2010年12月16日

Google eBookstoreの多重価格問題

By: Editor

Google eBookstoreで注目された点の一つは、独立系書店によるE-Bookコンテンツの再販売を可能にすることで何が起きるか、ということだった。1週間余りの間に、eBookstoreでは複数の価格が登場した。たとえば、定価$26.00のレベッカ・スクルート著『ヘンリエッタ・ラックスの不滅の生涯』(Crown Publishing)は、eBookstoreでは$9.99、ベイエリアの独立系書店alibrisで$16.90、ワシントンDCの書店で$18.26というバラつきだ。ちなみにアマゾンは$9.99。では、Googleの“書店共棲モデル”は成立するだろうか。

Googleは書店に対し卸値で販売している。書店は利益分を上乗せすることになるが、その割合は一定しない。他方でGoogleはアマゾンと価格競争をせざるを得ないので、結果的に業界で最も安い水準ということになる。そして結局、独立系書店はアマゾン価格と競争するしかない。その場合、Googleがアマゾン価格より安く卸さない限り、書店が利益を上げる可能性はないということになる。エージェンシーモデルはそうした可能性を排除するものであったはずだが、ランダム・ハウスの子会社であるクラウンは、どうやらそれを採用していないようだ。

当初、書籍販売の経験の薄いGoogleは卸に重点を置き、小売は書店に任せると言われた。書店もGoogleが「店子」と競争することはないと信じていたようだ。エージェンシーモデルが徹底して価格差が生じないものであれば、これは合理的なのだが、売れそうな本は安く、という競争になってくると、アマゾン価格が業界標準になるのでこれは成り立たなくなる。心ならずも価格を下げないと売れないからである。

出版社の立場に立つと、エージェンシーモデルは平均的な売れ行きの本に対しては妥当なものだが、価格に敏感な本では合理性はない。$26の定価の本は、エージェンシーモデルでは1部$18.20を売上げる。手数料30%として、10万部で182万ドルだが、仮にアマゾンやGoogleに1部$13で卸して小売価格を彼らの自由に任せる(たとえば$9.99)ことで20万部売れるとすれば、単純計算で260万ドルの収入になる。これはあくまで個々のタイトルで判断するしかないが、伝統的に米国ではハードカバーのベストセラーの印刷本を目玉商品として$9.99で販売する習慣があるので、この価格帯はほぼ必ず「売れ筋」のランクに入る。安くすることで売れるものにはエージェンシー・モデルはなじまないのだ。

Googleの価格問題からさしあたって言えることは、(1)エージェンシー・モデルは完全ではなく、徹底されてもいない、(2)eBookstoreのパートナーである独立系書店は、アマゾンが$9.99を付けるベストセラー本以外で頑張るしかない、(3)単品販売以外の独創的なモデルを開発できなければ、独立系書店のE-Bookビジネスは成り立たない、ということだろう。 (12/16/2010)

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2件のコメント on "Google eBookstoreの多重価格問題"
  1. .
    2010年12月16日 at 7:12 PM

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    2010年12月16日 at 7:50 PM

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