな本の「読者」となるかを（一定以上の確率で）予測可能とすれば、もはや流通・販売ビジネスが（壁のない国境を越えて）出版者となることを阻むものはない。とくに儲かりそうな本ほどそうだ。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>E-Bookビジネスは「神の座」をめぐる戦い</h3>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/200px-Trinity_knight_shield.jpg"><img class="alignright size-full wp-image-3556" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="200px-Trinity_knight_shield" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/200px-Trinity_knight_shield.jpg" alt="" width="200" height="226" /></a>重要なことは、<span style="color: #cc0000;">デジタル出版において「生産・流通・販売」の<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BD%8D%E4%B8%80%E4%BD%93" target="_blank">三位一体</a>が、補完し合う独立した三者というよりは、文字通りの神学的意味（3つの位格を持つ同一実体）に向かっている</span>ことだろう。この場合の位格とは、「言葉を出すもの」、「言葉」、そして「言葉によって伝えられる読者体験」の３つであって、言葉はコンテンツに置き換えることができるが、印刷本と違い、ネット／デバイスにおいて一つとなるので、アマゾンやアップルのように、「神」を目ざす意図を隠そうとしないビジネスモデルも登場する。それどころか、むしろ<span style="color: #cc0000;">E-Bookビジネスとは（読者にとっての）「神」の座をめぐる戦い</span>なのかもしれない。ネット環境では、それ以外の形で読者との（知的・経済的）関係を安定的に保つことは困難なのだ。いかなるプラットフォームやフォーマットも、生産・流通・販売における優位を守ってくれない（日本の出版業界にはまだこのことが理解できていない人が多い）。</p>
<p style="padding-left: 30px;">デジタル時代の出版が基本的に「生産・流通・販売」のユニークな組合せとして実現する、ということは、<span style="color: #cc0000;">もはや従来のような「出版者」「取次」「書店」の業態区分は意味を持たず、ただ「読者」との関係（バリューチェーン）において何であるかだけが意味を持つ</span>ということだろう。名は体を表さなくなるのだ。Amazon/KindleやApple/iPadは、書店であり、取次であり、出版社でさえある。「iPadで本を出す」と考える著者から見て、出版社は編集や取次なのかもしれない。じつにややこしいが、重要なのは、<span style="color: #cc0000;">これまで名もない数でしかなかった「読者」との具体的な関係</span>だ。読者との関係が薄いほど不安定になる。多くの読者を知っているアマゾンやアップルは有利な立場にあるが、しかしけっして絶対ではない。それは例えば以下のようなことを考えるだけで十分だろう。</p>
<ul>
<li> 出版（出版社のではない）市場は十分に（商業出版社が考える以上に）大きい</li>
<li> 読者はありとあらゆるところに分散している（誰でも読者になる）</li>
<li> 出版社はなお、特定分野の読者に「読ませる」能力で他をリードしている</li>
<li> 出版社にはなお、メタデータの開発・利用の機会がある</li>
<li> 出版社は安価な技術的手段で読者との直接的関係を持つことができる</li>
<li> もともと本の出版は（映画や音楽などより）多様である</li>
<li> 誰でも出版（言語コミュニケーション）の主宰者となる潜在的可能性がある</li>
</ul>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookベンチャーは、けっきょく</p>
<ol>
<li> デジタル時代の不安定なバリューチェーンにおいて新たなサービス／ビジネスモデルを目ざす</li>
<li> あるいは様々なステークホルダー（著者、編集者、出版者、取次、書店…読者）が必要とする新たな付加価値を提供する</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">ものということになる。その少なからぬ部分は、E-Bookのために生まれたものというよりは、Webビジネスのコンテクストで生まれたものであることに注意が必要だ。クラウドサービス、SNSやWebァナリティクスなどはｅコマースに汎用的なものだが、E-Bookではそれらを使いこなすことになる。ここではあまり出自にこだわらず、E-Bookビジネスにおいて意味を持つものに注目する。</p>
<p style="padding-left: 30px;">すでに注目すべき企業やサービスが現れているので、これから随時紹介していきたいが、市場のあり方は各国でかなり異なっており、国際的な展開が容易に行えそうなものと、難しそうなものもある。印刷本の出版における「生産・流通・販売」のインフラが、各国それぞれ異なる形で形成され、存在しているからである。文字組版／ページメイクにおける出版社と印刷会社の関係。流通における出版社と取次会社の関係、販売における出版社と書店の関係、取次と書店の関係は、国によってかなり異なっており、それが新しいサービスにも投影される。</p>
<p style="padding-left: 30px;">また、ベンチャー企業は基本的に、<span style="color: #cc0000;">(1) 成功してアマゾンやアップルなどに吸収される、(2) 安定したニッチを開拓する、(3) ユニークなアイデアや手法を提供し続ける</span>、という3つのタイプに分かれる。アマゾンやGoogleのような突然変異もあるが、これは分類としては考えない方がいいだろう。多くのベンチャーは、出口戦略（基本はIPOか売却）を持って活動している。よく見れば分かるが、<span style="color: #cc0000;">Webビジネスの大企業は無数の元ベンチャーを吸収しながら成長してきた</span>。そうした意味で、明日のアマゾンやアップルを知るためにも、今日のベンチャー企業を知っておくことは意味がある。大企業の創業者は社内の実験的環境で培養された技術より、市場でもまれて成長した技術を高く評価するが、技術はそれに関わる人間の一部であることを知っているからである。（つづく。鎌田、07/09/2010）</p>
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		<title>E-Bookベンチャー(1)：序</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/06/e-book-business-opportunities-1/</link>
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		<pubDate>Mon, 28 Jun 2010 07:10:36 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[E-Book]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネスモデル]]></category>

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		<description><![CDATA[中国やインドを含む多くの国で、E-Bookに関するベンチャーが起業しつつある。また多くのWebサービスが、E-Bookベンチャーを容易にしている。製作と流通における敷居が圧倒的に低いE-Bookビジネスは、“TBTF”（ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/456px-Dwarf_Japanese_Juniper_1975-2007.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-3538" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="456px-Dwarf_Japanese_Juniper,_1975-2007" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/456px-Dwarf_Japanese_Juniper_1975-2007-228x300.jpg" alt="" width="115" height="151" /></a>中国やインドを含む多くの国で、E-Bookに関するベンチャーが起業しつつある。また多くのWebサービスが、E-Bookベンチャーを容易にしている。製作と流通における敷居が圧倒的に低いE-Bookビジネスは、“TBTF”（大きすぎて潰せない）ではなく“TSTF”（小さすぎて失敗しようがない）ということが、このビジネスを魅力的なものにしている。規模の大小に関係なく、<span style="color: #cc0000;">コンテンツの価値を最大化する方</span>法を見つけさえすればいいのだ。それはたんに自主出版についてだけ言えるわけではない。ここでは可能性の一端をシリーズでご紹介していくことにしたい。まずはイントロから。<span id="more-3524"></span></p>
<h3>20世紀とともに「大企業」全盛時代は終わった</h3>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/brugel.jpg"><img class="alignright size-medium wp-image-3528" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="brugel" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/brugel-300x209.jpg" alt="" width="300" height="209" /></a>かつて<span style="color: #cc0000;">「大きな仕事」</span>をするためには大きな会社にいなければならなかった。意思決定やコミュニケーションの煩雑さなどを割り引いても、メリットは大きかったし、そもそも小さな会社では何もできなかった。大陸を馳せる自動車、大海を渡る巨船、愛用されるラジカセ、信頼されるカメラ…あるいは一流の作家やデザイナーと組んでの仕事、数百万人が読む新聞。だから「優秀な人材」は自然と大企業のもとに集まった。大企業も実質的な「社内ベンチャー」を育み、人材を無駄にすることが少なかった。だからこそ世界第2の経済大国にまでなったということだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">バブル崩壊後の最初の「失われた」10年。人々は何かが変わったと感じたが、いつかは元に戻ると信じていた。何よりも大企業は安定しており、中小零細企業が苦しんでいる時も給料の心配はなかった。人々は「大きな仕事」をするためというよりは、雇用の不安なく働くために大企業に集まった。10年が過ぎ、金融市場が活発化し、ITやWebが閉塞を打破することが期待された。しかし「IT企業」が線香花火のように上場した以外、ほとんど何も起きなかった。大企業は、既存のビジネスモデルの範囲内でしかITを使わなかった。日本の大企業の多くは入れ子状に肥大化しきった複合企業であり、21世紀現実に適応するには変えなければならないものが多すぎた。米国式「利益重視」や、戦略なき「選択と集中」、「成果主義」によって「大きな仕事」はさらに減っていった。</p>
