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	<title>EBook2.0 Forum</title>
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		<title>E-Book価格の将来は？:米国の見方</title>
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		<pubDate>Sun, 13 May 2012 11:19:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Book Industries]]></category>
		<category><![CDATA[Content Business]]></category>
		<category><![CDATA[Digital Book World]]></category>
		<category><![CDATA[価格問題]]></category>
		<category><![CDATA[市場予測]]></category>

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		<description><![CDATA[Digital Book Worldは、作家や出版界の知的指導者、メディア理論家、エンジニアなど、現代の“ブックピープル”による、今日的課題に対するシャープな洞察を3語で表現するシリーズを掲載しているが、ここでは「価格問 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="size-full wp-image-8596 alignleft" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="price" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/price.jpg" alt="" width="150" height="131" />Digital Book Worldは、作家や出版界の知的指導者、メディア理論家、エンジニアなど、現代の“ブックピープル”による、今日的課題に対するシャープな洞察を3語で表現するシリーズを掲載しているが、ここでは「価格問題」についての11人の発言集を紹介する（編集制作会社Winning Editsを経営するマット・ガーランド氏によるもので転載自由と明記されている）。<em><a href="http://www.digitalbookworld.com/2012/in-three-words-what-is-the-future-of-ebook-pricing/?et_mid=555224&amp;rid=2643938" target="_blank">In Three Words: What is the Future of E-Book Pricing</a></em>, by Matt Gartland, 5/9)<span id="more-8700"></span></p>
<blockquote>
<ul>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>controlled by marketplace</em></span><span style="color: #993300;"> ♦ <span style="color: #333333;">「</span></span>市場によるコントロール」（ジェレミー・グリーンフィールド、Digital Book World編集長）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>readers rule</em></span><span style="color: #993300;"> ♦</span> 「読者が決める」（ボブ・メイヤー、ベストセラー・ノンフィクションライター、コンサルタント、出版社創業者）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>balanced and profitable</em></span> <span style="color: #993300;">♦</span> 「均衡と収益性」（ジョシュア・タレント、eBook Architects CEO）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>big dogs decide</em></span> <span style="color: #993300;">♦</span> 「強い者が決める」（アンヌ・コスティック、Foxpath IND社コンテンツ・コンサルタント）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>a moving target</em> </span><span style="color: #993300;">♦</span> 「移動標的」（ドーン・ブルーノ、商務省、貿易政策担当上級スペシャリスト）</li>
<li><em><span style="color: #7b68ee; font-family: book antiqua,palatino; font-size: medium;">fluid, dynamic, cheap</span></em><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"> </span><span style="color: #993300;">♦ </span>「流動的、ダイナミック、廉価」（キャロライン・マックレイ、作家）</li>
<li><em><span style="font-size: medium; font-family: book antiqua,palatino; color: #7b68ee;">flexible, evolving, consumer-oriented</span></em> <span style="color: #993300;">♦</span> 「柔軟性、変化、消費者指向」（アダム・サロモン、Harvard Common Press発行人）</li>
<li><span style="color: #6a5acd; font-size: medium; font-family: book antiqua,palatino;"><em>low, lower, free</em> </span><span style="color: #993300;">♦「</span>廉価、さらに廉価、そして無償」 （エル・ロスロリアン、作家、独立系出版）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>price reflects value</em></span> <span style="color: #993300;">♦</span> 「価値を反映する価格」 （バーバラ・ギャレットリー、元版権エージェント）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>ask again tomorrow!</em> </span><span style="color: #993300;">♦ </span>「明日また聞いてみよう！」 （ジーン・カプランスキー、Aptara社デジタル・ソリューション・アーキテクト）</li>
<li><span style="font-size: medium; color: #6a5acd; font-family: book antiqua,palatino;"><em>predatory, dynamic, subscription-based</em></span> <span style="color: #993300;">♦  <span style="color: #333333;">「</span></span>略奪的、ダイナミック、購読制」（アンドレア・ニスベット、ワークマン出版）</li>
</ul>
</blockquote>
<h3>変わる価格概念</h3>
<p>編者による偏りはあるだろうが、市場によって変動する（それも下方に）というのが米国のブックピープルの共通認識と考えて間違いないように思われる。ちなみに、日本の出版人の価格に対する“呪文”を英語で表現すれば、Carved in Stone（石より硬い、神聖不可侵）といったところか。そうした人々は、本の価格は消費者とは無関係に、主として「原価」に基づくべきだというのだが、生産調整や第三者による買取保証といったシステムでもない限り、原価を小売価格に反映させるのは困難だ。現実には計画通りには売れずに原価を回収できない赤字出版物が大半であり、そうした赤字分も「原価」には反映される。<span style="color: #008000;">原価とは、出版社にとっての経営管理上の指標にすぎない。</span>それを社会的に押し通そうとすると市場が歪む、その歪みを権力によって保証してもらおうとすると出版が歪み、社会が歪む。権力は必然的に出版社と出版物を選別することになるからである。言論・出版の自由を売り渡したくないならば、出版社は原価割れのリスクを背負わねばならない。</p>
<p>これまでの出版流通は、再販制以外はなんとか業界の自主規制で機能してきた。これは江戸時代の「本屋仲間」というギルドに起源を持つ伝統であると思われるが、新参者、外来者を陰に陽に差別するという側面もあった。ネット上のデジタルコンテンツはそうした秩序から離れたところで成立する。そこで原価を根拠とする定価主義を制度として貫くには、権力の保護（介入）が不可欠だ。われわれが懸念するのはそこで、苦しくても頑張っていただくしかない。他のあらゆる商売と同じように。（鎌田）</p>
<a class="a2a_dd addtoany_share_save" href="http://www.addtoany.com/share_save?linkurl=http%3A%2F%2Fwww.ebook2forum.com%2F2012%2F05%2Fdifferent-views-on-ebook-pricing-of-tomorrow%2F&amp;linkname=E-Book%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E3%81%AE%E5%B0%86%E6%9D%A5%E3%81%AF%EF%BC%9F%3A%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A6%8B%E6%96%B9"><img src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/plugins/add-to-any/share_save_171_16.png" width="171" height="16" alt="Share/Bookmark"/></a>]]></content:encoded>
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		<title>職業としての出版(2.0)試論 (2)：1. 希少性と価値</title>
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		<pubDate>Sun, 06 May 2012 12:12:25 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Book Industries]]></category>
		<category><![CDATA[Content Business]]></category>
		<category><![CDATA[スキル]]></category>
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		<category><![CDATA[プロセス]]></category>
		<category><![CDATA[プロフェッショナリズム]]></category>

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		<description><![CDATA[前回の記事からだいぶ経ったが、連載をスタートする。出版産業終焉論を、筆者は出版再構築論として読んだ。希少性は時代によって異なるが、出版に関する希少性は、活字と紙とインク、生産・配送手段のような物理的資源ばかりではない。そ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8680" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="communicate" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/communicate.jpg" alt="" width="186" height="140" />前回の記事からだいぶ経ったが、連載をスタートする。出版産業終焉論を、筆者は出版再構築論として読んだ。<span style="color: #008000;">希少性は時代によって異なる</span>が、出版に関する希少性は、活字と紙とインク、生産・配送手段のような物理的資源ばかりではない。それらがネットによって情報化されても、出版による価値実現のためのプロセスと技術には希少性はあるはずで、それに対応したスキルの再定義が適切に行われれば産業として消滅することはない。<span id="more-8674"></span></p>
<h3>残り20%の真実：希少性と価値の再発見と再構築へ</h3>
