2012年2月16日

トーハンがPDF電書サイト「デジタルイーホン」

By: EDITOR

トーハンは2月14日、電子書籍販売サイト「Digital e-hon(デジタルイーホン)」をオープンした。同社が2009年から運営していた医療従事者向け電子書籍販売サイト「Medical e-hon」を継承・拡張したもので、PC/スマートフォンユーザー向けに一般の電子書籍・雑誌含め約7万3000点をDRM(サイファー・テック製)付PDF形式で販売する。Windows XPおよびMac OS X 10.5以降に対応。iOS/Androidスマートフォンについても今後順次対応する予定。

「Digital e-hon(デジタルイーホン)」は、「本・雑誌」と「医学文献」に分かれ、前者は1冊単位(原則印刷不可)、後者は記事・論文単位(印刷可)で販売される。R-18のフィルタリングが使えるようになっている。「本・雑誌」はまだこれからといったところで、未来社とハーレクインなどが目立つ程度。未来社のものは、印刷版と同じ価格設定だ。200ページ程度の本が3MBくらいになる。やはりPDFは重い。カテゴライズはされているものの、リスティングはかなりシュールなもので、「映画・音楽・サブカル」の中に、研究社シェイクスピア・コレクションが並んでいるという具合。

「PDF電子書籍」の意味:「己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ」

日本のオンライン書店はまだ数えていないが、すでにかなりの数になっている。コンテンツの数も数万~10万と、そう少ないようには見えない。しかし、重要なことは、これらが果たしてユーザーのニーズを考えて作られているか、また更新され、改善されているかということだ。現状のサイトの多くは、そうした課題を十分に認識しているかどうかが疑問である。トーハンのこの「PDFコンテンツ」サイトもそうだ。

PDF形式は、比較的複雑な構造を持つ学術論文や教科書などには(まだ)有効だが、ファイルサイズが大きいのが難点。わずか数ページの論文が1MBにもなる。現在最も普及したリーディング・デバイスであるPCとスマートフォンで読める「フォーマット」ではあるが、印刷判型からそのまま作られたページを、読むにはつらいものがある。PCは横長、スマートフォンは縦長だ。また、学術ドキュメントでは、目次、脚注、索引、検索、リンクといった動的機能が望ましく、これらも最新PDFではサポートされているものの、印刷ページ由来のコンテンツが、これらを利用できることはない。学術論文にはそれに相応しい扱いが必要で、さもないとダウンロード可能というメリットしか得られない。結局、自費でプリントして読むことになるだろう。

価格も問題だ。数ページの論文を読むのに1000円近くかかるのでは、簡単に使える人は少ないだろう。雑誌の特集1号分を購入すると1万円あまりにもなり、やはり面倒でも図書館、資料室を使うことになる。価格設定の問題はどれだけ重視されたのだろうか。売上を重視するなら、<DL数×価格>で最大になる値を探すのが商売だ。紙の雑誌と比較して極端に割高になるようなら利用されないだろう。利用されないものは錆付いてしまう。

PDFの利点は、すぐに「電子化」できることだが、それだけなら付加価値は小さい。入手可能な印刷本と同じ価格なら、「電子書籍」のメリットは、注文して3週間も待たないで読めるということだけだろう。やはり、サイト関係者にはよく考えてもらいたい。「己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ」で、まず自分が金を出して買う気になるかを。  (02/15/2012)

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