専門性の高い投資銀行業務を行う米国のケアリス社(Caris & Co.)は、霧に包まれているアマゾンのKindleビジネスに関する詳細な分析を発表し、2007年11月末の発売以降のデジタルコンテンツ、Kindleデバイス、Kindleアプリ、その他のサービスを包括したエコシステムとその競争力を高く評価するとともに、2011年には54億2,000万ドルの売上と12億1,000万ドルの総収益、翌12年には79億6,000万ドルの売上と20億ドルの総収益を上げるという見通しを明らかにした。エコシステムの全体についてマージンまで推定したのはかなり画期的だ。発展の跡をたどってみると、アマゾンのビジネスが相似形の反復と拡大というフラクタルな成長パターンを描ける。もちろんこれは今年後半以後のタブレット・ビジネスでも繰り返されることになろう。
3年で60倍、売上50億ドルのKindleビジネス
ケアリスのアナリスト、サンディープ・アガルワル氏によれば、2011年5月現在の書籍タイトル数は94万5,026点で、前月に比べても4万7,000点(5%)増加している。映像・音声付コンテンツは、Kindleストアに初登場して以来11ヵ月目で600点を数えた。雑誌の扱いも8誌から94誌、新聞も167紙(米国81/海外86)となった。専門家によるメディアとして定着しているブログも12,982と月間成長率4%を記録している。唯一減っているのはアクセサリーくらいだが、これでも1,320点もある。
ケアリスが注目するのは、Kindleが従来の書籍流通に必須であった在庫管理などのコストやリスクを減らしただけではなく、消費者の購買性向を高めることに成功している点だ。前者はE-Bookビジネスの前提に過ぎないが、後者は独自のオンライン・マーケティングの成果だからだ。オンラインストアは誰にでも出来るが、実際に商品を売ることは簡単ではない。2009年以降、ライバルは激増し、タイトルの数ではひけをとらないオンラインストア、特定分野に強い専門書店、無料コンテンツを提供するサービスも多数存在しているが、アマゾンの優位には変化がない。依然として他社より多くを売り、しかもより多くの利益を上げている。

アマゾンは、これまでも(恐らくこれからも)同社の競争力の本質であるオンライン・マーケティングのパフォーマンスの詳細について語ることはほとんどなく、決算発表などの節目でも「弊社として過去最大の売上」といった相対表現に留めている。ケアリス社の分析は、おそらく初めてKindleのエコシステムとビジネスモデルを推定したものと思われる。
※後編 (会員向け記事)に続く»» 「Kindleエコシステムとビジネスモデルの全貌 (後) (♥)」






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[...] 「Kindleエコシステムとビジネスモデルの全貌 (前編)」、鎌田、EBook2.0 Magazine、05/11/2011 [...]