<p>前回紹介したクレイ・シャーキイ氏のテーゼのポイントは、出版を産業として成立させている経済的土台としての「希少性」が失われたということだった。情報の制作、販促、流通、販売のサプライチェーンがデジタル化され、デジタル技術の利用においても、データの処理、蓄積、通信サービスの希少性が（たとえば20年前に比べて）皆無に近くなったために、商品の価格形成における秩序が崩壊した。空気はビジネスにならない。社会性、商業性に関わるすべての属性が希少性と結びついており、希少性を外して客観的価値を訴求できない以上、もはや産業とはいえないということだ。</p>
<p>デジタルは破壊的である。これは14世紀に始まった世界観の革命の最終的到達点と言える。現実世界を定量的に把握する「数量化」が、科学と技術を今日のような形に再構築し、機械文明を築いたわけだが、デジタルはその機械文明をも脱構築した。構造とプロセスとして数量化されたバーチャル世界は、機械も人間も従わせることが出来る。数量化された情報を通じて。</p>
<p>インドや中国のような古代文明（つまり数千年にわたり複雑で多元的な社会システムを動かした知的エリート中心の社会）の伝統を持つ国々が、21世紀のデジタルパラダイムの恩恵を最大限に享受している。アップルも、アマゾンも、IBMも、成功している世界企業は、すべてこの2つの超大国に依拠している。人と組織に依存した日本のモノづくりは、リバースエンジニア(解析)され、より巧みに再構築される段階に入った。サプライチェーンのデジタル的再編は、一定の知識教育水準を背景に大組織を担う中産階級の職を奪い、伝統的な権力エリート、各種専門家を無力化することで、かつての先進国の社会に深刻な打撃を与えているのだ。</p>
<p>中世末期のヨーロッパもそうだったのかもしれないが、いまは21世紀だ。情報だけはかなり使えるようになっているから、考えれば答えはあるはずだ。しかし、答えが見つかろうと見つかるまいと、先に都合のよい答えを用意しておいて現実を歪めることだけはやめよう。それが悪い結果をもたらすことだけははっきりしている。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8685" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="head" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/head.jpg" alt="" width="223" height="223" />シャーキイ氏の議論は、おそらく80%までは正しい。しかしこの世界には残りの20%が重要なことがある。例えば空気の8割は窒素だが、人間は残り2割の酸素で生きている。高度1万メートルでも空気中の酸素の割合は変わらないが、気圧が低下するので酸素も薄い。また、大気中の微量の二酸化炭素が重要な意味を持つことは広く知られている。だから、われわれもこの正しい理論を鵜呑みにしたりパニックを起こしたりせず、出版の生態系における環境変化を仔細に検討してみたい。「希少性」についてもう少し深く追求すれば、21世紀には21世紀なりの希少性（への評価）が見つかると思う。社会はコミュニケーションによって進化するはずだからだ。出版ビジネスは高度順化をする必要があるのかもしれないが、人間社会が存続する限り、絶滅することはないだろう。</p>
<p>さて、この連載の目的は、産業がどうなるかではなく、<span style="color: #008000;">職業としての出版がどう生き延び（何が継承され）、再び開花・発展に向かうかを考え、方向性を提起する</span>ことにある。これまでの出版は「紙と活字」で成り立ってきた。これらには希少性があり、希少資源を扱うスキルもまた希少であった。出版編集技術は、相当な知識と経験を必要とし、短期での修得は不可能だった。デジタルは誰でも一見して「それらしい」ものは作れる。ルールさえ解明されれば自動処理が可能なデジタル組版は、この世界で飯を食ってきた多くの人を慄然とさせるほどのものだ。しかし、ルールでは不十分な世界、創造性を必要とする世界はつねに存在する。問題はそれを認識し、ソリューションを考えるスキル、そしてその有効期間だ。</p>
<p>出版企画やマーケティングも資源の希少性を前提にしている。企画のポイントは、つねに定価を幾らにして初版を何部刷るか、その組合せでいくら稼げるかだった。デジタルでは制作部数は無意味になっている。しかし、知識やコミュニケーションを希少なものと考え、価値ある企画を開発し、創造的なコミュニケーションを組織するスキルは時代を超えたものであり、技術的前提が変わったからといって、仕事の本質は変わらない。ただ、デジタル時代には才能と経験のほかに、理論と技法が必要なケースが増えるだろう。出版界にも人材育成のシステムが必要だと考えている。（<span style="color: #ff6600;">→<a href="http://www.ebook2forum.com/2012/05/publishing-as-a-profession-2-scarcity-and-valu/2/" target="_blank">次ページ</a></span>に続く）</p>
<a class="a2a_dd addtoany_share_save" href="http://www.addtoany.com/share_save?linkurl=http%3A%2F%2Fwww.ebook2forum.com%2F2012%2F05%2Fpublishing-as-a-profession-2-scarcity-and-valu%2F&amp;linkname=%E8%81%B7%E6%A5%AD%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%87%BA%E7%89%88%282.0%29%E8%A9%A6%E8%AB%96%20%282%29%EF%BC%9A1.%20%E5%B8%8C%E5%B0%91%E6%80%A7%E3%81%A8%E4%BE%A1%E5%80%A4"><img src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/plugins/add-to-any/share_save_171_16.png" width="171" height="16" alt="Share/Bookmark"/></a>]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>コンテンツとテクノロジーの対話：(4) 田川建三の『書物としての新約聖書』その3</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/05/kobysh-blog-memoirs-in-digital-publishing-history-14-new-tastament-as-a-book-part-3-of-3/</link>
		<comments>http://www.ebook2forum.com/2012/05/kobysh-blog-memoirs-in-digital-publishing-history-14-new-tastament-as-a-book-part-3-of-3/#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 05 May 2012 17:24:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator>TLK</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kobysh Blog]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[コンテンツとテクノロジー]]></category>
		<category><![CDATA[小林龍生]]></category>
		<category><![CDATA[新約聖書]]></category>
		<category><![CDATA[版面]]></category>
		<category><![CDATA[田川建三]]></category>
		<category><![CDATA[翻刻]]></category>

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		<description><![CDATA[書物・出版の成立史とともにあった聖書の変遷は、本の本質についての様々な側面を余すところなく見せてくれる。それは本の脱構築と脱神秘化という今日的課題への回答を考えるわれわれにとって、他では得難いものだ。田川聖書論についての [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8048" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Kobysh_content_logo" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Kobysh_content_logo.jpg" alt="" width="100" height="102" />書物・出版の成立史とともにあった聖書の変遷は、本の本質についての様々な側面を余すところなく見せてくれる。それは本の脱構築と脱神秘化という今日的課題への回答を考えるわれわれにとって、他では得難いものだ。田川聖書論についての論考の完結編は、翻刻の問題を扱い、版面に対する創造的アプローチの重要性を説いている。「原文に忠実」、「譜面に忠実」というのは聞こえはいいが、じっさいにはフィクションであり、それを墨守すると思考停止に陥る。（編集子解題）<span id="more-8523"></span></p>
<h3>コンテンツとテクノロジーの対話：(4) 田川建三の『書物としての新約聖書』その3</h3>
<p>電子書籍の問題を考えるとき、<a href="http://www.amazon.co.jp/%E6%9B%B8%E7%89%A9%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%96%B0%E7%B4%84%E8%81%96%E6%9B%B8-%E7%94%B0%E5%B7%9D-%E5%BB%BA%E4%B8%89/dp/432610113X" target="_blank">『書物としての新約聖書』</a>との関連でどうしても考えておきたい、もう一つの問題は、翻刻ということだ。（蛇足ながら、翻刻とは<span style="color: #696969;">「写本・版本などを、原本どおりに活字に組むなどして新たに出版すること。」</span>と国語辞書には解説されている。編集子注）</p>
<p>『季刊哲学12号  電子聖書』に関わる思い出から。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8656" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="250px-Mark16-B" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/250px-Mark16-B.jpg" alt="" width="200" height="190" />この本には、荒井 献（ぼくはギリシャ語ゼミのできの悪い学生として謦咳に接したことがあるので以後先生と呼ばせていただく）の「プロローグとしてのエピローグ」と題された東京大学における最終講義の記録が載っている。この講義は、マルコ伝の（本来の）最後の部分である16章7節と8節にことよせて、先生御自身の新約研究の積み重ねを振り返ると共に、東京大学退官後の研究への抱負を語るものとなっている。この本の付録につけたフロッピーディスクで、ぼくはこの講義録を換骨奪胎して、そこに引用されているフェミニストの聖書学の視点からの解釈を浮かび上がらせる試みを行った。しかし、ここでぼくが議論したいのは、そのことではない。（写真右は、４世紀のギリシャ語写本によるマルコ伝16章8節の一部）</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8659" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Saint-Jerome" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Saint-Jerome.jpg" alt="" width="183" height="248" />この論文には荒井先生が取り上げたマルコ伝の個所が、ギリシャ語の原文と荒井先生の先任教授であった前田護郞による翻訳で掲げられている。このギリシャ語原文を『電子聖書』に掲載するに至るまでが大変だった。『季刊哲学』のページネーションを委託していた会社では、ギリシャ語の写植が打てない。中野さんが荒井先生に相談すると、「いいですよ、ラテンアルファベットの音写で」とおっしゃる。中野さんはエディトリアルデザインに関しても、名にしおう鬼だった。ギリシャ語原文での掲載に拘った。最終的には、この引用の部分だけ別途他の会社に依頼して清刷を作ってもらい、それを張り込むことで切り抜けた。（左の絵は聖書をラテン語訳した聖ヒエロニムス）</p>
<p>この経緯を横から見ていて、ぼくはちょっと意外な思いを抱いた。なぜ、荒井先生は、ギリシャ語原文に拘られなかったのだろう、と。</p>
<p>この疑問に答えを与えてくれたのも、『聖書としての新約聖書』だった。</p>