<p style="padding-left: 30px;">21世紀に入り、大企業は「大きな仕事」を開拓するどころか、ますます「小さな仕事」を中小企業から奪っている。下請け仕事も回さなくなった。市場が縮小しあるいは海外で勝てなくなったためである。大企業を頂点とするピラミッド型の生態系はしだいに崩れ、大企業と中小企業が同じ土俵で競争しなければならなくなった。重要なことは、弱肉強食の関係が大企業内部でも進行したことである。親会社が子会社を、子会社が系列を、「上」が「下」を、「正規」が「非正規」を切り捨てる恐怖のゲームが始まってしまった。周知のように、企業社会の「強者」とは、能力のある者ではなく職階的上位者を意味する。</p>
<p style="padding-left: 30px;">リーダーシップよりボトムアップを有効に機能させてきた日本型組織は。いま最悪の逆スパイラルを描いて崩壊への道を歩んでいる。小を食って大が生き残る関係、大きな企業が「大きな仕事」を放棄する関係は（「リスクをとらないことが最大のリスク」とドラッカーが言う通り）もちろん長く続かない。現在は最後の局面だろう。第2次大戦末期の「特攻」「玉砕」は、勝つためではなく、兵隊や国民を殺して職階上の上位者が「生き残る」ために苦し紛れに考えられた「内向き」のものだった。「大きな仕事」が幻であることがばれてしまえば、組織の紐帯は急速に風化する。</p>
<p style="padding-left: 30px;">戦後の日本人は「自立」「独立」の重要性を身体で学び、「大きな仕事」を開拓していった。ソニーやホンダはその見本だが、この30年間、われわれはソフトバンクをほぼ例外として「大きな仕事」をなしとげた小企業の例を知らない。これは日本がますます窮屈な国になり、可能性を閉ざしてきたことを示している。そればかりではなく、現在では大きな会社にいても「大きな仕事」ができなくなっている。高度成長以後の数々の失敗体験を経て、会社はリスクを怖れる集団と化しており、あらゆるリスクの芽（つまりアイデア）を摘もうとする。大企業が優秀な社員の創造性を潰し、自らの未来を食い潰しているのを見るのは辛い。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>電子出版がビジネスを変え、社会を変える</h3>
<p style="padding-left: 30px;">ではこのまま原爆投下のように「行くところまで行く」しかないのだろうか。筆者はそう考えない。伝統的大企業が優位に立つことができず、社内外の創造性を動員することなしに生きられない電子出版ビジネスこそ、社会の閉塞を打破することができるとさえ考えている。コミュニケーションが変わる時、社会そのものも変わる。グーテンベルク革命のように、出版が社会を変える原動力となるはずである。それは2つの意味においてである。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;"><span style="color: #339966;">崩壊しつつある「大企業モデル」に対するオルターナティブ</span></h4>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/wwdimpact1.jpg"><img class="size-medium wp-image-3527 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="wwdimpact" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/wwdimpact1-225x300.jpg" alt="" width="225" height="300" /></a>恐竜が大型化したのと同じように、大企業が巨大化したのには理由があった。脅威に晒されることが減り、環境の変化を巨大な慣性で吸収できるからだ。巨大組織はそれじたいがネットワークであり、機動性を欠き、多くの重複部分を抱えながらも、高度成長的環境や景気循環には有効に適応した。サービス部門であれば、大企業は高い価格で受注し、下請けに外注することで自動的に高い利益を保証された。製造業でも系列に設備や在庫の調整機能を負わせることで、持続可能性は維持されてきた。</p>
<p style="padding-left: 30px;">しかし、とくに21世紀に入って以降、企業が持つ企画開発力、生産設備、営業組織、事務部門などをその規模に見合った形で発揮することは困難になってきた。垂直統合型の組織を機動的に運用するのは柔軟で機敏な戦略が必要だが、低成長時代にはそのぶんリスクも大きくなる。戦後的企業の代表とも言える富士通の悲劇は、大企業を変えることがどれだけ難しいかを示している。重要な経営的決定は、すべて（血で血を洗う）政治的問題になりかねない。こうして大企業は進化に遅れたことにより、逆走を始めるのだ。短期間に現代経営学の古典となったマイケル・ポーターの<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3" target="_blank">バリューチェーン</a>理論の優れた点は、市場の側からみた企業の競争力についての分析的、システム的理解を可能とした点にあるのだが、これは日本の大企業に導入するには困難なものだった。日本のように盲目的に肥大化した複合型の大企業がグローバル化した市場で競争優位の戦略をとりうる可能性は、それこそラクダが針の穴をくぐるより難しい。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/v-chain3.jpg"><img class="size-full wp-image-3534 alignright" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="v-chain" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/v-chain3.jpg" alt="" width="200" height="124" /></a>電子出版は大企業を必要としない。バリューチェーンにおける主活動／支援活動の多く（場合によってはすべて）をアウトソースし、「ユーザーにとってのコンテンツ（読書体験）の価値を最大化する」ことに集中することができる。製造設備はおろか経験もないアマゾンがKindleで初めてハードウェアに進出したように、バリューチェーンの構成はいくらでも大胆に描ける。零細出版社の立場で考えれば、Web上のSaaS／クラウド・コンピューティングを（従量制で）利用して、先端的な顧客管理、マーケティング、決済システムなどを（創業時には）無視しうるコストで「構築」できるわけだ。中途半端に自社のシステムなど持っていればこうはいかない。E-Book関連のビジネスは、小規模の企業に向いている。「大きな仕事」がローリスクでできるのだ。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;"><span style="color: #339966;">新しいビジネスと社会活動の前提となるコミュニケーションを普及</span></h4>
<p style="padding-left: 30px;">電子出版は、出版を通じてビジネス、教育、研究開発などの実用的なコミュニケーションで読者に直接的価値をもたらす点に（今日最大の）意義がある。有閑身分でない限り、本を読むことの原点は、人生や仕事に役立ち、知識や技能を高めて雇用を増やし給料を上げることであり、具体的成果を実感することで本への需要は高まる。この20年間、日本で縮小を続けたのは本や雑誌の市場だけではなく、自動車も、衣料品も（通信料以外）のほぼすべての市場に共通している。単純に日本人が（相対的にも絶対的にも）貧しくなったのであって、この構造的貧困化の事実を認めない限り、経済の回復はない。出版は経済を先導できるのにしていないのだ。それだけ日本全体が「大企業病」に罹っているということだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">電子出版とそれを中心としたビジネスは、最低のコストで（事業者にもユーザーにも）最高の効果をもたらしうる。とくに経済活動、社会活動の前提となるスキルとチームコミュニケーションを高めるのだが、それは商業出版だけでなく、企業出版や教育ビジネスも含めて考えることで実現するだろう。米国の工学系名門大学では、優秀な学生ほど大企業に入らない。「大きな仕事」がしたいからである。大企業も起業経験者を採用する。「大きな仕事」を知っているからである。日本の場合、そうした動きはまず出版の周辺から始まる可能性がある。これから冗談ではないことを示したいと思う。（鎌田、06/28/2010）</p>
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		<title>機械思考と論理思考：ゲシュタルト崩壊を超えて</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/06/mechanical-or-logical-approach/</link>
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		<pubDate>Sat, 26 Jun 2010 16:35:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[イノベーション]]></category>
		<category><![CDATA[フォーマット]]></category>

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		<description><![CDATA[知識コミュニケーションとしての出版は、本質的にモノよりソフトウェアのビジネスに近いのだが、数世紀続いた機械印刷パラダイムのもとで、人々はよい本をつくる「製造」業と錯覚してきた。E-Bookは出版がソフトウェアに近づいたこ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/lightbulb-idea.jpg"><img class="size-thumbnail wp-image-3520 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="lightbulb-idea" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/lightbulb-idea-150x150.jpg" alt="" width="105" height="105" /></a>知識コミュニケーションとしての出版は、本質的にモノよりソフトウェアのビジネスに近いのだが、数世紀続いた機械印刷パラダイムのもとで、人々はよい本をつくる「製造」業と錯覚してきた。E-Bookは出版がソフトウェアに近づいたことにほかならないが、そのことの理解は容易ではない。E-Bookに対する日本の関係の戸惑いと見当違いは、すべてを光輝あるモノづくりのメタファーで理解しようとするゲシュタルトからきているのだと思う。しかし、これを乗り越えなければ日本の出版の明日はない。<span id="more-3508"></span></p>
<h3>個がシステムをデザインできるソフトウェア・パラダイム</h3>
<p style="padding-left: 30px;">本は機械技術の、E-Bookはソフトウェア技術の産物だが、機械とソフトウェアは性格的にかなり異なる。最大の違いはこういうことだろう。機械は大規模複雑になるほど、設計も製造も個人の手には負えなくなるのに対して、ソフトウェアにはそうした限界がない。もちろん、ソフトウェアの複雑化は著しく、数千万行のコードのシステムもあり、Windowsのように、千人以上がコードのメンテナンスのために働いている製品もめずらしくはない。これなどは機械工業に匹敵する。だが、こうした複雑化によっても、個人の創造性の余地はまったく減ることはなかった。それは<span style="color: #cc0000;">オープンスタンダード</span>と<span style="color: #cc0000;">オープンソース</span>によって実装における複雑性をいとも簡単に乗り越えることができるからだ。ただしこれらを効果的に使うには<span style="color: #cc0000;">抽象化能力</span>に優れた<span style="color: #cc0000;">個人</span>を必要とする。</p>
