電子部品に関する専門調査会社IHS iSuppliは1月13日、ディスプレイに関する調査レポートを発表し、タブレット市場の空前の成長が表示体市場に大きな波乱をもたらすと予測した。同社によれば、タブレットの世界市場は昨年の1,710万台から、2011年には約3倍の5,760万台になると見られるが、部品レベルでは当然高性能ディスプレイの需給に影響を与える。表示体に関してこれほど爆発的な需要増加が起きるのは、1950年代のブラウン管テレビ以来とのこと。
市場予測の世界で年率200%増などというのは、もちろん「供給限界」とか「凄く多い」という程度の意味だから、数字はあまり意味がない。だから最高6,000万台を目安に生産計画をつくっても、「当たるも八卦」の域を超えない。しかも、内訳が問題だ、パネルのサイズや駆動方式は多様だから、パネルのタイプ別生産量に換算して内訳がどうなるかは誰にも分からない。さらに、スマートフォン、大型テレビなどのパネル製品との関係で、タブレットに向けられる生産数量には限界がある。新たに設備投資をしても装置のや部材の調達もひっ迫するが、増産した時点では需要は安定しているかもしれない。したがって価格の乱高下が予想され、当分の間、メーカーはたいへんな緊張下に置かれるだろう。iSuppliによると、需要に応えるLCDディスプレイの主要メーカーは、韓国のサムソンとLG、生産国は中国が中心のようだ。
モバイルデバイスでは、有機EL型が増えているが、2011年は従来の主流であるLTPS(低温ポリシリコンTFT液晶)に代わって、サムソンが最も力を入れてきたAMOLED(アクティブマトリクス有機EL)が主流になる、とiSuppliは予想している。iPhone 4にはサムソンは、AMOLEDがモバイルから大型テレビに広がり、それがタブレット用パネルの価格低下と需要増をもたらす、という構図を描いている。タブレットの爆発的成長は、少なくともそうした戦略にとって最適な環境を生み出していることは確かである。それにしても、E-Readerだけでなく、タブレットやテレビでも、表示パネルで日本メーカーの名前が上がらないのは寂しい。資金調達の問題から製造に入れないでいた英国のPlasticLogic社は、ロシアのハイテク・ファンドなどから、じつに7億ドルを調達してロシアでの生産開始を目ざしている。なお高度な技術を持つ日本は、ハイリスク市場からは撤退していくのだろうか。 ◆ (01/19/2011)