<p style="padding-left: 30px;">「ではどういうギリシャ語テクストが今日発行されているかというと、これはもう決定版で、すでに何度も言及した<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88" target="_blank">ネストレのテクスト</a>を用いることになる。これは玄人にも（玄人でも普通はこれしか用いない。注解書でも書く時には、それ以上調べることもあるけれども）、ギリシャ語の初級文法が終わった程度の素人でも（本文が非常にわかりやすく印刷されている。加えて定価が安い）、まずこの一冊ということになる。「まず」どころか、ネストレがあまりにみごとである故に、ちょっとほかの印刷公刊本は相手にならないのである。」（p400)</p>
<p style="padding-left: 30px;">「長年の伝統の結果、さまざまな記号や整理の仕方が確立していて、アパラトゥス（小林注：異本を関係を整理した注)の僅かな面積に嘘みたいに大量の情報を盛り込むことに成功している。」（p400）</p>
<p>ちなみに、このアパラトゥスの記号類は、ユニコードで標準化されて符号位置を持っている。それほどに、このネストレ版は普遍性を持っているのだ。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8664" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="180px-Eberhard_Nestle" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/180px-Eberhard_Nestle.jpg" alt="" width="108" height="164" />新約聖書の初期の写本は、ギリシャ語はギリシャ語でも、すべて大文字で書かれている。現代的な意味での句読点もない。聖書テキストの翻刻とは、このような複数ある写本を比較検討して、その系統を整理し、適切な句読点をほどこして、本文を確定していく、というまさに気の遠くなるような作業なのだ。現時点でネストレの最新版は1993年に発行された27版だが、この版が発行された時には、26版との句読点の異同が、神学的な聖書解釈にまで影響を与えるといった議論で斯界が大騒ぎになったことを記憶している。ちなみに、ぼくも、ドイツ語対訳の27版を持っている。（写真右は、エベルハルト・ネストレ）</p>
<p>この個所を読んで、なぜ荒井先生が、ギリシャ語原文に拘らなかったか、というぼくの疑問は氷解した。</p>
<p>元々の写本の多くは大文字で書かれており、句読点もない。それらを比較検討した上で本文を確定して<span style="color: #990000;">翻刻</span>する。即ち、翻刻にはすでにある種の解釈が介在している。一方、ギリシャ文字からラテンアルファベットへの<span style="color: #990000;">音写</span>方法は、確立しており、専門家であれば（ギリシャ語を少しかじっただけのぼくでも）完全に一対一に対応が取れる（ぼくたちの業界の言葉で言えば、ラウンドトリップ・コンヴァージョンが可能）。写本とギリシャ語翻刻との距離に比べればギリシャ語翻刻とラテン・アルファベットへの音写との距離は取るに足りない。</p>
<p>日本語学者の豊島正之さん（キリシタン本研究の泰斗）に<a href="www.joao-roiz.jp/mtoyo/on-JCS/mt-gene.pdf" target="_blank">「JIS批判の基礎知識」 </a><a href="www.joao-roiz.jp/mtoyo/on-JCS/mt-trns.pdf" target="_blank">「『原文に忠実な翻刻』をめぐって」</a><cite></cite>という隠れた名論文がある。1998年、JISやUnicodeに対する論拠が薄く情緒的な反応に流された批判の嵐が渦巻いていたころ書かれたもの。</p>
<p>この論文で、豊島さんは、日本の古典籍を翻刻する際の漢字の包摂について論じている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">「各文献原文に対して『原文に忠実な翻刻』『厳密な翻刻』というものが存在し、それを可能にする為に極力微細な文字区別が必要である、とする主張がある。どうも、この立場には、文字区別を微細に行えば、主観が入り込む余地無く客観的に厳密な翻刻が出来る、という思い込みがある様である。」</p>
<p style="padding-left: 30px;">「翻刻は、解釈である。」</p>
<p style="padding-left: 30px;">「実際の翻刻を行えば直ちに分かる事だが、微細な文字区別から出発する事によって解釈が可能になるのではなく、実際の進行は全く逆で、精細な解釈を得て始めて（ママ）まともな文字区別が出来るようになるのが実情である。」（『原文に忠実な翻刻』を巡って）</p>
<p>なんと明解な言挙げであろう。実践に裏付けられた確信に満ちた説得力がある。</p>
<p>文字コードの周辺で活動する人たちの一部に、まさに「厳密な翻刻」を論拠として、符号化された文字の少なさを挙げ連ねる人がいるが、豊島さんは、そのような人たちに対して、現場の実体験を踏まえた上で、全面的な否を唱えているのだ。ぼくもこの豊島さんの論旨に全面的に賛同する。</p>
<p>その上で、15年経過した2012年の電子書籍の状況を瞥見すると、正直なところ、暗澹たる思いを拭い去ることが出来ない。電子書籍の、例えば既存の活版時代の書籍の電子化や、シフトJISで符号化されたJIS X 0208を前提に電子化されたテキストのUnicode化などに関わった人たちの中に、1人でもこの豊島さんの論文を踏まえた上で、<span style="color: #008000;">電子化テキストの有り得べき翻刻の在り方</span>について思いを馳せた人がいるだろうか。</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8666" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="kappan" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/kappan1.jpg" alt="" width="182" height="277" />活版時代のある特定の字母型セットを前提に、ある特定の文選工文化を背景として組まれた版面の、その当時の印刷技術水準（必ずしも劣っていたという意味ではなく）に制約された校訂者の判断を金科玉条として、その当時の翻刻版面の「微細な文字区別」に拘泥しただけの、<span style="color: #008000;">当事者意識とは無縁の責任回避的な視覚的再現</span>のみを目的化してはいないだろうか。（左は『本邦活版開拓者の苦心』（津田三省堂）の宋朝体による序文）</p>
<p>古典籍の翻刻に限らずとも、活版印刷の時代に出版された書籍の電子化に際して、著者校を通して著者が目を通しているという理由で、やはり印刷現場の制約と、その制約と表裏をなす見識で組まれた版面の維持に拘泥してはいないだろうか。</p>
<p>ぼくは、活版時代の職人の見識を否定するつもりは毛頭無い。全く反対に、活版時代に充溢していた現場の文化が霧散してしまい、それ故に、その文化を批判的に継承することも出来ずに墨守するだけの電子テキスト化の方法に疑義を呈しているのだ。今必要なのは、活版時代の（もしくはシフトJIS時代の）版面を無批判に墨守することではなく（それだったらそれこそ集団的自炊炊き出しで十分だろう）、当時の現場の文化に対する畏敬の念を抱きつつ、それを批判的に継承する電子翻刻の文化を探ることではないか。</p>
<p>ずっと以前、豊島さんに、『書物としての新約聖書』を紹介したことがある。豊島さんが、この田川建三の名入門書を高く評価したことは言を俟たない。（小林龍生）</p>
<p>&nbsp;</p>
<blockquote><p><span style="font-size: medium;">小林龍生（こばやし たつお）</span></p>
<p>1<img class="alignright size-full wp-image-7941" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="kobysh1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/kobysh1.jpg" alt="" width="82" height="82" />951 年生まれ。東京大学教養学部科学史科哲学分科卒。　Unicode Consortiumディレクター、IDPF理事、W3C日本語レイアウトTF議長、情報処理学会情報規格調査会SC2専門委員会委員、日本電子出版協会 フェローなどとして、ITと言語文化の接点にあって国際標準化の現場で活躍。小学館では学年誌の編集、ジャストシステムでは製品・技術開発に携わったほ か、初期の電子書籍プロジェクト（電子書籍コンソーシアム）も経験している。主著『ユニコード戦記』（東京電機大学出版局、2011）</p></blockquote>
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		<title>電子出版史談：(8) 『数理科学』とOld Black Joe</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/04/kobysh-blog-memoirs-in-digital-publishing-history-14-old-black-joe/</link>
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		<pubDate>Sun, 22 Apr 2012 06:55:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>TLK</dc:creator>
				<category><![CDATA[Content Business]]></category>
		<category><![CDATA[Kobysh Blog]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[小林龍生]]></category>
		<category><![CDATA[活版印刷]]></category>
		<category><![CDATA[電子出版史談]]></category>

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		<description><![CDATA[日本の職人文化は世界から賞賛されてきたものだが、それはアートがあるからだ。それこそテクノロジーの進化の源泉でもある。だが残念ながら職人は仕事でしか語ってくれず、それが分かる繊細さを持った人しか聞くことができない。昔の編集 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-7939" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Kobysh_sidan" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Kobysh_sidan.jpg" alt="" width="100" height="99" />日本の職人文化は世界から賞賛されてきたものだが、それはアートがあるからだ。それこそテクノロジーの進化の源泉でもある。だが残念ながら職人は仕事でしか語ってくれず、それが分かる繊細さを持った人しか聞くことができない。昔の編集者は、現場で職人と「対話」しつつ出版のアートの理解を深めることが出来た。今日「活字文化」が言われる割には、活版時代の活字と組版を省みる人は多くない。真似をするための技術であるデジタルがそこにあるというのに。（編集子解題）<span id="more-8354"></span></p>
<h3>電子出版史談：(8) 『数理科学』とOld Black Joe</h3>
<p>サイエンス社の<a href="http://www.saiensu.co.jp/?page=magazine&amp;magazine_id=1" target="_blank">『数理科学』</a>昭和62年5月号の編集後記。小学館を退社した前後、小学館時代にお仕事をお願いしていた編集プロダクションの編集者が、数理科学の編集にも関わっていた機縁で、この編集後記を紹介してくれた。バックナンバーを一冊いただいたのだが、いつのまにか手元に見当たらなくなってしまった。しかし、この一文は、忘れたくても忘れられない印象をぼくの中に残した。このブログを書き始めて、どうしても紹介したくなり、東京電機大学出版局の浦山さんに頼み込んで、図書館の書庫に潜り込んで探し出してきた。サイエンス社からもご本人からも許可を頂戴していないが、きっとお許しいただけると確信している。ご本人か関係者が目にされたら、ぜひコメント、ご連絡をいただきたい。</p>
<p>末尾の村松さんは、そのころの編集人だった村松武司氏。</p>
<blockquote><p><strong>編集後記</strong></p>
<p><span style="color: #333399;">前号「量子力学と先端技術」の最終の校正刷をみて， 印刷所の校正室を出ようとした． 印刷会社の課長のＮ さんが椅子から立ちあがってこう言った．</span></p>
<p><span style="color: #333399;">「とうとうこれが最後の活版印刷になりましたね」．不意の言葉だったが，胸にこたえるものを感じる．ながいあいだ，金属で作られた文字である活字の本を読み， それを使って出版し， おかげで食べてきた活版印刷が，前号で終った．</span></p>