<p style="padding-left: 30px;">抽象化能力は論理思考、数量化思考とイコールだが、米国は偉大な人材を生み、育て、受け容れて存分に活躍できる場を提供することで最大のソフトウェア産業とWebビジネスを築いた。日本は逆に、学校教育で抽象化能力を退化させ、この「異能」者を隔離して実社会での権力を与えなかった。日本は組織による「ものづくり(製造)」を神格化したが、米国は個人による「システムづくり(デザイン)」を神格化した。優劣の問題ではないが、ビジネスにおいてより柔軟なシステムが要求されるようになった1990年代以降、日本の社会システムはテクノロジー・パラダイムの変化に遅れ始め、逆に社会システム（中心的にはカイシャ）を護るために硬直性を強めている。最近ではインドと中国という、論理に強い国が台頭し、短期間に日本を抜き去った。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/hammer.png"><img class="alignleft size-thumbnail wp-image-3517" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="hammer" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/hammer-150x150.png" alt="" width="150" height="150" /></a>E-Bookビジネスにおける構図も、こうした状況を反映しているように思える。<span style="color: #339966;">「金槌しか持たない人間には、万事が釘のように見えてくる」</span>というのは、有名な<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Abraham_Maslow" target="_blank">エイブラハム・マズロウ</a>の金言だが、「機械」パラダイムで育った日本の大企業は、いまだにE-Bookを機械システムの一部のように扱おうとしている。早い時期から始められた電子書籍／電子出版は、まさに「機械思考」の産物であり、コンテンツは大メーカーと通信企業が提供する高価で複雑なシステムにとっての原材料ようなものと考えられていた。想定された読者は、受身の消費者であり、彼らとの接点は「購入」に限られていた。いかに優れたE-Readerを製造しても、いかに美しい文字を表現しても、それは紙に及ばない。書評を読んだり、人と会話したり、本屋に行くことから始まる<span style="color: #cc0000;">読書体験</span>を構成する要素が全く考えられていなかったからだ（電子辞書は例外だったがそう考えた人は少なかった）。</p>
<p style="padding-left: 30px;">アマゾンKindleの成功は「読書体験」を抽象化し、Web上で再構成したところにあった。日本の出版社はまだそのことを十分に理解していない。機械時代の発想で「プラットフォーム」を考え、「フォーマット」がプラットフォームを支えていると錯覚し、それを独自化することで自分たちのビジネスを守ることができると考えているのだ。三省懇談会の「フォーマット」に関する議論は悲惨なほどだった。ITに関するリテラシーの問題もあるが、IT専門家ですら「機械思考」に奉仕させられてしまう体制のためだと思う。事実認識の問題以上に、認識の枠組み（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E5%B4%A9%E5%A3%8A" target="_blank">ゲシュタルト</a>）の問題だ。筆者は、E-Bookに関わるフォーマットは一様ではなく、統一は有害無益で、かつ標準と両立しない「独自」性は自殺行為にしかならないことを強調したのだが、機械思考、メーカー発想の人々には理解してもらうのは容易でない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>出版社を守るのはフォーマットではなく、読者だけである</h3>
<p style="padding-left: 30px;">フォーマットは目的／機能に対応し、つねにジグソーパズルのピースでしかない。EPUBが優れているのは唯一点、それが日々進化しているWeb (HTML/XML)技術と互換性があり、<span style="color: #cc0000;">ユーザーにとってのコンテンツの価値を最大化できるポジションにある</span>ことに尽きる。もちろん、Web環境が技術的に優れているわけでもない。しかし課題は山のようにあるが幅広い市場のニーズに沿って進化していることが重要だ。成果は万人が共有できる（つまり圧倒的に安い）。多言語環境がよい例だ。無料のブラウザやプラグインを通して、Webの進化は短期間に着手され、たいていは既存の道具を組み合わせることで完了する。必要性の認識が共有されれば、ほぼ時間の問題で、自分でやらなくても誰かがやってくれる。オープンスタンダード／オープンソースの良さだ。日本ではあまり実感できないが、Web上のオープンソース・プロジェクトは山のようにあり、しかも他のプロジェクトと効果的な連携を取ることを怠っていない。その仕事の質にも圧倒される。</p>
<p style="padding-left: 30px;">問題は、「出版社にとってのコンテンツの価値を最大化」することを保証しないことだろう。出版社やメーカーの一部は、まだ機械時代の発想でものを考えるから、コンテンツにロックをかけようとする。ロックをかけるために日本語組版からDRMなどのフォーマットを駆使したいと考えている。これは市場を「限定」することで価値を安定させる旧時代の発想で、コミュニケーションのインタフェースを制限するものだ。印刷本なら（古書を含めたライフサイクルで）価値が最大化できたかもしれないが、デジタル時代ではそうはならない。<span style="color: #cc0000;">出版社にとってのコンテンツの価値最大化は、つねに読者を開拓することでしか実現しない</span>のだ。</p>
<p style="padding-left: 30px;">機械時代の発想は「規格」を絶対の土台と考える。世の中には日本語（＝縦組）コンテンツとiPad／ケータイ／iPhoneしかないと固定化して考えたりもする。そうした「土台」がないと何もできないと思ってしまうのだ。出版社はもうすこし自由に考えられそうなものだが、実際には書店の本棚、判型、用紙などから自由ではない。iPadの画面 (768 x 1024px) はA5判の長辺をやや短くしたような形 (ほぼ147 x 196 mm)で、レターサイズに近いアスペクト比だが、これに最適化したレイアウトを考えても、2年もすれば解像度は変わるし、サイズも変わる可能性が高い。印刷本と同じ発想でつくって2年で陳腐化したらどうだろう。画面への依存度を減らすWebのデザインのほうが、E-Bookとは親和性が高いのだ。しかし、紙で育ったデザイナーが、アスペクト比と解像度が一定しない環境（判型や印刷精度が一定しないに等しい）に適応するのは容易でないだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">現実には、コンテンツ（フォーマット）もデバイスも様々で、かつ変化していく。そればかりではない。決済システム、顧客管理とSNSを含む配信プラットフォームなど、10年前には数千万かけても無理だったビジネスプラットフォームは、（知識さえあれば）零細出版社でも3月で構築できるようになっているのだが、機械思考ではそうした現実に目を止めることもない。じつはこうした環境を最も早く、最も安価に導入する方法は、ベンダーに頼らず自分でやることであり、最も近いユーザーは現在（WebとPC以外）何のシステムも持っていない企業なのだが、そんなことはメディアも教えてくれない。ユーザーと一部Webサービス企業以外誰も得をしないし、誰も広告を出してくれないからだ。IT（情報）とメディア（広告）の幸福な関係は、21世紀に入って切れ始めた。これも日本にITが入ってこなくなった原因なのだが、まだ多くの人は気がついていない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">あと２年とたたず、Web/EPUBは商業出版として望まれる日本語組版の最低水準を達成し、ブラウザやプラグインで苦もなく利用できるようになるだろう。様々な解像度や形状、カラーの画面仕様に対し、デバイスメーカーも、配信プラットフォームも、ユーザーが自由に選べる（オープンソースあるいは独自の）表示最適化ツールを用意することになるだろう。<a href="http://calibre-ebook.com/" target="_blank">Caribre</a>や<a href="http://www.lexcycle.com/" target="_blank">Stanza</a>のような表示／フォーマット変換ツールは、Webの新聞記事をE-Readerで読みたいという個人 (キャリバーはKovid Goyal)の必要から始まった。それは多くの人に引き継がれて拡張されている。Webが変えた世界では、フォーマットはこのように扱われるという見本だろう。日本語だけがそうならないとすれば、それは言語としての<span style="color: #cc0000;">日本語の機能低下</span><span style="color: #cc0000;">、言語文化の衰退</span>につながり、もちろん出版社が守られたりはしない。行政、産業界、学界は、機械時代の思考からいつ抜け出せるのだろうか。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/300px-German_infantry_1914_HD-SN-99-02296.jpeg"><img class="alignright size-full wp-image-3518" title="300px-German_infantry_1914_HD-SN-99-02296" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/300px-German_infantry_1914_HD-SN-99-02296.jpeg" alt="" width="300" height="115" /></a>機関銃は戦争を機械化したパラダイム・チェンジャーだが、19世紀半ばには完成していたこの兵器が正規軍同士の大規模な実戦に使われるには日露戦争を待たねばならず、戦略戦術に反映されるには、第1次大戦の莫大な犠牲者を必要とした。軍人たちが「騎兵」と「突撃」を中心とした戦争の<span style="color: #cc0000;">人間的側面</span>（名誉）と<span style="color: #cc0000;">社会的側面</span>（組織体制）を、たかが機械に否定されたくなかったためだ。動機はもっともだが、最も貴重な人命が失われても、関係者が事実を見ようとしなかったことは重要だ。問題はいつも技術ではなく、人間と社会にある。　（鎌田、06/25/2010）</p>
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		<title>EB2ノート(13)：出版社の挑戦</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/06/eb2-note-13-publisherschallenges/</link>
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		<pubDate>Fri, 04 Jun 2010 10:56:45 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネスモデル]]></category>
		<category><![CDATA[プラットフォーム]]></category>
