コンテンツとテクノロジー:(6)『日本語組版処理の要件』と小林 敏さん、小野澤 賢三さん(2)

デジタルはアナログ(実世界)を経済的に模倣し、再現するものだ。実世界には問題を理解する達人とそれに準じた職人がおり、解決を与える。他方でデジタルは、問題が言語(数学的形式)として与えられさえすれば、忠実に実行する。場に応じる達人の智の言語化は難しい。中途半端なら手間が増え、完璧に噛み合えば職人の仕事はなくなる。アナログは深め、デジタルは追いかける。終わりがないのがいい。(編集子解題) … [Read more...]

コンテンツとテクノロジーの対話:(5)『日本語組版処理の要件』と小林 敏さん、小野澤 賢三さん(1)

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要求が定義され、機能の仕様が合意され、標準が出来る。その後に実装製品が出てくるのだが、ソフトウェア標準の開発者がまず覚悟しなければならないのは、標準化に対価は得られず、よい標準であれるほど、その機能はデフォルトとなり、早晩商品価値を失うということだ。人類に火をもたらしたプロメーテウスの運命。EPUB 3の日本語組版をわれわれはどう生かすべきなのか。海外に出て行くか、日本に入ってくるのを待つか。時間はそうない。(編集子解題) … [Read more...]

ジョブズの遺産とiBooks新戦略をめぐる7つの問い

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iBooks Authorを中心としたアップルのiBooks 2戦略は、2つの面を持っている。今日の教育に不可欠なマルチメディア・コンテンツを作り、出版する武器を万人に開放するという啓蒙的側面と、出版はiBookstoreを通じなければならない(iPadを使え)という専制的側面だ。「啓蒙的専制君主」としての故スティーブ・ジョブズの面目躍如とした遺産なのだが、これを受け容れるかどうか、われわれも選択を迫られている。ここでは問題を7つにまとめ、筆者の答を示す。[全文はE-Book2.0 Magazineにて公開中です] … [Read more...]

EPUB戦記(9):市場の要求とタイムリミット

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前回述べたように、コンソーシアムの標準は「市場」の動き出すのを待たず、その1年以上前から(ニーズが把握できた時点で)着手されるものだ。遅すぎれば市場に出てくる製品やサービスに無視され、早すぎれば技術的環境が変わってしまうリスクが増す。EPUB3の活動が集中した2010年は、市場が動き始めており、アマゾンばかりが目立っていた2009年までとは状況が一変していた。E-Bookの標準フォーマットは重要な意味を持つようになった。 … [Read more...]

EPUB戦記(8):標準というゲームのルール

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筆者はOMGという国際標準化団体に関わっていたので、そこでの活動の表と裏を見る機会があり、多くを学ぶことが出来た。いちばん感銘を受けたことは、激論やごり押しや根回しといった(どこにでも見られる)風景だけではない、高い知性と公徳心を持つ人々の理性的な議論と、稀にしかお目にかかれない民主主義というものだった。そこでは言葉の壁などは、あまり問題にならない。ちゃんとした技術を持ち、目標を共有している限り、味方はつくれるのである。そうした意味では戦いは「日本対世界」といったものでは絶対にない。 … [Read more...]

EPUB戦記(7):世界標準に縦組という奇跡

CSS

EPUBは、W3Cの3標準(HTML、CSS、SVG)をベースとしているので、それらにない機能は入らない。ないものは間に合うように大急ぎでつくるしかない。それに日本と台湾でしか使われていない機能を世界標準に盛り込ませるには、相当の説得力と腕力、あるいはそれ以上のものも必要だった。奇跡とも言える1年半を見ていく前に、何をクリアする必要があったかを要約しておきたい。 … [Read more...]

EPUB戦記(6):国際標準化の舞台

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EPUB3標準に縦組仕様を盛込むプロジェクトの成功のドキュメントについて、できるだけわかりやすく描くのが筆者のミッションである。中心的な役割を果たした人々の話を順次紹介していきたいが、内容は簡単にまとめられるものではないし、それを理解していただくためには、国際標準化という、あまり世間では知られていない背景について、筆者なりにまとめておく必要を感じている。個人的にも20年近く関わったが、理解が進まないことには理由がないわけではない。 … [Read more...]

EPUB戦記・ノート(5):技術の宿命

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昨日は「EPUB vs. XMDF」について書いたが、このタイトルには違和感を感じる。技術的に比較してもあまり意味がない。対置し競争させようにも、じつはそもそも同じ平面には乗っていないからだ。XMDF(とDotbook)はEPUBとはまったく違った性質(あるいは宿命)を持っている。ベクトルが違うと言ってもいいかもしれない。これは前提とするビジネスモデルが違うためだ。この違いを隠してきたことが、「元年」へのエネルギーを空転させ、無化させた原因だと思う。しかしその最大の被害者は、シャープであったようだ。 … [Read more...]

EPUB戦記・ノート(4):EPUB vs. XMDF

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第1回では「筋書きが気になる」というコメントをいただいたが、これは筆者も同様だ。プロジェクトX風に、挫折を見た「男たち」が立ち上がり、壁を乗り越えて縦書を「世界」に認めさせ、めでたしめでたし、というドキュメント風フィクションの型は趣味ではない。このテーマにはいくつものコンテクストがあり、それによって緊張が生じ、バトルが生まれた。その過程で見えた日本社会の問題(技術的停滞と閉鎖性回帰)と、それを未来へ向けて変えていく力についてこそ書きたいと考えている。ここでは2つのコンテクストについて述べる。 … [Read more...]

EPUB戦記・ノート(3):E3Jにとっての壁とは

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E3Jプロジェクトの成功にはかなり謎が多い。メディアがほとんど取り上げなかったので情報が乏しい。フロックなのか、それとも日本人の国際標準化への関わりに新境地を拓いたものなのかを明らかにすることは、この 企画の最大のミッションだと考えている。自他ともに「特殊」とされてきた縦組を、どうやって国際標準の本体に入れられたのか、そして大企業や業界や国の支援もなしに出来た背後に何があったのかということである。もしかすると、なかったからこそ成功した可能性も含めて。 … [Read more...]