<p><span style="color: #333399;"> 感傷も多少あるが． 思いだせばキリがない． 印刷所の事務室のまんなかに， 大きな机を据えつけ， 活字母型を虫メガネでながめ， いかに美しい書体に改良してゆくか工夫をこらしていた印刷所の親父さん． また兜のような新聞紙の折紙で作った帽子をかぶって， 老眼鏡を鼻の先に下げて，並んで活字箱を突ついていた，まるで鶏舎のニワトリのような文撰工，そして植字工．だいたいが声が大きく，気性が激しく， 真黒に汚れていたが， ひと風呂浴びるとイナセな男衆たちに一変した． 休日にたまたま急ぎの校下があって着流しのまま角帯を巻いて印刷所に立ち寄ったとき，手を叩いて喜んでくれ，正しい角帯の締め方を教えてくれたのは，築地界隈の工場の労働者であった．はにかみやで， 物識りで， 理論家ぞろいの彼ら． ほんとうは， わたしは， 工場の現場の奥まで立ち入るのが怖かった． 印刷と出版のノウハウがそこにあり， わたしたち若かった編集者のそれは， 頭とロ先のものだったのがわかったからだ． わたしたちは印刷をそこで教育された． そして出版とは，印刷そのものであった．</span></p>
<p><span style="color: #333399;">このような職場から作り出された出版物であったが， いま出版・印刷の企業合理化によって， 活版が消え去ろうとしている．なくなることはないであろうが，激減しつつある． このことは， かつての感傷風景が消えるだけではすまないものがあるかもしれぬ， するどい， カミソリが削いだような楷書スタイルをもった金属の活字が， まさに刻印し， 強制してきた文字の意味内容も， 抵抗感も薄らいでゆく． あるいは古い慣れはやがて新しい慣れに変わるという単純なことかもしれない．</span></p>
<p><span style="color: #333399;">いずれにしても変化し， 新しい印刷に移ってゆこうとするとき， かつての懐しい仲問たちにお礼を言わなければならない．ありがとう！Old Black Joe．</span></p>
<p><span style="color: #333399;">（村松）</span></p>
<p><strong><br />
</strong></p></blockquote>
<p>この編集後記を紹介してくれた編集者から聞いた話を思い出した。</p>
<p>この編集者は、文芸誌の編集にも関わっていた。若いころ、目次を担当した折のこと。文芸誌の目次は、観音開きと言って、折り込みを左右に開いて、都合4ページで構成するのが常道だ。たいていの号は、記事の本数も決まっており、前号通りのパターンで入稿すればそう難しいことはない。ところが、ある号で、記事の本数が増えた。さまざまに組指定を工夫して入稿するのだが、何度入稿しても、「この指定では組めない」と言って突っ返されてくる。編集者は、最後はほとんど泣きそうになりながら「お願いですから何とか納めてください」と書いて、ラフな指定で入稿した。校正刷りは、見事なほどぴったりと従来通りの版面に納まっていた。</p>
<p>そう、このエピソードを聞いたときに、そう言えば、といった感じで、この編集後記を見せてもらったのだった。多分、ぼくはジャストシステムに移っていた。大地の販促に使う組見本が欲しくて、旧知のこの編集者を訪ねたのではなかったか。記憶は定かではない。しかし、この編集後記は、今に至るまで、印刷出版に関わることを考える際に、《現場の知》を忘れないための、貴重な拠り所となっている。</p>
<p>そう言えば、大地のころは、リョービイマジクスの澤田善彦さんにもずいぶんお世話になったし、教えてもいただいたなあ。澤田さんのことは、回を改めてまた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<blockquote><p><span style="font-size: medium;">小林龍生（こばやし たつお）</span></p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-7941" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="kobysh1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/kobysh1.jpg" alt="" width="82" height="82" />951  年生まれ。東京大学教養学部科学史科哲学分科卒。　Unicode   Consortiumディレクター、IDPF理事、W3C日本語レイアウトTF議長、情報処理学会情報規格調査会SC2専門委員会委員、日本電子出版協会  フェローなどとして、ITと言語文化の接点にあって国際標準化の現場で活躍。小学館では学年誌の編集、ジャストシステムでは製品・技術開発に携わったほ  か、初期の電子書籍プロジェクト（電子書籍コンソーシアム）も経験している。主著『ユニコード戦記』（東京電機大学出版局、2011）</p></blockquote>
<a class="a2a_dd addtoany_share_save" href="http://www.addtoany.com/share_save?linkurl=http%3A%2F%2Fwww.ebook2forum.com%2F2012%2F04%2Fkobysh-blog-memoirs-in-digital-publishing-history-14-old-black-joe%2F&amp;linkname=%E9%9B%BB%E5%AD%90%E5%87%BA%E7%89%88%E5%8F%B2%E8%AB%87%EF%BC%9A%288%29%20%E3%80%8E%E6%95%B0%E7%90%86%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%80%8F%E3%81%A8Old%20Black%20Joe"><img src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/plugins/add-to-any/share_save_171_16.png" width="171" height="16" alt="Share/Bookmark"/></a>]]></content:encoded>
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		<title>Kindle狂想曲のクライマックス</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/04/kindle-rhapsody-climax-in-japan/</link>
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		<pubDate>Sat, 21 Apr 2012 08:20:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<category><![CDATA[Content Business]]></category>
		<category><![CDATA[Editorial]]></category>
		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
		<category><![CDATA[Kindle]]></category>
		<category><![CDATA[アマゾン]]></category>
		<category><![CDATA[価格問題]]></category>
		<category><![CDATA[再販制]]></category>

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		<description><![CDATA[「Kindle上陸」が主要日刊紙で間歇的しかし大々的に報じられるようになって半年あまり。確定的な報道のはずが、いずれもほどなく噂にまで格下げされている。噂にもいろいろあるが、米国のネイト・ホフェルダー氏は、この噂をユニコ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8630" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="rumor" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/rumor.jpg" alt="" width="126" height="126" />「Kindle上陸」が主要日刊紙で間歇的しかし大々的に報じられるようになって半年あまり。確定的な報道のはずが、いずれもほどなく噂にまで格下げされている。噂にもいろいろあるが、米国のネイト・ホフェルダー氏は、この噂をユニコーン（想像上の獣）として扱い、<a href="http://www.ebook2forum.com/members/2012/03/bowker-global-monitor-depicted-japan-in-isolation/" target="_blank">バウカー社の調査</a>を引用して、日本人はE-Bookなど要らないようだから、アマゾンも無駄なカネを使わないほうがいい、とまで言っている（<a href="http://www.the-digital-reader.com/2012/04/18/amazon-finally-signing-japanese-publishers-maybe-not/" target="_blank">The Digital reader, 04/18</a>）。じっさい。これは異常な事態である。<span id="more-8627"></span></p>
<p>新聞はそれなりの裏を取って報じたのだろう。どこか（この場合はアマゾン）に頼まれて、言われる通りに書いたという可能性は考えられない。それでは、日経、読売、朝日などの各紙が、揃いも揃ってハズしてしまうという事態が生じたのだろうか。関係者が数十にも達するようなのに、こうも空気が重苦しいのはなぜなのか。</p>
<h3>見苦しい出版業界のラインダンス</h3>
<p>アップルがiPodやiPhone、iPadでそれぞれのカテゴリーを創造し、圧倒的なシェアを築いたのと同じように、アマゾンはKindleでE-Bookというカテゴリーを創造した。その会社が日本(および世界)で日本(語)のコンテンツを売ってくれるのは大変結構なことだ。新しい市場を創造するのはかなり途方もないエネルギーと技術的先進性が必要で、簡単に真似が出来るものではないことは、アップルやGoogleを見ればわかる。世界のトップ企業が日本でビジネスをし、日本企業と競って市場を成長させてくれることは、消費者にとっても企業にとっても重要なことだと思う。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8634" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="shutup" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/shutup.jpg" alt="" width="123" height="120" />アマゾンと国内出版社との間の交渉は<span style="color: #008000;">合意</span>、あるいは<span style="color: #008000;">契約</span>(調印)にまでいったのか。いったのならばなぜ正式<span style="color: #008000;">発表</span>がなく、未確認情報ばかりが報道されるのか。おそらくは「合意済み・調印前」の出版社が一定数ありながら、誰かにとって「十分」な数が揃わないのだろう。アマゾンが立ち上げ時期に合わせるために発表を待っているのか、あるいは出版社側が「足並み」を揃えるために、横並びの呼吸を量っているのか。メディアへの出版社の対応を見ている限り、後者である可能性が強い。つまり異常に神経を使っているという印象なのだ。契約はアマゾンと個々の出版社の二者間の契約であり、アマゾン以外との契約で、出版社がこれほど神経を使っているという例は聞いたことがないから、出版界は、アマゾンに対してだけ一種の共同歩調をとって（とらされて）いる可能性が強い。</p>
<p>ではなぜ、他社の動向にそれほど神経を尖らせるのか、なぜ自社の判断で決められないのかと言えば、それは<span style="color: #990000;">価格</span>(決定権)以外にはないだろう。ここ数年、出版社の関心は、価格問題と電子版権問題（著者の合意）に集中してきた。ちなみにこれは20年前の「電子出版」ブームとは大違いで、新しいメディアに前向きの声はほとんど聞かれていない。現状の「電書」市場の（呆れるほどの）立ち上がりの遅さ、消費者の関心の薄さの原因を問題とするよりも、紙の市場を喰っていないことへの安堵の「空気」が強いほどだ。日本の出版は明らかに危機にあると思うのだが、その危機感はデジタル革命を体現するアマゾンに対して向けられている。これは逆であると言わざるを得ない。</p>
<h3>空洞化し、崩落の危機にある再販制</h3>