		<category><![CDATA[出版]]></category>

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		<description><![CDATA[E-Bookが儲かることは、すでに米国で証明された。このトレンドに乗ることはさして難しくないだろう。しかし、メガ・プラットフォームが提供する環境に対してせっせとコンテンツを提供しているだけでは、出版社の地位（社会的機能） [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo12.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-3157" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo12.jpg" alt="" width="90" height="80" /></a>E-Bookが儲かることは、すでに米国で証明された。このトレンドに乗ることはさして難しくないだろう。しかし、メガ・プラットフォームが提供する環境に対してせっせとコンテンツを提供しているだけでは、出版社の地位（社会的機能）は保証されていない。E-Bookは本とは違って完全な商品ではなく、環境の中での部品、素材に過ぎない。印刷会社や取次とは違って、メガ・プラットフォームは出版社を尊重してくれない。出版社が独立性を主張できるためには、読者とのコンテクストを形成し、管理する主体となる必要がある。<span id="more-3237"></span></p>
<h3>デジタルコンテンツは本にあらず</h3>
<p style="padding-left: 30px;">私たちは<span style="color: #cc0000;">出版の機能（コミュニケーション）的側面</span>に注目した。なぜならそれこそが本をWebビジネスの焦点の一つに押し上げている潜在価値であり、また本を読む手段としてのE-Bookの優位は、ほとんどそれに尽きるからだ。それはITが扱えることなら何でもできる。読者にはマルチメディアと対話型でスマートな「読書体験支援環境」を、著者、出版社、その他のステークホルダー（流通、広告、スポンサー）にとっては読者のコンテクストへのアクセスを、それぞれ提供するだろう。重要なことは、そうした価値の大部分は、<span style="color: #cc0000;">コンテンツによってではなく、それをサポートするプラットフォーム（通信、デバイス、配信サービス…）によって実現される</span>ことである。</p>
<p style="padding-left: 30px;">その意味で、<span style="color: #cc0000;">E-Bookコンテンツは商品として不完全なもの</span>だ。コンテンツはモノとしての客観性、完結性を持たない。それ自体では、内容い相応しい文字と組版で読むことすらできない。コンテンツデータは、流通・実装環境と結びついて初めて体験として実現するものなのだ。印刷本は、モノづくりとしての完成度を要求し、出版人はそれに応えてきたのだが、デジタルコンテンツはまったく本ではない。人々が電子デバイスで表示した活字情報に対価を払うことに、なお躊躇するのは、印刷された本に対する電子情報の貧弱さのためだ。じっさい、入手性や物理的、経済的な問題さえなければ、活字コンテンツを電子デバイスで読む気にはなれないし、文化的価値を持つ本などの場合はなおさらだ。<span style="color: #666699;"><span style="color: #808080;">（だから本をわざわざ解体してスキャンしてまでデジタル化する人がいることは理解できない（欧米人からは間違いなく「蛮行」と見られるだろう</span>）</span>。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><span style="color: #cc0000;">E-Bookは＜コンテンツ＋デバイス＋サービス＞があって実現される、とても頼りないメディア</span>だ。だからPC上でしか存在しなかった時は（一部のユーザー以外）誰も気づかなかったほどだし、だからこそアマゾンはKindleの開発に10年をかけたのだ。いま、E-Bookがビジネスになること、それも出版社が思いもよらなかった規模であることが明らかになった。しかし、E-Bookが本ではないことを忘れてはならない。出版社がHTMLと同じ「電子書籍」の安直さに安心して手を抜けば、たちまち読者は離れていき、無料コンテンツのみが生き残ることになるだろう。いまのところ、出版社や配信プラットフォームのメリットに比べ、読者の利便性は高くない。紙の本の3割程度の価格が妥当なのだ。その点でアマゾンの価格設定はまったく正しく、出版社は印刷本の相対的価値を過少評価している。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>出版社は独立を維持できるか</h3>
<p style="padding-left: 30px;">これまで知識情報を工芸的センスで工業化してきた出版社にとって、E-Bookがまったく別の商品であることを理解しないと、ほぼ必ず失敗する。簡単に違いをまとめてみると、次のようになる。</p>
<ul>
<li><span style="color: #008000;">プロセスをデザインし、運用することが重要に</span></li>
</ul>
<ul></ul>
<p style="padding-left: 60px;">これまで出版社は「良い本 and/or 売れる本」をつくること集中してきた。数多くの不確定要素に頭を悩ませながら、発売後1ヵ月の勝負に賭けてきた。しかし、E-Bookでは読者中心のマーケティング・アプローチが重要になり、比較的長期間にわたっての「読書体験」の最大化やブランド価値向上が決定的な意味を持つ。</p>
<ul>
<li><span style="color: #008000;">プロセスを支配するものが「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8D%85%E5%AD%90%E3%81%AE%E5%88%86%E3%81%91%E5%89%8D" target="_blank">獅子の分け前</a>」を得る。</span></li>
</ul>
<ul></ul>
<p style="padding-left: 60px;">出版社はコンテンツづくりに集中すればよいと言う人がいるかもしれない。たしかにコンテンツだけで儲かるかもしれないし、アップルやアマゾンも喜ぶ。しかし、コンテクスト（顧客の活動とコミュニティ）に経済価値を見出して「環境」を提供するメガビジネスに依存すれば自立性は失う。自立性を失った出版社は、もはや「出版者」ではない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">出版社は、これまで製作に関しては印刷会社に、販売に関しては取次や書店に依存してきた。これまではこの三者が出版業界の安定したエコシステムの中心だった。三者は互いの領域を守り、出版社は「知的労働」にのみ関わるものとして尊重されてきた。しかしこの関係は、デジタル化と無関係に、もはや存続不能になっている。出版社が独立を維持する（つまり出版社が「出版者」である）ためには次の4条件が必要になると思われる。</p>
<ol>
<li>読者とのコミュニケーションを（主としてWeb上に）デザインする：著者、読者のコミュニティの形成・深化、テーマの深耕、関連づけ、マッピング…。</li>
<li>読者の「読書体験」にコミットする：インタラクティブでスマートなE-Bookデザイン開発にイニシアティブをとる。Kindle/iPad的環境を使いこなし、道具にはならない。</li>
<li>読者とのコミュニケーションのプラットフォームを構築する：Webサイト、ブログ、ソーシャルネットワーキングを活用し、テーマ別、著者別のノードを開拓する。（CMS+IA）</li>
<li>出版プラットフォームの構築と管理：コンテンツ管理とコンテクスト管理の環境を、単独あるいはパートナーと協力して進める：先取り的なデータ「管理」と運用により、商品開発とマーケティングに適用する。</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">もちろん、出版社の体力や技術力、分野によって多種多様な形ができるだろう。メガ・プラットフォームへの依存度をゼロにすることは不可能だが、100%になれば存続性に問題が生じてくるし、人材も集まりにくくなるだろう。（06/04/2010）</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h4 style="padding-left: 30px;">本誌関連記事</h4>
<p style="padding-left: 30px;"><a title="EB2ノート(12)：出版の社会的機能と経済価値" href="../2010/06/eb2-note-12-social-function-of-publishing/">EB2ノート(12)：出版の社会的機能と経済価値鎌田、06/02/2010</a></p>
<p style="padding-left: 30px;"><a rel="bookmark" href="../2010/06/2010/05/eb2-note-10-social-networking/">「EB2 ノート(11)：Webにおける出版の『死と再生』」</a>鎌田、05/14/2010</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="../2010/05/publishing-revival-in-net-age-2/" target="_blank">「出版の復権(2)：SNSソーシャルマーケティング」</a> 鎌田、05/11/2010</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a rel="bookmark" href="../2010/06/2010/05/publishing-revival-in-net-age/">「ネッ ト時代に出版の復権を考える (1)：脱工業化」</a>鎌田、05/08/2010</p>
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		<title>EB2ノート(12)：出版の社会的機能と経済価値</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/06/eb2-note-12-social-function-of-publishing/</link>
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		<pubDate>Wed, 02 Jun 2010 09:34:54 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>

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		<description><![CDATA[5月26日に開催したEBook2.0研究講座第3回「ソーシャルネットワーキングとしての出版と出版社 –  読者と結びつくのは誰か?」は、知識情報のコミュニケーションという、出版の社会的機能に注目し、Webが発展させてきた [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo12.jpg"><img class="size-full wp-image-3157 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo12.jpg" alt="" width="90" height="80" /></a>5月26日に開催した<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/05/e-book2-rproject-seminar/" target="_blank">EBook2.0研究講座第3回</a>「ソーシャルネットワーキングとしての出版と出版社 –  読者と結びつくのは誰か?」は、知識情報のコミュニケーションという、出版の社会的機能に注目し、Webが発展させてきたソーシャルネットワーキングとの融合を構想するものだったが、重要な論点とともに、Webと出版の連続と断絶も見えてきた。数回にわたって、内容を振り返ってみたい。<span id="more-3153"></span></p>
