2011年10月28日

電子本と印刷本、認知科学的には同等とグーテンベルク大学

By: EDITOR

「E-Bookと印刷本はどちらが読みやすいか」という議論は、デジタルリーディングが普及した米国ではあまり聞かれなくなったが、そうでないドイツでは「デジタル懐疑派」も根強い。このほどマインツのヨハンネス・グーテンベルク大学(JGU)メディア・コンバージェンス研究ユニットなどが中心になって行った認知科学的研究で、紙、Kindle、iPadの読書体験に「違いはない」という判定結果が出た。しかし、被験者のほとんどは、「やっぱり紙が好き」と回答。このグーテンベルクのお墨付きはドイツ人を納得させるだろうか。

この認知科学的実験では、難度の異なる様々な文章をアマゾンKindle 3とアップルiPad、それに印刷本の3種類の方法で読み、被験者の読書行動や脳の活動をEEG(脳波計)や視線追跡装置で観察するという方法で検証した。俗説と異なり、3つの方法の違いはまったくなかったことが確かめられたという。JGUのステファン・フュッセル教授は、デジタル読書でもアナログ読書でも、読書に違いはない、としている。興味深いことに、唯一違いが出たのは、老人はiPadを使うことでKindleや紙より3倍も速く読めるということだった。LEDスクリーンは眼に優しくないと言われていたが、逆に老人の読書を助けるという結果が出た理由は明らかでないが、ページ送りが速いので、継ぎ目がスムーズに読めるということのようだ。

しかし、可読性と好みは一致しない。ほとんどの被験者は「紙の本がいちばん好き」と感想を述べている。この違いは、やはり紙に印字された本には、知識の結晶としての自己完結性が発するオーラがあり、一瞬にして文字がかき消えるE-Bookにはないためだろう。ジョブズの伝記はこれから出てくるが、紙とデジタルの比率がどうなるかが注目される。(10/27/2011)

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