<p>どうも出版界は「前門のアマゾン。後門の再販制空洞化」の間で、深刻なジレンマに進んで陥ってしまったようだ。<span style="color: #008000;">＜再販制護持→電書の定価制→版権のコントロール→国家補助による電子化推進</span>＞、という発想で考えている人がいるが、これは不可能であり、メディアとして不名誉な死、すなわち著者と読者の両方から見放されるという最悪の結果で終わるだろう。そもそも<span style="color: #008000;">紙の本の市場を守るということと再販制護持とは矛盾している</span>。ネットでも電書でもなく、硬直した再販制こそが、15年間で出版市場の3分の1を減らした最大の原因なのだから。このシステムは、じりじりと降りてくる吊り天井のように、出版活動をますます困難にしている。</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8636" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Kaoloon2" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Kaoloon2.jpg" alt="" width="274" height="184" />再販制を維持したい気持ちは理解できる。これには金融・物流・情報の3つの機能が組み込まれており、機能不全に陥っているとはいえ、生活の場として現に動いているシステムなのだ。しかし、もうタイムリミットだ。おそらく2020年までには、出版社の倒産、書店の閉鎖が拡大し、自然崩壊（出版のではなく産業としての解体）に向かう。多臓器不全となり、含み損が一挙に顕在化するからだ。したがって遅くても2015年までには、新本、古本、デジタルを含めた新しい出版流通システムについて合意し、移行をを始めないと、かなり深刻な事態に陥る。著者と読者の両端をつなぐ一貫したシステムを効果的に提供できる存在はアマゾン１社となるからだ。これがハードランディング・シナリオだが、金に困った大出版社には、文化的・社会的な役割を期待できないから、より緩慢なシナリオでも結果はたいして変わらないだろう。<span style="color: #2f4f4f;">（写真上はかつての香港・九龍城</span>）</p>
<h3>アマゾンはギョーカイではなく、出版<span style="color: #008000;">人</span>に信頼される存在になれ</h3>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8635" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="creative_mind2" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/creative_mind2.jpg" alt="" width="112" height="112" />辛らつなホフェルダー氏によれば、日本はE-Bookに敵意を持つ国なのだそうだが、日本人の多くは（2007年以前の米国人と同じように）まだE-Bookを知らないのだから、現在のデバイス、サービス、価格、品揃えで期待が低いのは無理もない。筆者も「紙があり、値段もさほど違わず、デバイスが制限され、将来も読めるか予測できず、何の魅力もない」コンテンツを買っていない。日本人が無関心なら「自炊」までするユーザーが少なくない理由が説明できない。</p>
<p>だから、アマゾンに対しては、他の国を優先するのではなく、「著者と読者の間にいる存在は中間的で、積極的な価値を提供できない限り排除される」という信条を日本で実践してくれることを期待したい。この会社はすでに日本最大の書店で、Kindleに期待する愛書家を有している。必要なのは、電子著作権を持っている現在（および将来）の著者と、コンテンツの価値を知り、出版物としてプロデュースできる出版人、編集者、クリエイターたちだ。彼らは価格革命を前向きに生かす知恵を持っている。日本は豊かな出版の歴史を持ち、版権切れの著作物も無数にある。デジタル・ファーストのビジネスモデルで、リスクを最小化することで、転換期に生きる知恵と心の糧を必要とする人々の期待に応える出版が可能であることはすでに実証された。</p>
<p>アマゾンが本当に消費者のための会社なら、この病める経済大国で、談合を空気として生きてきた、ビジネスマンならぬギョーカイ人に遠慮することなく、著者と消費者の間のラストワンマイルをつなぐ役割を果たせるだろう。　（鎌田）</p>
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		<title>職業としての出版(2.0)試論 (1)：イントロ</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/04/publishing-as-a-profession-1-introduction/</link>
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		<pubDate>Mon, 16 Apr 2012 11:00:50 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[先日、小宮山量平さんが大往生されたが、20世紀の出版人がこの世を後にし、出版の技術的・経済的基盤が転換する中で、職業としての出版について考えてみたいと思いついた。直接のきっかけは「出版は進化せず、消え去るのみ」というクレ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8616" style="margin-left: 0px; margin-right: 10px;" title="publish" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/publish.jpg" alt="" width="151" height="100" />先日、<a href="http://www.editorsmuseum.com/" target="_blank">小宮山量平</a>さんが大往生されたが、20世紀の出版人がこの世を後にし、出版の技術的・経済的基盤が転換する中で、<span style="color: #990000;">職業としての出版</span>について考えてみたいと思いついた。直接のきっかけは「出版は進化せず、消え去るのみ」というクレイ・シャーキイ氏の発言だ。とりあえずは、出版がどうなるかではなく、出版で何をしたいのか、何をすべきなのかが問題なのだと思う。<span id="more-8611"></span></p>
<blockquote><p>「出版が進化することはなく、消え去るしかありません。なぜなら「出版」は、情報を公にするという、信じられないほど困難で複雑で、金のかかることを請け負ってきた専門家を意味していますが、それはもう仕事ではないからです。いまやそれはボタンにすぎません。「発行する(publish)」というボタンを押せば、それで終り。」</p></blockquote>
<h3>出版はボタンに置き換えられる!?</h3>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8619" style="margin-left: 10px; margin-right: 0px;" title="tumblr_m02x6fh6bD1qidn1b" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/tumblr_m02x6fh6bD1qidn1b.jpg" alt="" width="144" height="115" />4月5日、Findings.comに掲載されたメディア理論家<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Clay_Shirky" target="_blank">クレイ・シャーキー</a>氏の<a href="http://blog.findings.com/post/20527246081/how-we-will-read-clay-shirky" target="_blank">インタビュー</a>は、かなり衝撃的だった。曰く。15年前は、情報を公表するのは難しくてカネがかかり、秘密にしておくのは簡単で安かった。いまでは情報を公表するのはタダで、秘密にするほうにカネがかかる。情報を公開するのに職業的な技能は必要ない。WordPressをインストールすればいい。出版に何が起きているかが問題なのではなく、出版というカテゴリーが消滅したことが問題なのだ。編集は不可欠で、事実確認も必要。長いテキストの出版にはデザイナーが必要なこともある。しかし、映画スタジオのように1ヵ所に集めてやる必要があるだろうか。装置としての出版は消滅した。印刷物が欲しい時でも、PDFファイルをプリンターに送るほうが一般的になるだろう…。</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8621" style="margin-left: 0px; margin-right: 10px;" title="print2" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/print2.jpg" alt="" width="158" height="74" />これが彼の持論の延長であるとはいえ、出版という仕事が「ボタン」に置き換えられると言われて、心穏やかでいられる出版人は少ないだろう。「社会は新聞を必要としない。必要なのはジャーナリズムだ」といった一種過激な（しかし原理的には正しい）発言で知られるシャーキー氏は、まず人々の思考の枠組みをリセットしようとする。それは、たしかに妥当なものだ。彼の言うように、真の革命においては、「古いものは、新しいものへの交代を待つ間もなく破壊される」からだ。新聞にせよ出版にせよ、納得のいくオルターナティブが出ないうちは破壊は起きないという楽観にはまったく根拠がない。コミュニケーションの土台が変われば、それに関わる旧いものは崩壊する。</p>
<p>しかし、問題はそこから始まる。メディアは、一種の社会契約の一部であり、出版社が伝統的に引き受けてきた役割も、出版に関わるコストや技術・技能とともに崩壊し、それが何らかの形で再建されるには何世代もかかる可能性がある。グーテンベルク（1398年頃-1468年）以後の16世紀のヨーロッパに訪れた大混乱はそうしたものだった。経験と学識を積んだ何人もの写字僧が行っていた仕事が、活版職人や印刷＝出版業者に委ねられるようになっただけで、世界は文字通り一変したのである。近代と出版は中世的調和の破壊と、イタリック体とノンブルを使う小型本を発明したアルドゥス・マヌティウス（1450年頃-1515）の上実験の上に誕生した。</p>
<h3>消滅した課題にしがみつく旧産業</h3>
<p><img class="size-full wp-image-8620 alignright" style="margin-left: 10px; margin-right: 0px;" title="220px-Virgil_1501_Aldus_Manutius" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/220px-Virgil_1501_Aldus_Manutius.jpg" alt="" width="108" height="179" />今日、出版社はE-Bookは安くないことを必死で強調しているが、安くなってほしくないために懸命に頑張っているように思えてならない。シャーキー氏が言うように「組織というものは、それが解決する課題を保存するように努める」ものだが、今日の出版社が苦しんでいるコストの大部分は、生産と流通に関わる必要なコストではなく、伝統的（高コスト）な事業形態と雇用を維持するためのコストであると言っていい。生産と流通における最新のデジタル技術のメリットを生かさず、二重投資を続けていたのでは、たしかに安くならない。しかし、いずれはこうした伝統のコストを継承しない軽い出版社が登場し、高い利益を出すようになるだろう。それどころか、身軽になった欧米の大手出版社は、巧みに高収益経営に転換しつつある。（写真左はアルドゥスの印刷によるヴェルギリウス、1501）</p>
<p>資源多消費型商品である印刷物を扱う、高コストと複雑な技術が参入障壁となって安定（日本では衰退）してきた出版産業は、たしかに消滅しつつある。ワープロによって入力オペレータが消滅し、デジカメによってプロ・カメラマンが激減したように、出版のプロたちの雇用も危うい。そうした中で、新聞（産業カテゴリー）とジャーナリズム（社会的機能）との関係に対応するものを出版について求めるとすれば、それは<span style="color: #990000;">「知識情報のコミュニケーション」</span>あるいは<span style="color: #990000;">「文化的創造の容器」</span>という機能であろう。産業や企業はどうあれ、社会的機能は維持再建されなければならない。消滅しつつある「出版」から機能としての「出版」を継承し、新しい「契約」と、贅沢を言えば産業としての出版（仮に2.0としておこう）を再構築する事業は、出来れば後世に回したくない。</p>
<p>ということで、大それたことであり、予断はおろか、何を書くか、確たる目算も持っていない段階で恐縮だが、「<span style="color: #990000;">職業としての出版(2.0)</span>」を試論として提起したいと思う。<span style="color: #008000;">出版が果たしてきた社会的機能は何であり、それはインターネットの時代にいかに再編・再構築されるか、職業としての出版人に期待されるスキルはどのようなものか</span>を、以下のような観点から考えることにするが、穴や見当違いを含めて、ぜひ皆さんに一緒に考えていただきたい。（鎌田敬白）</p>
<blockquote><p><span style="font-size: medium;">職業としての出版(2.0)試論</span></p>
<p>1. 希少性と価値<br />
2. テクノロジーとメディア<br />
3. 知識と技能<br />
4. 価格・市場・ビジネス<br />
5. 生産性と創造性<br />
6. プロフェッショナリズム<br />
7.  コミュニケーションとソーシャル</p></blockquote>
<h4>参考</h4>
<ul>