<h3>Webと出版の連続と断絶：研究講座第3回</h3>
<p style="padding-left: 30px;">このシリーズ（第1期）は、<span style="color: #cc0000;">デジタル時代の出版とは何か</span>を明らかにしようという意図で始まったが、この10年ほどで多面的なメディアとして発展したWebは、出版の役割を考える上でとても重い意味を持っている。インターネット上のハイパーテキスト環境として成立したWebは、通信容量とデバイスの能力、そして普及密度によって次々に新しいメディアを生み出してきた。ホームページ、ポータルサイト、そしてブログを筆頭とするソーシャル系、Twitterに代表されるリアルタイム系など、毎年そのトレンドを変えているが、それらは<span style="color: #cc0000;">情報の発信と共有</span>をベースとした、ほとんど極限的なまでに抽象化されたWebの性格によるものだ。</p>
<p style="padding-left: 30px;">音楽に始まるコンテンツの有料化は、書籍、新聞、放送に及び一昨年から顕著になった。それまで「無料」に傷めつけられ悩まされてきたメディア業界は、デバイスと一体化した「有料」環境に惹かれると同時に、音楽業界が経験した価格支配を警戒した。だが出版について、Webビジネスの巨人たちは価格支配にこだわらなかった。すでに米国の出版業界にとって、E-Bookは年率200%以上の成長が続く期待の星となっている。儲かるかどうかとか、印刷本が喰われるのではないかという懸念が吹き飛んだことで、デジタルへの傾斜に拍車がかかるだろう。その風は日本にも吹き寄せる。私たちは、あまりに目まぐるしい変化のために、出版業界が自分を見失うことを怖れている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">米国では、今年に入ってから出版／出版社の再定義の議論が活発になってきた。それはWebのソーシャルネットワーキング機能を積極的に取り込むこと、B2Cビジネスとして再確立しようとする方向が中心的主張となっている。この方向には賛成だが、出版社によって答えは同じではなく、それぞれのポリシー、テーマ、読者に最適な解を見つけなければならない。今回はゲストとして、基本的にWebの世界に身を置いているお二人─ソシオメディアの代表取締役で、DESIGN IT!の代表としても活躍されている篠原氏、そして『ソーシャルウェブ入門』の著者で、TechCrunch日本語版を支え、博覧強記でも知られる滑川氏をお呼びした。</p>
<p style="padding-left: 30px;">結果としてみれば、テーマの大きさ、重さに対して時間が足りず、踏み込みが足りなかったのは否定できないだろう。しかし、過去の遺産を引き摺る出版のほうから見える世界と、軽いぶん流れの速いWebから見える世界はだいぶ違うことを実感させられた。そのことが分かっただけでも収穫はあったと言っておこう。<span style="color: #cc0000;">Webのソーシャルネットワーキングにおける「社会」と対比することで、出版が本来的に属性として持っている「社会」が見えてきた</span>ように思われるからだ。実践を伴う第2期に進む上で、またそのための要となる次回のテーマ（CMS＋IS）のイントロとして、今回の内容を総括しておきたい。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>モノから離れることで見えてくる出版の社会的機能</h3>
<p style="padding-left: 30px;">鎌田は冒頭で、<span style="color: #cc0000;">これからの出版はコンテンツづくりというより知識情報のコミュニケーション（プロセス）である</span>、とプロセスとしての側面を強調した。ビジネスから教育、研究、消費、教養・娯楽…まで、出版は社会の活動のすべてを反映する。出版はそこで共有される知識情報の結晶であると言ってよいだろう。何が結晶化されるかといえば、それは発信者と受信者の間のコンテクスト（5W1H）に沿って整理され、最適化されたコンテンツである。21世紀に入ってから、Webは「意味」を捉えようと苦労してきたが（<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96" target="_blank">Semantic Web</a>）、「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%8F%E5%91%B3%E8%AB%96" target="_blank">意味</a>」の泥沼に深入りすることなく、出版コンテンツは、それに紐づいたユーザーと活動を効果的に浮かび上がらせる。出版された情報は意味の結晶であって、ただのフローとしての情報と異なるからだ。ユーザー（読者、消費者）にとっての意味を、かなりの精度で捉える事が出来るのである。</p>
<p style="padding-left: 30px;">＜<span style="color: #cc0000;">コンテンツ×コンテクスト×ユーザー</span>＞のデータ（以下CCUログと称する）は、莫大な経済価値を生み出す。出版社にとって、それは読者のレベルとニーズを知り、読者とのコミュニケーションを緊密化し、出版プロジェクトを成功させるための基本データであるが、それは第三者にとっても別の経済価値を持つ。Webビジネスは、それを使って様々な商品の販売を促進し、あるいは広告機会を販売することができるからである。情報は、人がそれに関心を持つ瞬間に、最も効果的な形で提供されることで「意味」を持つ。広告主はこれまでのマスメディア広告のようなロスの多い方法ではない、より効果的・効率的な手段を必要としているのだが、出版物に関するCCUログは、なかでも最も質の高いものとなる。</p>
<p style="padding-left: 30px;">そのことを理解するには、出版という活動の階層的性格を知っておく必要がある。<span style="color: #cc0000;">商業出版は、いわば氷山の一角であり、広大な裾野を持っている</span>。テーマ、読者のレベル、発行部数、提供形態（価格、体裁、流通）などは、いずれも構造を持っており、社会のコミュニケーションのトポロジーを反映している。企業の組織内での業務出版や個人・同人の出版、企業や公共機関の広告・広報出版など、出版は多様であるが、商業出版はそれらと直接・間接につながりを持っている。商業出版は特定の組織や読者から相対的に独立し、そのことによって出版物に多次元性が生まれているからである。語源的に出版とは public (公共、公衆)に対すして公表する (publish)ことだが、この「公」のレベルと構造性は、コンテンツの独立性が相対的に高い商業出版の場合に重要な意味を持つ。ブログなどを含めて引用され、コメントされるのが圧倒的に商業出版物であることをみてもわかる。</p>
<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Py.jpg"><img class="aligncenter size-full wp-image-3165" title="Py" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Py.jpg" alt="" width="600" height="168" /></a></p>
<p style="padding-left: 30px;">つまり、Webによって情報の発信がほとんどタダになった時代に、死ぬかとさえ言われていた（事実死にそうな会社も多い）出版が改めて注目されているのは、それが<span style="color: #cc0000;">代替困難な社会的機能</span>を果たしてきたからなのだ。料理のレシピ・サイトは、たしかに有用な情報を提供してくれる。しかしそこには「著者」という人格が見えず、価値を保証する経験と蓄積のある「出版社」も見えず、「編集者」の細やかな配慮も、写真家やデザイナーのセンスも感じられない。Webのページは明日には消えるかもしれないのに対して、出版物は永続性 (persistence)を持っている。Webは<span style="color: #cc0000;">サーバ上の「現在」</span>でしかない。同じ情報ではあっても「出版」における情報とは、性格が違う。そのことは、モノとして実装された本から、コンテンツのみを抜き出したE-Bookによって明らかになる。単純化して言えば、出版には<span style="color: #cc0000;">社会的に評価・承認された文化的価値</span>がある、ということだ。</p>
<p style="padding-left: 30px;">印刷され製本された本という安定した容器を失い、デジタルな操作の対象となることで、むしろ出版と出版社の社会性が見えてくる、というのが鎌田のメッセージの前段である。（続く）</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h4 style="padding-left: 30px;">本誌関連記事</h4>
<p style="padding-left: 30px;"><a rel="bookmark" href="../2010/05/eb2-note-10-social-networking/">「EB2ノート(11)：Webにおける出版の『死と再生』」</a>鎌田、05/14/2010</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/2010/05/publishing-revival-in-net-age-2/" target="_blank">「出版の復権(2)：SNSソーシャルマーケティング」</a> 鎌田、05/11/2010</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a rel="bookmark" href="../2010/05/publishing-revival-in-net-age/">「ネット時代に出版の復権を考える (1)：脱工業化」</a>鎌田、05/08/2010</p>
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		<title>EB2ノート(11)：Webにおける出版の「死と再生」</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2010/05/eb2-note-10-social-networking/</link>
		<comments>http://www.ebook2forum.com/2010/05/eb2-note-10-social-networking/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 14 May 2010 05:46:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[ソーシャルネットワーキング]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネスモデル]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://www.ebook2forum.com/?p=2794</guid>
