米国出版社協会(AAP)は12月23日、2011年10月度の出版統計を発表したが、印刷本は全般的に不振で、E-Bookも前年比81%増に止まったことを明らかにした。この結果、商業出版全体では7.8%の減少を記録した。しかし、1-10月のトータルでは、E-Bookは131.1%増と、なお勢いを維持している。商業出版全体では4.46%の減少。このデータは80社の数字を集計したもので、E-Bookは17社分しか含まれていない。しかしトレンドは示しているものと考えられる。
ホリデーシーズンを控えた10月は、比較的閑散とした月だが、前年比7.8%減というのは軽くない。成年向けハードカバー、同ペーパーバックも2割近い落ち込みで、量販本に至っては37.6%減(1-10月通算でも33.7%減)と、出版社の撤退が続いてカテゴリーが崩壊しかかっている。
なおAAPの統計は毎月6,000万ドル前後を売上げる宗教書について、デジタルと紙を区別していないので、E-Bookの数字は実際より低い可能性が高い。とはいえ、もともとこの月次統計のE-Bookの数字は「大手を含む17社」の数字でしかなく、印刷本が80社であるのに対してアンバランスで、その上教育書、学術書も含まないので、精確かつ包括的な数字はBookStatsを待つほかない。くれぐれもこれで米国の出版のスケールを測らないでいただきたい。
2012年にはデジタル比40-50%で「電主印従」時代を迎える
さて、米国の大手出版社は、今年の売上構成におけるデジタル比は15-20%と発表しているところが多い。1-10月の累計ではほぼ2割になっている。昨年は7.5%だったので、2倍以上で、大方の予想を超える伸びを示していることがお分かりいただけよう。出版界は、E-Readerの普及をもとに、2012年も同じ成長率(年率100%以上)を想定しているので、印刷本が力強く復活しない限り、デジタル比は40~50%というとてつもないものとなる。少なくとも米国に関する限り「電主印従」が明確になる。デジタル化による地殻変動は、今年よりむしろ来年に本格化するだろう。
この米国市場を1年余りの時間差で追っているのが英国で、今年は業界予測の3-7%を超えることが確実視されている。昨年が1%あまりだったので、伸び率から言えば米国を凌ぐ。英国市場の急展開は、環境さえ整えば市場はいつでもデジタルを受け容れる用意が出来ていることを示すものといえる。大陸系ヨーロッパ諸国ではまだ出版界の対応の遅れから離陸していないが、来年には動き出すだろう。さもないと中国やインド、ブラジル、ロシアにも抜かれる可能性が出てくるからだ。日本にとっての正念場でもある。仮に何もおこらなかったとすれば、それこそが問題だと言わねばならない。E-Book市場が、単なる出版のサブカテゴリーではなく、広義のモバイルWeb市場の一部であり、市場の拡大パターン(左の図を参照)もそれに従うことを忘れてはならない。知識コミュニケーションにおける「固定回線」優位の時代はすでに終わっている。 ◆ (12/26/2011)