<li>クレイ・シャーキー<a href="http://longtailworld.blogspot.jp/2009/03/clay-shirkys-newspapers-and-thinking.htmlhttp://" target="_blank">「新聞、考えられないことを考える」</a>：Clay Shirky&#8217;s &#8220;Newspapers and Thinking the Unthinkable&#8221;、訳：市村佐登美、2009年3月</li>
</ul>
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		<title>Amazonとつき合う5ヵ条：(5) 価格決定法</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-05-pricing-power-and-intelligence/</link>
		<comments>http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-05-pricing-power-and-intelligence/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 29 Mar 2012 11:59:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[「いい値」で売れるのであれば、世の中には売り手ばかりになる。市場を重視する社会ではそれはない。だがいくつかの世界で「いいね」が通用する。税金、保険料、公共料金…公権力の絡む世界だ。そして出版、新聞、NHK。これらは情報を [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8590" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="sale2" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/sale2.jpg" alt="" width="117" height="99" />「いい値」で売れるのであれば、世の中には売り手ばかりになる。市場を重視する社会ではそれはない。だがいくつかの世界で「<span style="color: #ff6600;">いいね</span>」が通用する。税金、保険料、公共料金…公権力の絡む世界だ。そして出版、新聞、NHK。これらは情報を遍く行き渡らせるという「民主主義に不可欠な」役割の公共性が評価され、「チェックすべき」相手の公権力から「いいね」特権が認められている(??)。しかし、出版物は公共料金とは違う。需要の減少には勝てないのだ。<span id="more-8586"></span></p>
<h3>E-Bookの価格における錯覚と感情</h3>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8591" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="gooufu" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/gooufu.jpg" alt="" width="239" height="170" />出版関係者にはなかなか理解してもらえないのだが、電書／アプリ(E-Book)と印刷本(P-Book)は根本的に異なる商品だ。実物と複製の違いに近く、神符とその写真の違いに近い。複製に利用価値がないことはないが、所有価値は大きく下がる。アマゾンがE-Bookを安く売るのは怪しからんという人は、例えばルノワールの傑作の複製が不当に安く、原作の価値を大きく損なっているとか、放送したらCDやライブのチケットが売れなくなると主張しているようなものなのである。主張するだけならいいが、権力まで巻き込もうとすると、いろいろ問題が複雑になってくる。借りが増えれば依頼心が生れる、それに（カネ以外の方法で）返さなければならない。それが問題なのだ。<span style="color: #808080;">（写真は熊野牛王符）</span></p>
<p>同じコンテンツを出版しても、E-BookとP-Bookで違うのは、後者がモノとしての完全性、独立性を持った一人前の商品なのに対して、前者はデバイスを使ってはじめて「利用」できるサービスの一部だから、古本屋に持っていって売ることも出来ないということだ。それどころか、サービスが停止になれば未来永劫に使えなくなる可能性もある、じつに困った（ハイリスク）商品だ。また嫌味を言わせてもらえば、E-BookとP-Bookを同列に扱うのは、印刷･製本には何も価値がなく、一度でも読んだら、中身も価値がなくなると言っているようなものだ。雑誌の「袋とじ企画」のようなものか。一読で価値を損ずると自ら言っているようなものだ。読んで減るものはわざわざ読まなくていい。いやはや、こんな人たちが出版を担っているのかと思うと情けなくなる。</p>
<p>それに比べたら、「自分の2年間の辛苦の結晶が、たったコーヒー1杯分だなんて…」という米国のある作家のコメントは微笑ましい。彼は自作の価格が作品の評価と比例すべきで、読みたいと思う人は少なくともディナー1回分であるべきだと考えているわけだ。価格と中身の関係がないとは言えないが、価格と収入とは無関係であるとか、シェークスピアだって芥川だって、E-Bookではタダだということで納得してもらいたい。価値は価格（つまり商売）とは無関係に実証しなければならない。価値を主張するのはいいし、すべきなのだが、出版は権力的に市場の機能を制限すると必然的に歪が大きくなる。</p>
<h3>E-Bookの価格決定法：オンラインマーケティングの世界</h3>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8595" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Price_elasticity" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Price_elasticity.jpg" alt="" width="220" height="146" />こうした笑い話とは別に、E-Bookをいったいいくらに設定すべきかが分からないという問題がある。とくにP-Bookを含めた出版プロジェクトにおいて、どんなバランスにしたらよいのかが問題だ。これが分からないから「紙の本の値段」を基準に考え、街の書店と同じように、売れようと売れまいと新しいものを流していくという姿勢になりやすい。しかしこれは最低最悪だ。インターネットでものを売るには物理的な店舗と異なる一定の法則がある。それを無視しても売れないのは当たり前だ。大型店なら売れるというものではない。</p>
<p>インターネットにはインターネットの売り方がある。データを集め、実証的に考える。時間をかけず、数理モデルをつくって先取り的に売りたいもの勧める。カンと経験で決めるには、インターネットは別世界だし、ダイナミックに過ぎる。新本と古本、E-Bookの3種を販売しているアマゾンは、最も豊富なデータを持っており、シミュレーションや実験を行って様々に解析している。一部の情報は出版社にも提供されることもあると思われるが、それはアマゾンのハイテクの結晶だ。</p>
<p>E-Bookの価格はどう決まるのかを前に考えておくべきことがある。</p>
<ul>
<li>E-Bookには変動費がない（いくら売ってもコストは一定）</li>
<li>売上を最大化することが課題となる（返本、在庫コストゼロなので）</li>
<li>ダウンロード数はリアルタイムで追跡できる（→すべき）</li>
<li>価格を下げてダウンロード数（＝ランキング）が上がれば売上げも伸びる</li>
<li>必要があれば、価格は毎週でも変えるのが常識</li>
<li>ワンクリックの世界では消費者はより衝動的(impulsive)になる</li>
<li>ランキングはDiscoverability（見つかりやすさ）の主要な要素</li>
<li>膨大な数から瞬時に判断するので、カテゴリーやジャンルが重要である</li>
<li>最適な価格設定は一定のアルゴリズムで設定できる</li>
<li>単独かシリーズ（の1冊）かの違いは非常に重要</li>
</ul>
<p>実世界でも、値付けには「場」というものが重要なのだが、オンライン世界では独特のルールがある。アマゾンのように、これで15年以上やってきた会社のやることは、オンライン・マーケティングの素人から見ると異常で身勝手なものに映る可能性が高い。</p>
<h3>最適価格：デジタル・スィートスポットを求めて</h3>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8597" title="price" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/price1.jpg" alt="" width="105" height="92" />出版社に編集・製作ツールを提供するほか、自社でも出版を行い、複数のチャネルを通じて販売している、デジタル出版プロダクションのVookは、価格決定法についてのホワイトペーパーを公開しているが、同社の Vook Pricing Engineは、(1)カテゴリー、(2)タイトルの見つかりやすさ、(3)チャネル(リテイラー)、(4)シリーズ性の有無の4つのファクターで最適価格を割り出している（これについてはいずれ紹介したい）。それによれば、最適価格は個々のコンテンツによって異なる。E-Bookはオンライン世界の常識に従って、ダイナミックに設定・変更されるべきものであり、日本の場合は再販制の下で発達してこなかった（しかし古書店は持っている）価格に対する感度を磨く必要がある。</p>
<p>アマゾンは価格アルゴリズムのマスターだが、アマゾンの価格はあくまで同社にとっての最適価格であるかも知れない。出版社とリテイラーの利害は、ともに「売上げ最大化」ということで基本的には一致するのだが、出版社にとってのシリーズ性と、多くのコンテンツを扱うリテイラーにとってのジャンルの捉え方など、違いもある。リテイラーとのコミュニケーションが重要になってくると思われる。ともかく、本を市場で販売するのなら価格について知っていないと、「いいよう」にされてしまう。　　（鎌田）</p>
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		<title>Amazonとつき合う5ヵ条：(4) ブックビジネス</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-04-service-oriented-reality-of-internet-age-business/</link>
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		<pubDate>Tue, 27 Mar 2012 10:36:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<category><![CDATA[サプライチェーン]]></category>
		<category><![CDATA[ジェフ･ベゾス]]></category>
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		<description><![CDATA[サプライチェーン・カンパニーとしてのアマゾンとそのビジネス／テクノロジーについて、あえて出版から離れたマクロな観点で解説してきた。ではこの会社が変えた21世紀（つまりデジタル中心）のブックビジネスはどのようなものか。人生 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8578" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="Bezos3" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Bezos3.jpg" alt="" width="111" height="147" />サプライチェーン・カンパニーとしてのアマゾンとそのビジネス／テクノロジーについて、あえて出版から離れたマクロな観点で解説してきた。ではこの会社が変えた21世紀（つまりデジタル中心）のブックビジネスはどのようなものか。人生の大半を20世紀に過ごしてきた筆者だが、それはすでに遠い過去であることを認めないわけにはいかない。21世紀の現実はユーザーのサービス指向とビジネスのサービス主導ということだ。サービスとは情報を意味する。モノづくり原理主義はこの国を救わない。<span id="more-8569"></span></p>
<h3>はじめに本があった。次も本だった</h3>
<blockquote><p>初めに本があった。<br />
本はインターネットとともにあり<br />
本はインターネットであった<br />
すべてのことは本によって成り<br />
本によらずに成ったものは何一つなかった<br />
本において成ったものは人々の知識であり<br />
その知識は消費者についての知恵を生んだ<br />
その知恵はインターネットの海の中で輝き<br />
無知は知恵に打ち勝たなかった</p>
<p>本＝言葉＝記録・再現される、知識情報の構造体<br />
インターネット＝神＝遍く情報を運ぶ、霊性を持たない媒体</p></blockquote>
<p>ふと神を恐れぬ（ヨハネ福音書による）戯言が脳裏に浮かんできたので書き留めてしまったのだが、小林さんのお叱りは甘んじて受けよう。さて。</p>