		<description><![CDATA[知識情報のコミュニケーションとソーシャルネットワーキングという観点から出版と出版ビジネスを考えてみようというのが第3回セミナーの趣旨だったが、ソシオメディアの篠原稔和さんとWebアナリストの滑川海彦さんという最強のメンバ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo11.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-2798" style="margin-left: 0px; margin-right: 7px;" title="EB2Pro_logo1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo11.jpg" alt="" width="95" height="84" /></a>知識情報のコミュニケーションとソーシャルネットワーキングという観点から出版と出版ビジネスを考えてみようというのが第3回セミナーの趣旨だったが、ソシオメディアの篠原稔和さんとWebアナリストの滑川海彦さんという最強のメンバーを得て行われることが決定。そこで、改めて内容構成を見直し、「出版の死と再生」という大それた歴史的テーマを議論する機会とすることを考えた。来月（6月22日）には楽天の清水誠さんにCMSとIAという観点から、出版の技術的プラットフォームを取り上げる。（<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/05/e-book2-rproject-seminar/" target="_blank">第3回セミナーの詳細はこちら</a>）。<span id="more-2794"></span></p>
<h3>第3回セミナー：「E-BookをめぐるWebと出版社」解題</h3>
<p style="padding-left: 30px;">「電子出版」は30年以上前からあり、最初は「電子組版／DTP」として、次にCD-ROM「マルチメディア」として、また「携帯／書籍端末」として登場しましたが、いずれも出版そのものに影響することはありませんでした。それらは<span style="color: #cc0000;">知識情報のコミュニケーションという社会的機能</span>を果たしている出版の個々の側面（製作、編集、配布）の電子的置き換えであって、出版の社会的機能そのものの電子化ではなかったからです。出版社も読者も、もっぱらコンテンツにばかり注目し、肝心の機能は自明のこととして無視し、「活字離れ」を仕方のないことのように受け容れてきたと言えます。</p>
<p style="padding-left: 30px;">アマゾンのKindleは、それが錯覚であることを実証しました。何を実証したか？ インターネット、とくにモバイルインターネットの世界では、出版コンテンツそのものではなく、出版を中心とした社会的コミュニケーションのダイナミックな側面が問題であるということです。Amazon/Kindleは「電子書籍端末」ではなく、「電子書店」ではなく、「自主出版サービス」ではなく、「読書サークル」ではなく、それらすべてです。しいて言えば<span style="color: #cc0000;">著者／著作物と読者の間のコミュニケーションにおける付加価値の提供</span>を志向しています。「コンテンツ」の「流通」や「表示端末」にばかり注目していたのでは、出版をめぐる付加価値という、ネット上の新しいビジネスのルールの上で展開されるビッグプレーヤー（アマゾン、アップル、Google）の活動の本質も見えてきません。そして何よりも、出版と出版の主宰者としての出版社の新しい役割も見えてこないでしょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">簡単に言うと、<span style="color: #cc0000;">21世紀の電子出版は、インターネットにおける知識コミュニケーション</span>であり、コンテンツはそのコンテクストに依存して（少なくとも）経済的価値を持つということです。新しいノードが次々と生まれて一瞬の輝きを放ち、拡大し、やがて活性を失い、いつか別の結びつきの中で再生するということの繰り返し…。Webは遍在的でリアルタイムなコミュニケーションをサポートすることで、ログを記録するだけでなく、リアルタイムに利用することも可能とし、短期間で社会のコミュニケーションの中での重要な位置を占めるようになりました。広告／販売という商取引に関する活動が、知識情報のコミュニケーションとしての出版に注目するのは当然であり、それにより巨大なビジネスが展開されようとしています。それはコンテンツそのものよりも、<span style="color: #cc0000;">コンテンツが意味する</span><span style="color: #cc0000;">もの</span>（コンテクスト）に関連したビジネスが主体となるでしょう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">つまり、ネットビジネスが注目しているものはコンテンツではなく、<span style="color: #cc0000;">コンテンツをめぐるコミュニケーションのダイナミズム</span>なのです。出版社が紙とともに守ろうとしている旧来の「出版文化」は、そのままでは継承すら困難に陥っていくでしょう。著者と読者、読者と読者など、不定形なコミュニティがネット上に生まれる中で、出版社がカヤの外で生き続けることは（少なくとも産業としては）できないからです。<span style="color: #cc0000;">出版ビジネスを新しいコミュニケーション環境の中で再定義する</span>ことができなければ、出版文化の継承も期待できず、巨大な社会的損失が生じてしまう、というのがわれわれの危機意識です。テクノロジーは、それを味方にできない限り、敵になってしまう厄介なものなのです。今回は、出版社がこの変貌しつつある<span style="color: #cc0000;">出版という主要な社会的コミュニケーション形態</span>において、自身を再確立するための戦略を探っていきたいと思います。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;">イントロダクション<span style="color: #3366ff;">「出版のバリューチェーンと付加価値ビジネス」</span></h4>
<p style="padding-left: 30px;">鎌田博樹（EBook2.0 Forum）</p>
<p style="padding-left: 30px;">知識情報のコミュニケーションの中心であった出版が直面している問題を整理し、Web時代の出版ビジネスを再定義を試みます。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;">1. <span style="color: #3366ff;">「ソーシャルコミュニケーションの中での出版：WebとE-Book」</span>（仮題）</h4>
<p style="padding-left: 30px;">篠原稔和（ソシオメディア㈱代表取締役／DESIGN IT!）</p>
<p style="padding-left: 30px;">Webは多種多様なコミュニケーションが展開されるユニバーサルな「コンテクスト」のメディアとして成長してきました。Webメディアのビジョナリーである篠原氏に、Webにおいてなぜ出版／出版物が注目されるのか、Webビジネスは何を目ざしているのか、出版社はアマゾンやアップルのプラットフォームとどう付き合い、ソーシャルネットワーキングをどう主体的に使っていくべきかなどを自由に語っていただきます。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;">2. <span style="color: #3366ff;">「出版をめぐるWebニュービジネスの展開」</span>（仮題）</h4>
<p style="padding-left: 30px;">滑川海彦（翻訳家、Webアナリスト）</p>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookは、モバイル環境と融合することにより、新しいコンテンツと新しいコミュニケーションのコンテクストを形成し、そこに無数のビジネスチャンスが生まれています。『ソーシャルWeb入門』(2007, 技術評論社)でWebメディアの本質を明らかにし、TechCrunch日本版の中心的翻訳者として最新のWebビジネスをフォローしている滑川氏に、ニュービジネスとテクノロジーの動向をレポートしていただきます。</p>
<h4 style="padding-left: 30px;">3. 自由討論：<span style="color: #3366ff;">「出版の死と再生：WebメディアとしてのE-Bookのインパクトと出版社」</span></h4>
<p style="padding-left: 30px;">講師と参加者により、デジタル時代の出版／出版社の課題やビジネスモデルなどについて議論していただきます。</p>
<h3>第4回（6月22日）予告　「E-BookプラットフォームとしてのCMSとIA」</h3>
<p style="padding-left: 30px;">ゲストスピーカー：清水誠氏（楽天株式会社）</p>
<p style="padding-left: 30px;">第4回セミナーもお申込み受付中です(定員30名程度)。お早めにお申込みください。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/study-2-0/ticket/"><img class="alignnone size-full wp-image-2876" title="button-register-1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/button-register-11.jpg" alt="" width="120" height="50" /></a></p>
<p style="padding-left: 30px;">
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		<title>E-Bノート(10)：マーケティングとビジネスモデル</title>
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		<pubDate>Wed, 28 Apr 2010 09:33:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<category><![CDATA[フォーマット]]></category>
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		<description><![CDATA[フォーマットを考える際には、もちろんビジネスの観点が欠かせない。フォーマットが重要なのは本の形式(機能)と同時に、本をめぐるビジネスモデルと密接な関係を持つためだ。前回ご説明した3類型に対応し、情報化を最大化するコンテク [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo1.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-2472" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo1.jpg" alt="" width="95" height="84" /></a>フォーマットを考える際には、もちろんビジネスの観点が欠かせない。フォーマットが重要なのは本の形式(機能)と同時に、本をめぐるビジネスモデルと密接な関係を持つためだ。前回ご説明した3類型に対応し、情報化を最大化するコンテクストを操作するXMLメタデータとその扱いこそが、ビジネスにとってのフォーマットであり、それはますます進化していく。出版業はこれまで実質的に B-to-B の世界に閉じてきた。デジタルコンテンツの世界では、閉じこもれば第一次産業の生産者となるほかない。<span id="more-2577"></span></p>
<h3>E-Bookとビジネスの3類型</h3>
