E-Book再販売あるいは中古コンテンツ

furuhon'used' といっても、書き込みはもちろん、蔵書印や手垢がついているわけでもない。データが欠けたり増えたりするわけではない。出版社はコンテンツが中古市場に流れて再販売されることを、ある意味では海賊版以上に怖れた。だからKindleのサービス開始にあたって、DRMで鍵をかけ、販売するのは利用権だけで、購入者に限定されることを条件とした。この販売方法は、5年を経たいま転機に立っている。今年中には中古市場が解禁されるという見方もある。日本のわれわれも現実的な問題として考えたほうがいい。

法律ではなく、ビジネスモデルの問題

この5年の学習効果は大きい。主なものを挙げてみよう。

  • デジタルコンテンツは、特殊なものから日用品的なものとなった。
  • ユーザーが「購入したもの」についての権利を強く主張するようになった。
  • 市場の拡大で、デジタルは出版の最後ではなく未来であると考えられるようになった。
  • 海賊版はコントロール可能な(あるいは無視できる)ものであることを知った。
  • ユーザー間の貸借、図書館による貸出などのサービスが限定的な形で進んだ。
  • 販売された「コピー」の継続的管理を可能とする仕組みが提案された。
  • 米国とEUの裁判所で、購入者の再販売権を認める判決が出始めた。
  • アマゾンのアイデアが特許を取得した(アップルも申請中)。

こうしたことから、法廷や議会も、出版社の主張を「ヒステリックで前時代的な」ものと感じるようになってきている。アマゾンやReDigiが提案する技術は、販売したコピーのIDを管理できるものであり、法律で認められたユーザーの本来の権利主張と、複製を恐れる出版社の懸念に応えるものだからだ。

では中古市場はどのようにつくられ、その結果現在の本の市場にどんな影響を与えるだろうか。焦点となるのは以下のような点だろう。

  1. 再販売価格の形成(リテイラーによる買取りか、販売者の言い値を元にしたオークションか)
  2. 再販売のプラットフォーム(独立した中古市場か、それともリテイラーの兼業か)
  3. 再販売時点での利益配分(保有者、サービス手数料)
  4. 著作権者への利益配分(著者、出版者への支払いと配分)

これらはすべて絡み合っており、簡単ではない。著者や出版社にとっては、初回と同額の版権料が再販売から得られるのであれば、反対する理由はない。しかしそれでは価格が硬直化するので「新本」と近くなってしまう。販売者の売値が、例えば購入価格の10%程度であれば、物理的なスペースを占めるものでもないので、重い本をブックオフに持ち込むよりもモチベーションは低くなる。そもそも、版権保有者が再販売によって対価を得るような例は過去にはない。そこまでの「権利」は主張できないからだ。中古市場が成立するかどうかは、やはり簡単ではないようだ。しかし、ビジネスはそこにあり、実質的に法的な障害もない。誰かが先に動く。それはアマゾンか、アップルか、それとも新興企業か? ◆ (鎌田、03/28/2013)

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