<p>ジェフ･ベゾスCEOは、本から始めて大帝国を築いた。本の力を知り、人々の思考と活動において本が果たす意味を知っていたからだ。出版社が中身に注目していた時に、彼は本の読者に注目し、メッセンジャーとして宅配する傍ら、消費者のあらゆる足跡をせっせと集めた。集める方法、データ化、解析アルゴリズム、応用手法を高度化していき、アマゾンのビジネスは顧客と対象品目を拡大することができた。利益は蓄積せず、すぐに事業拡大と価格競争のための投資に回された。アマゾンは書店としてトップとなり、小売店としてもウォルマートの背中が見える位置にまで来た。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8580" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="dmedia" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/dmedia.jpg" alt="" width="235" height="215" />21世紀に入り、書籍、音楽、映像、ゲーム、ニュースなどのメディア商品なかで、音楽がまずデジタル化され、アップルによって、インターネットで配信されるものが主流になった。ニュースと映像が続き、2000年代半ばには書籍のオンライン化は時間の問題となった。ベゾスCEOは満を持して2007年にKindleプロジェクトをスタートさせたのだが、その時までには、Kindleデバイスのメディア化、マルチプラットフォーム化、カタログ・メディア化などは決まっていたと思われる。</p>
<p>少なくともビジネスのレベルで、本がデジタル化することを、彼ほど意識していた人間はいないと思われる。しかし、すでに述べたように彼の関心は本そのものではなく、その機能、その読者にあったから、本を購入し、読むための環境を何よりも重視した。当然にも中心的役割を果たすものは、デバイスではなく、ましてやフォーマットではなく、<span style="color: #008000;">ネットへのアクセスとクラウドサービス</span>だった。コスト的、技術的にはネットワーク・インフラが最も大きな挑戦だったと思われる。とはいえ世間が注目したのはKindleであり、E-Bookとその価格であったことは周知の通りだ。</p>
<p>Kindleが一般の注目を浴びたのは2009年に入ってからのことだった。インフラやデバイスは未経験の領域だったから、2008-9年の急成長はかなりの試練であったと思われる。2009-10年の飛躍的拡大を乗り切ったことで、Kindleという（一種の放送に似た）システムの問題は、そのままブックビジネスの再定義の問題になった。アップルによるiPadと大手出版社による「エージェンシー価格制」は、まさに21世紀のブックビジネスの主導権をめぐるものとなった。つまり<span style="color: #008000;">「コンテンツ(出版社)が王様か、それともサービスが王様か」</span>というものだ。</p>
<p>本誌がこれまで述べてきたように、この問題の決着はすでについている。インターネットは生産、流通、消費の一連のプロセスをネット上で統合するものなのだが、商品が情報である場合には、そこを流れる商品と取引のすべてがネットで上で完結してしまう。サービスがコンテンツに勝るのは必然と言える。アマゾンは常々、著者と読者を除く、出版のサプライチェーンにおけるすべてのは中間的な存在である、と述べている。従来は閉じた世界であった製造、流通、消費は、完全に透けて見えるようになった。つまり誰でも参入できるわけだ。</p>
<h3>21世紀はモノでもコンテンツでもなく、サービスがビジネスを主導する</h3>
<p>もともと紙の時代でも出版社は「メーカー」ではなかった。本をつくるのは著者を中心とするクリエイターであり、印刷・製本を行う印刷会社だ。流通は取次と書店があって機能する。消費は「読者」だけではなく、図書館などが介在するし、所有者が古書店に売れば、リサイクルする。出版社は、ただ出版という社会・経済的行為の責任主体であったに過ぎない。出版社が自分で本を売るのは稀であった。顧客からの集金と決済という最も重要な業務は取次に委ねてきた。アマゾンが本を販売したということは、出版社と消費者をつなぐ存在になったということ、<span style="color: #008000;">消費者から集金して出版社に代金を支払う存在</span>になったということだ。それは出版社の商品販売ためのサービスなのか、消費者のためのサービスなのか。アマゾンは後者の立場をとることで、出版社に対する交渉力を強めていった。Kindleは、アマゾンがパソコンを介さずに、プライベートな購入／読書環境を提供したことを意味した。本がデータ化されたことで、デバイスが本のインタフェースの役割を果たすが、もちろんただのブックカバーではない。（→<a href="http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-04-service-oriented-reality-of-internet-age-business/2/"><span style="color: #ff6600;">次ページ</span></a>に続く）</p>
<a class="a2a_dd addtoany_share_save" href="http://www.addtoany.com/share_save?linkurl=http%3A%2F%2Fwww.ebook2forum.com%2F2012%2F03%2Fhow-to-deal-with-amazon-04-service-oriented-reality-of-internet-age-business%2F&amp;linkname=Amazon%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%865%E3%83%B5%E6%9D%A1%EF%BC%9A%284%29%20%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9"><img src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/plugins/add-to-any/share_save_171_16.png" width="171" height="16" alt="Share/Bookmark"/></a>]]></content:encoded>
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		<title>Amazonとつき合う5ヵ条：(3)最強のメディア</title>
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		<pubDate>Sun, 25 Mar 2012 14:04:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<category><![CDATA[Log Book]]></category>
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		<category><![CDATA[データベース]]></category>
		<category><![CDATA[ビジネスモデル]]></category>
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		<description><![CDATA[前回でご説明したように、アマゾンのアプローチは戦略的、長期的で、すべての事業は精密に設計され、連携している。ネットで販売可能なすべての商品を扱うが、すべては本から始まっていることに注目すべきだろう。当時は誰もが不思議がっ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8553" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="bez0-008a" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/bez0-008a.gif" alt="" width="113" height="146" />前回でご説明したように、アマゾンのアプローチは戦略的、長期的で、すべての事業は精密に設計され、連携している。ネットで販売可能なすべての商品を扱うが、すべては本から始まっていることに注目すべきだろう。当時は誰もが不思議がったが、これまでこの会社について書かれたものでも「なぜ本だったのか」は十分に解明されていないと思う。アマゾンの武器は何かを考えた筆者の結論。<span style="color: #008000;">本こそがその最強の武器であり、本の販売を通じてメディア企業としての磐石の地位を獲得した</span>。Kindleとデジタルコンテンツはその仕上げである。<span id="more-8548"></span></p>
<h3>&#8220;You are what you read&#8221;から&#8221;You are what you buy&#8221;へ</h3>
<p>ベゾス氏はハイリターンの金融トレーディングの世界から、Webとはいえ「本屋」という極端なローリターンの世界へ踏み込んだ。当時（現在も）最もイノベーションから遠いと考えられていた機械文明時代のアナログ・メディアだ。1990年代半ばには、インターネット・ベースのE-Bookは技術的に可能になっていた。Kindleのようなものも登場していたから、そちらで出発したとしても不思議ではなかったろう。</p>
<p>しかし、ベゾス氏はメディアとしての本の形態ではなく、その機能に注目したのだと考えられる。本は知的な関心を持ち、あるいは知的活動に従事している人々にとっては身近なものだ。米国でいえば、人口の約半分あまりが本を読み、その半分あまりが10冊以上読むと言われている。学歴・所得との相関は強い。つまりマーケティング調査で重視される市場セグメントだ。何を読んでいるかが分かればその人物が分かる（英語では&#8221;You are what you read&#8221;という）ほどだから、読書歴、購入歴は、その人物のプロファイルと密接な関係がある。それは一定の確度で、社会的、個人的な関係や活動（コンテクスト）と紐づけることも出来るだろう。アタマからハートにまで届く本は、人にとって最も身近なものだから。それをデータ化し、データを資源化することが出来れば。</p>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8554" style="margin-left: 15px; margin-right: 0px;" title="bookstore" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/bookstore.jpg" alt="" width="275" height="183" />本の消費者にアクセスする最も有効な手段がオンライン・ブックストアであった。利幅が薄く、成長性に乏しい本は、競争が少ない。数十億ドルを売上げる大手書店は、その顧客についてほとんど知らないし、関心も持っていない。お客は向こうからやって来るものだと思い込んでいる。他方で本を多く読む人ほど、時間を惜しむし、ネットショッピングを厭わない、むしろ病みつきにもなる。書店に置いていない本も読みたがる。実店舗ではただの数でしかないかもしれないが、ネットでは個人となる。<span style="color: #008000;">ネット上の個人は長期にわたって付き合うことが出来る</span>し、メールを出して反応を見ることも出来る。ベゾス氏は「本のオンライン・ショッパー」の潜在価値を発見し、それを実現するロジックを発見し、精度を高める方法を見つけたのだ。Webアナリティクスの発達した現在では常識だが、インターネット普及の初期段階では凄いことだと思う。</p>
<h3>すでに地上最大の「メディア」企業</h3>
<p>ベゾス氏の凄いところは、このノウハウを安易な方法でマネタイズしなかったことだ。個々の消費者のためのサプライチェーンを構築し、薄利で本を売っても、<span style="color: #008000;">持続性のある企業価値は顧客プロファイルと履歴だけ</span>だ。マネタイズする唯一簡単な方法は、広告と結びつけること。インターネット・バブル時代の多くの企業はこれに走り、AOLのように一時的な成功を手にした企業も少なくない。しかし、アマゾンは前回述べたように、物流センターへの投資を優先し、そのインフラと顧客ベースを一般商品の販売に使った。オンライン・コマースは無数に生れたが、アマゾンが持続的に拡大を続けられたのは、本というユニークな武器があったためだ。本の購買を一般商品購買に結びつけられれば、ネット広告という短期利益ではない、ネット通販市場という広大な市場の中で強固なSCインフラを築くことができる。もちろん、本だけでは元が取れない基盤投資も続けられる。</p>
<p><img class="alignleft size-full wp-image-8558" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="bez0-006a" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/bez0-006a.gif" alt="" width="215" height="162" />本と広告とは結びつかず、活字と結びつくのは新聞や雑誌のスペースだけと考えられてきたが、アマゾンは現に結びつけることで成功したのである。ただし自社の広告を自社の顧客に対して行うという形なので、そのことが意識されることは少ない。無数の商品種目を販売したい無数のサプライヤーが、アマゾンを通じて消費者にアクセスするというビジネスモデルだ。このモデルは成功し、メディア商品から日用品、生鮮食品にまで適用されている。広告ビジネスと結びつけなかったお蔭で、アマゾンは急成長を続けながらまだ十分に普及余地があるネット通販市場を制することが出来た。</p>