<p style="padding-left: 30px;">XMLによる疎結合型が、これからのデジタル出版およびビジネスの基本となる、とした前回の提起は、すこし唐突かもしれないので図にしてみた。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><strong><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Book_types.jpg"><img class="alignright size-medium wp-image-2581" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="Book_types" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Book_types-300x243.jpg" alt="" width="300" height="243" /></a>E-Bookの3類型</strong>：<span style="color: #cc0000;">静的ドキュメント</span>は、現在の主流であり、多くの人はこれがE-Bookだと考えている。構造が明示的でない小説や、原型が重要な意味を持つ古典などは、将来ともにこの形で読まれるだろう。しかし、実用的なものや様々な情報源に依拠したもの、必要に応じて記述を更新したいものなどは、<span style="color: #cc0000;">動的・連携的ドキュメント</span>に移行するだろう。出版には情報サービスやアプリケーション開発の要素が含まれるようになる。これを発展させたものが、Webサイトのような、多種多様なコンテンツを管理し、ユーザーのニーズに応じてダイナミックに情報を構成して提供する<span style="color: #cc0000;">システムドキュメント</span>は、サービスプロセスを統合したものだ。これはすべてのタイプを統合し、かつ必要なコンテクストを管理する。Britannicaのオンライン版などがそうだ。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><strong>E-Bookビジネスの3類型</strong>：E-Bookの3タイプは、それに対応したビジネスモデルを発展させる。<span style="color: #cc0000;">静的なE-Book</span>の製作・販売は、従来と異なることがあまりないが、読者への直販比率は大きくなるだろう。出版ビジネスはこれまでほとんどB-toBであったが、読者を顧客と考える必要が出てくる。他方でこれは付加価値が少ないので「中抜き」されやすい。重版を経てきた定番的な書籍ほど狙われやすいので、出版社は電子化版権を確保しておかないと貴重な収入源を失うことになる。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Business_types.jpg"><img class="size-medium wp-image-2582 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="Business_types" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Business_types-300x239.jpg" alt="" width="300" height="239" /></a>第2世代ともいえる<span style="color: #cc0000;">動的・連携的なE-Book</span>は、軽量アプリケーション、あるいは一種の情報サービスであり、商品やサービスの構成、料金設定は、必然的に従来の本の価格モデルから離れることになるだろう。本格的なB-to-Cモデルを確立できない場合は、他社のプラットフォームにコンテンツを提供する形になる可能性が強い。資本と技術力に乏しい出版社が囲い込まれる傾向も生まれるかもしれない。あるいは、特定分野での強味を発揮して、著者と読者との関係を緊密に保ちながら生き残るだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><span style="color: #cc0000;"> </span><span style="color: #cc0000;">コンテンツ配信プラットフォーム</span>は、ビジネスモデルとしてはコンテンツのメタデータと顧客データを組合せて、「最適化」された読書体験を提案するものとなる。「コンテンツアグリゲーション」であるが、競争を勝ち抜くには、コンテンツの量とコンテクスト解析の能力にかかってくる。しかし大は小を兼ねるとは限らないから、市場（ビジネス、教育、官公庁、研究開発）や分野（歴史、地理、芸術、スポーツ）にフォーカスした書店、あるいは書店型出版社が成り立つ可能性は十分にある。</p>
<h3>メタデータの戦略的重要性</h3>
<p style="padding-left: 30px;">以上述べたタイプによって、中心的なフォーマットは異なる。第1世代の静的E-Bookの場合は、EPUBとPDFがデファクト・スタンダードとなるだろう。つまり文字組みを中心とした表示に関することが中心的関心事でよい。しかし、第2世代の動的・連携的E-Bookの場合は、そう単純ではない。文書内部、文書間のリンク、文書内のボタンと起動するサービスやアプリケーション、扱う「知識」の記述方法には、様々なフォーマットがあり得るし、ツールやユーザーに依存することもある。連携させる上で、メタデータが重要になるが、XMLで記述したとしても、意味するものは必ずしも同じではない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">これは、メタデータを資源として成り立つコンテンツ配信プラットフォームで最も複雑な形をとるが、コンテンツ提供者やユーザーは、一見むしろ何も考える必要がない。プラットフォーム側がビジネスインテリジェンスを駆使して独自の付加価値を開発するからだ。しかし、検索エンジンの場合のように、コンテンツ提供者もユーザーもプラットフォームに依存することになることは言うまでもない。強大なプラットフォームに支配されないためには、外部サービスを利用しつつも依存はせず、<span style="color: #cc0000;">内部にインテリジェンスを蓄積・利用するしくみ</span>をつくる以外にない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">以上のように、フォーマットは表現的、技術的な意味のほかに、ビジネス的、戦略的な意味を持っている。ニッチを設定してそこを守るにしても、アグリゲーション・ビジネスに乗り出すにしても、多様なフォーマットを使いこなすことが付加価値を高め、またそれを守る上で重要となっている。日本語の文字組みの問題は、改善へのピッチを速めると思われる。出版社としてより重要なことは、具体的には</p>
<p style="padding-left: 30px;">1) <a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Transmedia_storytelling" target="_blank">トランスメディア・ストーリーテリング</a>に関連したフォーマット<br />
2) アクセス、読者（顧客）プロファイルに関連したフォーマット<br />
について研究し、対応方針を決めておくことであろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<h3>標準は不完全であり、だから成長する</h3>
<p style="padding-left: 30px;">最後に、フォーマットと切り離せない「標準」についての考え方を述べておきたい。情報技術において標準は、以下のような性格を持っている。</p>
<ul>
<li>機能／サービスを実現するための共通のインタフェース</li>
<li>多様な実装が競争→連携機能を持つ強力な環境に吸引</li>
<li>コンプライアンスとそのサポートレベルは自由</li>
<li>実現すべき機能がある限り、標準は成長し続ける</li>
</ul>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Standard.jpg"><img class="alignright size-medium wp-image-2587" title="Standard" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Standard-300x174.jpg" alt="" width="300" height="174" /></a>標準がビジネスに必要な機能をすべて満足させるならば、そのビジネスは付加価値の生ずる余地がないことを意味する。実際にはそんなことはめったにない。標準は不十分で不完全であり、その分だけ独自のツールや手作業の余地が残るわけだ。上の図は、機能や品質を縦軸に、実現するためのコストを横軸にとって関係を模式化したものだ。標準は多くの機能を吸収し、コストを下げるが、より高度な自動化ツールやプロの技能の必要は残り、そこに付加価値が形成され、標準の拡張を促す。（鎌田、04/28/2010）</p>
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		<title>EB2ノート(9)：フォーマットとビジネスの3階層</title>
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		<pubDate>Sat, 24 Apr 2010 12:23:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Editors' Note]]></category>
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		<category><![CDATA[ドキュメント論]]></category>
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		<description><![CDATA[20日のセミナーから、E-Bookのフォーマットについての考え方を粗削りながら理論化するきっかけが掴めたようだ。E-Bookは単独／グループ／システムという3つの形態（あるいは階層）で成立する。多種多様なフォーマットは、 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo1.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-2472" style="margin-left: 0px; margin-right: 6px;" title="EB2Pro_logo" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/EB2Pro_logo1.jpg" alt="" width="86" height="76" /></a>20日のセミナーから、E-Bookのフォーマットについての考え方を粗削りながら理論化するきっかけが掴めたようだ。E-Bookは単独／グループ／システムという3つの形態（あるいは階層）で成立する。多種多様なフォーマットは、それぞれのレベルで、要素となる情報の形式と操作方法を規定している。ブックビジネスは、それぞれのレベルでコンテンツの価値を最大化するコンテクストを発見するか、コンテンツを再構成する創造的な方法を開発しなければ、流通プラットフォームに支配される弱い生産者となるしかない。<span id="more-2508"></span></p>
