IDPFは2月15日、ePUB 3の公開ドラフトをリリースした。JEPAの村田真氏を含むEpub Working Groupの7ヵ月にわたる作業の成果で、5月の正式版に向けての課題をほぼクリアしたことになる。IDPFではパブリックコメントを募集するが、これを元にePUB 3対応ブラウザの開発が可能であり、春を前に試行版が続々登場するものと期待されている。すでにデフォルトの標準となり、「中間フォーマット」としても使われているePUBだが、この第3世代が日本での本格デビューとなるだろう。影響は計り知れない。
ePUBは、HTML5、CSS、SVG、画像その他のリソースで構成されるWebコンテンツを構造的、意味的に拡張したデジタル出版物ないしドキュメントを表現、パッケージ化し、コード化するための方法を定義したもので、第3世代となるePUB 3は、ePUB出版物の主要部品を定義する4つの仕様から構成されている(Publications 3.0 [Publications30]、Content Documents 3.0 [ContentDocs30]、Open Container Format (OCF) 3.0 [OCF3]、Media Overlays 3.0 [MediaOverlays30])。最後のMediaOverlayは、テキストと音声を同期させるファイル形式と処理モデル。
新しい機能として、IDPFは以下を挙げている。
- HTML5
- アクセシビリティの改善
- ビデオ、オーディオなどのリッチメディアのサポート
- 対話性
- レイアウトの改善
- グローバルな言語対応の拡大
Web編集→ePUB出力の衝撃
ePUB 3にはE-Bookフォーマット標準の「決定版」となることが期待されており、それは日本でも変わらない。E-Bookが現代社会の重要な商品として社会的認知を受けて初めての標準で、これまでのバージョンとは性格が一変した。注意しなければならないことは、ePUBがあくまで「Webコンテンツのパッケージ化仕様」という性格を持っていることである。Webコンテンツは静的なものから動的/対話的なものへと急速に進化している。それは構造を扱うHTML (XHTML)とスタイルを扱うCSSに反映されているが、現在のバージョンであるHTML5/CSS3のどちらも拡張を続けている。ePUB 3は、CSS2.1をベースに、CSS3から必要な部品を継承している。Webが発展を続ける限り、ePUBの標準化にも終わりはない。
WebをベースとするePUBの最大のメリットは、Webで開発・実証された実装部品をほぼそのまま使えることだ。その逆もある。日本語拡張仕様はもちろんWebよりE-Bookを意識して開発されたものだが、Webでも縦組・ルビ付きのブラウザが出来る。それによって、基本的な組版機能が共有化される。出版する側からみれば、Webサイトをオンラインの編集・製作環境として使い、そこで編集して半自動的にePUBファイルとしてパッケージ化することができるのが最大のメリットだろう。Webと聞くと「ホームページ」を連想する人も多いと思うが、サイトは非公開/半公開/公開とすることができるので最も安価で強力な編集環境が出来る。また、CSSで印刷用のフォーマットを定義すれば(バッチ処理が可能なコンテンツでは)DTPソフトも不要になる。ePUBとWebの相互浸透は、リフロー系だけでなくページ系のコンテンツの製作にも影響を与える。
欧米ではすでに起きていることだが、日本ではePUB 3によってWebとE-Bookの融合が一気に進むだろう。これは出版の制作環境、システムに重大な影響を与える。重大というのは、多くの専門業種や専門職の方が仕事の転換を迫られるからである。これについては別に考える必要がある。◆ (鎌田、02/17/2011)






[...] This post was mentioned on Twitter by 佐々木俊尚, Hiroki Toyohara, 松本瞬, Shin Nishino, 大南 洋右 and others. 大南 洋右 said: RT @sasakitoshinao: EPUB3が普及すればウェブの制作技術が電子書籍へ。わかりやすい [...]
[...] 「WebとE-Bookの融合を進めるePUB 3最終段階」、EBook2.0 Magazine、02/17/2011 Filed Under: Data Format, Technologies Tagged With: EPUB, iPad, アップル [...]
2011年2月22日 at 8:08 PM
すばらしい記事ですね。佐々木俊尚さんのメールマガジンで知りました。ついに、日本でも電子出版が軌道に乗りますね。しかし、業界人が淘汰されるとは…。
2011年2月22日 at 8:13 PM
おおいに、啓発されました。佐々木俊尚さんのメールマガジンで、たどり着きました。ただ、出版業界人の行く末が
、気になります。
2011年3月8日 at 12:02 PM
表示環境について、EPUB3はページ単位に分割する必要があるので、その部分に関しては当然Webと異なるわけですが、EPUB3によって日本語表示環境とWebの表示環境が近くなるのは正しいでしょう。ですがWYSIWYG編集環境ができることとは異なるので、このご説明は極論過ぎると感じます。
[...] ているところなので、今の間にしっかり勉強しておきたいですね。 参考: WebとE-Bookの融合を進めるePUB 3最終段階(EBook2.0 Magazine) EPUB3.0の最新状況レポート(Impress Innovation Lab.) epubcafé [...]