<p>ブックビジネスの関係者は、アマゾンが本をダシに使ったと言って非難するが、消費者にとっては本が安く、豊富に、早く手に入ることができればいいわけだし、その消費行動を本以外に広げるのに何の抵抗もないだろう。近所のスーパーで価格をチェックし、アマゾンで買うというパターンはますます拡大し、配送無料の「プライム」会員がカルトのように増えていると言われるのも理由のないことではない。</p>
<p>アマゾンの最も強力な武器は、ネット上での本の消費者を、誰よりも知っているということに尽きる。本は最も難しい商品だが、本を買うロジックがわかれば、それを他に応用するのは容易だ。重要なのは商品ではなく、ユーザーなのである。「消費者は王様」を実践しながら、サプライチェーンの支配者となることが（少なくとも書籍市場において）可能になったのは、独自のテクノロジーによるものだ。ざっと以下のように分けられると思われる。</p>
<ul>
<li>数千万～数億人の顧客プロファイルとサイトでのアクティビティを、今日・明日のビジネスに結びつけるロジック。</li>
<li>膨大なトラフィックを扱うネットワーク管理や個人データを管理するネットワーク・セキュリティ管理などのシステム管理技術。</li>
<li>ワンクリック特許などに代表される、オンライン・ショッピングの購入率を高めることに特化したユーザーインタフェース技術。</li>
</ul>
<p>これらはITの最先端とも言える分野だ。こうした技術を本のビジネスに適用する体制をつくった上で、アマゾンはデジタルコンテンツに進出した。Kindleデバイス、異なるプラットフォーム上でのKindleリーダアプリとクラウド・サービスの連携というオリジナル技術は、こうしたインフラと結びつけることで威力を発揮する。（→<a href="http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-03-already-a-media-company/2/"><span style="color: #ff6600;">次ページ</span></a>に続く）</p>
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		<title>Amazonとつき合う5ヵ条：(2)相手を知る</title>
		<link>http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-02-know-your-frenemy/</link>
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		<pubDate>Sat, 24 Mar 2012 12:34:31 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Book Industries]]></category>
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		<description><![CDATA[敵を知り己を知れば…、ということで、まずアマゾンとは何であるかを考えてみたい。筆者もこの数年頭を絞って考えてきたのだが、この会社が何をやっているかは誰もが知っていても、どういった存在であるかということは知られていないと思 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img class="alignleft size-full wp-image-8532" style="margin-left: 0px; margin-right: 15px;" title="kiva" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/kiva.jpg" alt="" width="220" height="146" />敵を知り己を知れば…、ということで、まずアマゾンとは何であるかを考えてみたい。筆者もこの数年頭を絞って考えてきたのだが、この会社が何をやっているかは誰もが知っていても、どういった存在であるかということは知られていないと思う。この会社はサプライチェーンのすべてにフォーカスし、それを組み直すことを価値の源泉としているのだが、それを「消費者の視点」でやることにユニークさがある。だからつねに「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E7%9A%84%E6%8A%80%E8%A1%93" target="_blank">破壊的イノベーション</a>」を志向することになる。立場によっては、良くも悪くも、ということだが。<span id="more-8526"></span></p>
<h3>リアルとバーチャルをつなぐサプライチェーン・カンパニー</h3>
<p><img class="alignright size-full wp-image-8140" title="amazon_river" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/amazon_river.jpg" alt="" width="225" height="225" />アマゾンは今月、7.75億ドルの大型買収を決めた（<a href="http://japan.cnet.com/news/business/35015334/" target="_blank">CNET/J</a>）。<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Kiva_Systems" target="_blank">Kiva Systems</a>（マサチューセッツ州ノース・レディング）は、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0" target="_blank">マテリアルハンドリング</a>(運搬制御)のロボットカート・システムの専門メーカーで、アマゾン自身を含む多くの大型量販店を顧客にしている。自律型ネットワーク・ロボットという最先端技術だ（写真上）。なぜアマゾンが顧客であることに満足せずに買収までしたか。ロボットを売って儲けようというより、世界最高の技術を自社の配送管理センター(<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Order_fulfillment" target="_blank">Fulfillment</a> Center, FC)で使うためということははっきりしている。この会社がアップルやGoogleと最も似ていないところは、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9" target="_blank">ロジスティクス</a>を自前でやり、その継続的改善を価値の源泉にしようとする点だろう。その姿勢は創業以来変わっていない。<span style="color: #008000;">アマゾンは「ネットビジネス」ではない</span>。</p>
<p>この会社は、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3" target="_blank"><span style="color: #008000;">サプライチェーン</span></a><span style="color: #008000;">(SC)の両端を、消費者にとって最も合理的な形で結ぶことをビジネスの基本に置いている</span>。価格と入手性という消費者の視点が最も重視されるのは、それが競争優位の源泉だからだ。サイトでの商品の選択と購入はプロセスの一部で、配送や利用も含めた購入者の「体験」が次の購入につながらなければならないと考えられているのである。それは本であろうと日用品であろうと、デジタルであろうとモノであろうと関係ない。問題になるのは<span style="color: #990000;">プロセスを最適化</span>することで、物流は最も重要な部分を占める。選んだ商品が何時間後に届くのか、誰が責任を持つのかということは、消費者が一番気にすることだ。<span style="color: #008000;">アマゾンのビジネスは、アマゾンをチャネルとして利用する販売者よりも、アマゾンを通じて購入する消費者を上位に置いている。</span>これはB2Bを基本とし、事実上消費者を「王様」という観念的な存在に棚上げしてきた20世紀までのビジネス観とは対立せざるを得ない。日本でも、ダイエーをはじめとして、消費者の味方を称した企業は少なくないが、アマゾンのように長期間徹底できた例は少ない。それはSCを完全に掌握していればこそできることだ。</p>
<p>ロジスティクスはサプライチェーン管理(SCM)の中心で、アップルのティム・クックCEOはSCMにおける天才といっていいが、それはロジスティクスのデザインとサプライヤーの管理が天才的なわけで、FCの自動化、インテリジェント化を陣頭に立ってやるわけではない。アップルは巨大な製造企業だが、工場や配送センターを自前で持っているわけではない。それに対してアマゾンは、Webビジネスという外見とは逆に、ロジスティクスを内部化し、そこに顧客価値を創造することに執念を燃やしている。メーカーは自社の製品(デザイン、スペック)にアツくなるが、ロジの会社は顧客(プロファイル)とそのニーズ（仕様、価格、納期）にだけアツくなる。だから失敗が少ないし、しても修正が効く。</p>
<p>アマゾンのいき方は一般的な常識には反するが、理に適っている。顧客が重視するのは価格や品質だけではなく、いつ使えるのか(availability＝納期)ということで、強かった時代の日本のモノづくりも、ロジスティクスにおける相対的優位を背景にしていた。しかしいつかその背景の持つ意味を忘れてモノを過信するようになった。米国で生れたSCMは、系列を含めた日本的背景と機能を工学的に分析し、より合理的にデザインし直したものと言える。アップルの洗練されたアイデアやデザインは、現CEOのクック氏の手掛けたSCMによって初めて、高い品質と量産性による驚異的な利益率を出す製品として実現した。アップルが調達先に求めるのは、何より納期の厳守で、シャープがサムスンに敗れたのもそのためと言われる。また、製造業としての経験が皆無なアマゾンが、Kindleで成功したのも、SCMの威力といえる。計算が経験に勝った例と言える。</p>
<p style="text-align: left;"><img class="aligncenter size-full wp-image-8533" title="traditional_closed_vs_open_supply_chains_apis" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/traditional_closed_vs_open_supply_chains_apis.png" alt="" width="567" height="348" />SCこそ21世紀のビジネスの最大のキーワードだ。現実にはおそろしく複雑で、ステークホルダーも多いから、組織を動かす生身の人間（の視点・視野・思考の限界）に左右されるところが大きい。日本の家電メーカーや半導体メーカーが没落したのは、変化する市場(顧客)を見失い、SCを再構築することを忘れて必死にモノに回帰しようとした結果であるように思える。逆に製造業なきアメリカの「メーカー」の成功は、顧客とSCにフォーカスした結果と言えるだろう。ちなみに、21世紀に入ってサプライチェーンは、閉鎖系からネットワーク型のオープン・サプライチェーンに進化しつつある。アマゾンはそう多くない大規模システムでの成功例であると考えられる。（上の図を参照）</p>
<p>ピラミッドから放送、新幹線まで、時代を画する巨大プロジェクトが成功するには、視野の広いリーダーと優秀な技術者がベストの状態で結びつくことが必要だった。E-Bookのプラットフォーム構築は、それらに匹敵する巨大システム・プロジェクトであると筆者は考えている。アマゾンが成功したのは、たんなるデバイスの供給や配信システムの構築だけでなく、オンライン書店のシームレスな拡張として取組み、顧客のためにすべてを最適化する工学的(=数学的)システムをエンジンとして組み込んでいるためだ。アマゾンの技術は表面的なものではない。しかし、IT技術に関係した立場から見ると、アマゾンはIBMやHPに匹敵するハイテクを持ち、それを自社のサービスのために使うことに関してはむしろ勝っていると考えている。</p>
<p>現代のITは、1990年代に流行したERP、SCM、CRM…などの統合型業務管理や、それを支える連携型システム(SOA)といった、企業の業務管理のための個々の「技術」を超え、企業の枠を超えて、グローバルに展開する「大きなビジネス」を動かすプロセスの設計・構築と最適化、そのためのルールの発見というパラダイムへと移行している。アップルやアマゾン、Googleは明らかにその代表で「大きなビジネス」をシンプルに動かす能力を持っている。アップルのiTunesプラットフォームとiPod、iPhone、iPadはまさにその典型と言えるが、アマゾンはさらに大きく、ユビキタスで、自社デバイスだけに依存しないプラットフォームを目指しており、そのために最先端のシステムを自ら開発している。2007年末のKindleの打ち上げに始まり、Kindle Fireに至るコンテンツビジネスというミッションは、10年以上をかけて準備され、宇宙開発プロジェクト並みの厳密さで実行されていると考られる。（<span style="color: #ff6600;">→<a href="http://www.ebook2forum.com/2012/03/how-to-deal-with-amazon-02-know-your-frenemy/2/">次ページ</a></span>に続く）</p>
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