<h3>フォーマットの三階層</h3>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookをどのようなものと考えるかで、フォーマット問題はまるで違って見えてくる。多くの辞書は「印刷された本の電子版」としている。これは「馬なし馬車」思考の典型で、「本はアプリケーションだ」という新思考の前に陳腐化され始めている。「動力自転車＝オートバイ」と「自動車」の間にはまだ大きな距離がある。では現代的な定義はどう言ったらよいのか。「アプリケーション」ではいかにもコンピュータ中心の発想で意味をなさない。鎌田はE-Bookを「<span style="color: #cc0000;">電子的な方法で製作・出版・流通可能なドキュメントで、特定のテーマと構造を持ち、記録・再生される知識情報の集合体</span>」と定義する。これは「電子出版物」を言い換えたものだが無限に展開がきくはずである。</p>
<p style="padding-left: 30px;">「紙なし本」タイプのE-Bookは「静的ドキュメント」、様々なサービス／機能が埋め込まれた、アプリケーションとしてのE-Bookは「動的ドキュメント」だ。前者ではファイル形式だけが問題となるが、後者ではほとんど情報を扱うフォーマットのすべてが関わってくる。ほとんどはすでに存在するものでほぼ間に合うが、完全とは言えないのが情報の「意味」あるいは「知識」を扱う際のフォーマットだ。これはドキュメントが扱う知識の形によって一様ではないと思う。これで全部だろうか。そうではないと考えるべきだろう。つまり（たとえばiBookStoreなどのような）Webコンテンツ・プラットフォームをE-Bookの環境として考えると、コンテンツとしてのドキュメントはたんに素材にすぎない。だから「複合型システム・ドキュメント」というものを考える。まとめると以下の3種である。</p>
<p style="padding-left: 60px;">A. <span style="color: #cc0000;">静的ドキュメント</span>（印刷を電子表示に置き換えたE-Book）<br />
B. <span style="color: #cc0000;">動的／連携的ドキュメント</span>（対話し、学習し、実行するE-Book）<br />
C. <span style="color: #cc0000;">システムドキュメント</span>（サービスプロセスとしてのE-Book環境）</p>
<p style="padding-left: 30px;">これらについて、それぞれ各種フォーマットが存在するわけだが、上記の3つのタイプは階層的にみることもできる。グループ・ドキュメントとしてのBはAを含み、ドキュメント・プラットフォームとしてのCは、AとBを含む。さらに、<span style="color: #cc0000;">ビジネスモデル</span>としてみることもできる。(1) 単体としてのコンテンツを提供する従来型の出版社、(2) 特定のジャンルについて連携機能を有する<span style="color: #cc0000;">グループ・コンテンツを提供する出版社</span>、そして (3) それらに対して読者がアクセスする舞台を提供する<span style="color: #cc0000;">プラットフォーム・サービス</span>である。アマゾンとアップルはそこでの優越的地位を狙っている。</p>
<h3>なぜ、何が、どのように意味を持つのか</h3>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookのフォーマットが注目を集めるのは、それがビジネスのプラットフォームと結びついていると考えられているからだが、フォーマットが単独でプラットフォームに直結したのは20世紀までで、筆者が考えつく限り、この10年そうした発想は失敗している。<span style="color: #cc0000;">プラットフォームというものが、しだいにテクノロジーから相対的に独立したところに成立するようになった</span>からである。だから「勝ち馬に乗りたい」という気持ちで特定のフォーマットに飛びつくのは無駄なことだし、「貧乏籤は引きたくない」という気持ちで待つことは、さらに有害無益だ。下川氏は「アップルなどがiPadで採用したことでEPUBに脚光が当たっているが、ありふれたXHTML+CSSというだけ」と勘違いに釘を刺し、沢辺氏は「どんなフォーマットでも変換は簡単」でそれ自体に意味はないことを強調した。</p>
<p style="padding-left: 30px;">Webビジネスモデルは進化が早く、基本的にデバイスや特定技術に依存しない方向に進化している。テクニカルフォーマットはそこで機能的な限界を規定し、交換性の範囲を規定するという本来の役割に戻る。余計なことに気をまわしても仕方がないが、それでもフォーマットの重要性は少しも減らない。いやむしろ増えていると言える。それは以下の理由からである。</p>
<ol>
<li> レイアウトから動的機能、外部サービスとの連携、DRMまで多岐にわたる</li>
<li> フォーマットの組合せによりコンテンツ＋サービスモデル＋UIが定義される</li>
<li> フォーマットの限界を他よりうまく使いこなせば付加価値が生まれる</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">ここで重要なことは、<span style="color: #cc0000;">ユーザーに対して実現すべき商品（サービス）を明確にし、そのために必要なフォーマットを整理する</span>ということだ。パターン化し、シリーズ化することで生産性を高める必要がある。技術のしろうとでも簡単に使えるようにしておかないと製作コストが跳ね上がる。印刷本においても用紙の規格サイズから書店の棚に至るまで、様々なフォーマットの知識を吸収するのは時間がかかるものだが、デジタルとなると、きちんとトレーニングを受けないと無駄が多すぎることになるだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">E-Bookのフォーマットを「ドキュメント」にまで広げて考える時。過去30年間の間にほとんどのパターンがほぼやり尽くされていることに気がつくだろう。典型的なアプローチとしては、以下の4つをあげておきたい。</p>
<ul>
<li> <a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/SGML" target="_blank">SGML</a> (Standard Generalized Markup Language) 1986：文書の形式を記述するメタ言語（ HTML、XMLのスーパーセット）</li>
<li><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%8B%E6%94%BE%E5%9E%8B%E6%96%87%E6%9B%B8%E4%BD%93%E7%B3%BB" target="_blank">ODA </a>(Open Document Architecture and Interchange Format) 1993：文書の構造と交換形式を規定したISO/ITU-T標準</li>
<li><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A4%87%E5%90%88%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88" target="_blank">Compound Document</a>：OpenDoc/OLE  1992：ソフトウェア・コンポネントのフレームワーク</li>
<li><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/ODF" target="_blank">ODF</a> (Open Document Format for Office Applications) 2005：XMLをベースとしたオフィススイート用のファイル形式</li>
</ul>
<p style="padding-left: 30px;">上記のうちで、最も成功したのは、SGMLだった。ドキュメントそのものを完璧に規定したODAは標準としては完全に失敗した。アプリケーションとしてのドキュメントをOSの上に定義したコンパウンド・ドキュメントも標準にはならなかった。個人的にはODAでドキュメントを勉強したようなものだが、20年ほど前に<a href="http://www.nii.ac.jp/faculty/asano_shoichiro/" target="_blank">浅野正一郎</a>先生（現在<a href="http://www.nii.ac.jp/" target="_blank">NII</a>教授）に話を伺ったところ、「ドキュメントのような複雑なものでシンタクスとセマンティクスの両方を規定しても成功しない」と、メタ言語であるSGMLの勝利を予告されていたのが強く印象に残っている。その後のWebの展開を含めて考えると、システムでありプロセスでもある電子ドキュメントでは、部分と全体との関係の強さ（意味づけ）は一定せず、緩くしておいた方が現実的だということになる。ドキュメントは、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB" target="_blank">フラクタル</a>でもあり入れ子状でもあるところがおもしろい。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/300px-Julia_set_highres_01.jpg"><img class="size-full wp-image-2510 alignright" style="margin-left: 6px; margin-right: 0px;" title="300px-Julia_set_(highres_01)" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/300px-Julia_set_highres_01.jpg" alt="" width="192" height="192" /></a>例えば、「織田信長」についての1冊の本があるとすると、それは先行した類書や研究文献、依拠した史料、著者の研究活動などを含めた、任意の「仮想的なドキュメント」の一部と考えることができる。あるいは日本の政治家、武将、近世史、外交史、人物伝、マンガ、ゲームを含めたグループの一部でもよい。この本は著者、出版社、読者の、それぞれのコンテクストの中にあって共有されている。本の中にある知識情報は、先行する何かに依拠しており、その上に著者が仮構したオリジナルな（あるはリライトした）歴史がある。著者はまた類似のテーマで書く可能性が強いし、出版社も売れれば二匹目のドジョウを狙うし、読者がさらに好奇心を掻き立てられれば、周辺の本に期待するかもしれない。ODAは1個の完成した本の構造と表現を記述する。しかしSGMLは構造を記述する言語だけを記述し、表現であれ何であれ、意味については自由に定義させるに任せる。ということだろう。オリジナリティは落ちるが、商業的に意味を持つのは当然後者である。</p>
<p style="padding-left: 30px;">SGML的アプローチは、今日のWebやその派生形であるEPUBなどのベースになっている。<a href="http://www.sophia-it.com/content/%E7%96%8E%E7%B5%90%E5%90%88" target="_blank">疎結合 </a>(loose coupling)は、WebサービスやSOAなど、今日の情報技術の基調をなす考え方だが、<span style="color: #cc0000;">E-Bookも密結合から疎結合の時代に入ろうとしている</span>。密度の高さを売る文学作品などを別として、実用書などが疎結合型E-Bookに移行すべき理由は十分にある。また、<span style="color: #cc0000;">ブックビジネスは、情報の結合の完成度を競う（もともと数は少ない）タイプのものから、柔軟で効果的な結合を競う（日持ちのしない）ものへと重心が移行するだろう</span>。少なくとも出版社にとっては、密に結合すべきなのは著者と読者だけで、商品は柔軟なほど儲かるし損がない。したがって、価値を生むコンテクストを扱えるフォーマットが重要となる。  （鎌田、04/23/2010）</p>
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