米国のライティング教育はデジタルで進化する

NWP米国人のメディア・ライフをフォローしているシンクタンク、ピュー・センターは7月16日、インターネットやSNS、携帯電話などの「デジタル・ツール」は、ライティング教育にとってプラスになると結論づけた調査レポートを発表した(→PDF)。米国の教師たちは、剽窃や文法/スペル能力の低下といったデジタルの否定的な側面を克服しつつ、生徒たちの能力を高められることを疑っていない。ベースとなるライティング教育の土台が堅固だからだろう。

この調査は、同センターの Internet & American Life Project が米国の中学・高校でライティング教育に当たっている教師2,462人を対象にして行ったもので、78%はライティングにおける創造性と表現力を高める上でデジタル・ツールが有益な刺激を与えると回答している。96%はデジタル技術が作品をより多くのオーディエンスと共有する機会を与えることを評価、79%が生徒間でのコラボレーションを高めるとし、50%が生徒の言語表現および添削に役立つと回答している(下のグラフ)。

PewInternetJuly172013-PieChartインターネットとモバイルを中心とした最近のコミュニケーション環境が、ドキュメントの制作・共有・改善に効果的なものであることは、本来がそのために生まれたものである以上、当然であるように思えるが、ネガティブな影響も踏まえての教育者の評価だけに、上記の数字には意味がある。事実、教師たちは子供が苦労して書くことを嫌い、近道したがる傾向に注意しており、剽窃(借用)、文法能力の低下、非正規な言語の使用、スペルチェッカー依存などを否定面として指摘している。94%の教師が手書きによるライティング教育の継続の重要性を指摘しているのも、否定面を克服するのに有効だからだろう。

ライティングとプレゼンテーションは米国の教育において重要な位置にあり、それが日米の言語能力、コミュニケーション能力の差の原因になっていると言われている。しかし、日本では相変わらず英語教育ばかりが重視され、「小論文」中心のライティングの改革には手が付けられない。このままではデジタル・ツールを有効に利用した米国と、それに振り回される日本の差はますます拡大していくように思われる。 (鎌田、07/18/2013)

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