印刷業と“電子書籍元年”(2):付加価値の可能性
近代的な出版は「版」に関する技術から生まれた。それはE-Bookについても同じである。印刷本における品質と機能を移行させた上で、本のコンテンツ価値を最大化するというロードマップを考えた場合、現状はまだ入口付近にいるにすぎず、機能・個性・品質が揃わないとE-Bookが独立した価値を主張できない。そこで付加価値の可能性を考えてみたい。 [続きを読む]
印刷業と“電子書籍元年”(1):問題提起
8月10日に開催する第5回研究講座「「“電子書籍元年”の中間総括-印刷業界の視点」への解題。電子出版では生産・流通・販売のいずれでも日本的特殊性が問題となるが、筆者は出版物の生産に印刷業が大きな役割を果たしていることが、長期的にみて最も重要な要因だと考えている。そこでまず、印刷業がE-Book出版の成長性と付加価値にどのように関わるかを考えてみたい。 [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (6):デジタル時代こそ創造的協調
鎌田の「デジタルプラットフォーム」論にたいする中西秀彦氏からの返信。「攘夷か開国か」「勝つか負けるか」という単純な「ますらお」発想にたいして、「電子書籍が本格化すれば、印刷と出版編集それに著者が対等な立場で協力し合いコンテンツをつくりだすという時代が来る」と考える「たおやめ」発想の重要性を、日本的な特殊性を踏まえて説いておられる。印刷会社の課題は、これでとても鮮明になった。むしろ問題は、出版社がデジタル時代の新しい編集、本づくり価値を提示できるかどうかだ。 [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (5):デジタルプラットフォーム
中西秀彦氏から頂戴した前回の「軟着陸戦略」は含蓄に富んだものでとても刺激された。音楽や写真を例にした悲観論が世に蔓延しているが、もともと本を読まない人間は別として、印刷・製本された本は、リアルな体験としてこれからも必要不可欠な文化的要素だと思う。現に、欧米ではE-Bookの拡大と不況が重なったにもかかわらず印刷本市場は減っていない。怖れるべきはデジタル化ではなく国民の「文盲化」ではないか。そこで、E-Bookが活字市場を活性化させ、印刷需要を減退させないための条件を提案してみたい。さらに中西氏や読者諸賢のご批判をいただければ幸いである。(鎌田) [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (4):生き残りをかけた軟着陸戦略
前回、鎌田は「版」を中心とした付加価値ビジネスを追求せよという趣旨を書いたが、困難な挑戦であることは間違いない。案の定、中西氏からは「きれい事」というお叱りを頂戴することとなった。泥臭くてもしぶとく時間を稼ぎつつ、印刷業界に有利な形での軟着陸の方法論を示さねばと考える氏は「紙と電子のハイブリッド」を提唱し、過渡的段階でのオンデマンド印刷を重視する。さすが京都人! じつはこのハイブリッドは欧米の出版社の戦略にもなっている。これまでのところ紙が電子に食われるという兆候はないからだ(鎌田、4/18)。この対論もいよいよ核心に入っていきそうだ。 [続きを読む]
E-Bookと印刷業(3):版が付加価値を生む
紙の呪縛からの解放を説いた中西秀彦氏への鎌田の提案。印刷会社を苦しめるのもデジタルだが、希望の光となるのもデジタルだと思う。デジタルは印刷物を補完し、次いで吸収して、印刷物に補完される存在となる。印刷よりも電子化された版の価値が評価される時代が来た。印刷業としては、この版を核として付加価値を形成することで、出版社とともに電子出版の一翼を担うことができる。それは一面では「情報処理」ビジネスだが、従来のいわゆるITとも違い、印刷ビジネスとの親和性が高いと思われる。 [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (2):紙の桎梏と呪縛からの解放へ
「印刷業こそが電子書籍の先頭にある」という鎌田のメッセージに対する中西秀彦氏からの返信。反響を呼んでいるブログ「抵抗勢力たらん」の真意は、出版界の安易な電子化への動きを牽制しつつ、印刷業界に歴史的な変化への対応を促す檄文であったようだ。あまりに身近であっただけに、印刷と出版が未来志向のパートナーシップを再構築するのは容易ではない。それにはまず、ともに「紙の桎梏と呪縛から解き放たれ」ることが必要だろう。これが対話の出発点になりそうだ。 [続きを読む]
E-Bookとデジタル時代の印刷業<解題>
E-Bookと印刷業の問題を考えたいと思っていたところ、中西秀彦氏のブログに「我、電子書籍への抵抗勢力たらん」という記事を拝見して仰天した。京都の老舗印刷会社の(元?)若旦那にして大学講師。印刷とデジタル技術などを中心とした6冊の本の著者である中西氏が「抵抗勢力」となったのでは一大事である。そこでかねての問題意識をぶつけて対話をお願いしたいと思い立った。幸いにしてご快諾をいただいたので、以下のような趣旨と構成で進めていきたいと考えている。 [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (1):印刷業こそ先頭にいる
京都の(元)若旦那こと中西秀彦氏との対話シリーズの第1回。デジタル時代になっても、出版で変わらないのは「版」をつくって出すということ。日本の印刷会社はこれを技術的に担ってきた実績があるのだから、E-Bookの鍵も、じつは印刷会社が持っているはず。それに印刷にはまだまだ技術革新の余地がある。裸の王様に遠慮することを止めて、対等のパートナー、不可欠のパートナーであることを示すべきでは、と鎌田が述べる。 [続きを読む]
E-Bookを本にする“エスプレッソ製本機”の可能性
E-Bookを逆に本にする米国のOn Demand Books社のEspresso Book Machine (EBM)は、図書館や大学、書店や公共機関を中心に普及を始めたようだ。しかし、創業者のジェイソン・エプスタインの本来の構想は「本のATM」としてコーヒーショップなど身近な場所に置かれることを考えていた。最近、グリーン・ビジネスに関するWebサイト (Going Green)で、EBSを街中に導入してサービスしているシアトルのThird Place Booksという書店についてのレポートを読むことができた(@minoguchi さんに感謝)。これを機会に、インスタント製本の可能性についても少し考えてみたい。 [続きを読む]







