ビッグ・ファイブに迫るアマゾン:AER最新版

AuthorEarnings-280x150アマゾンのリストをもとにE-Bookによる著者実収を推定するデータ・サービスAuthor Earningsは10月20日、7月以来となる最新レポートを発表した。今回はアマゾンの定額制サービスKindle Unlimited (KU)の売上が加味されたことで、さらに厳密な分析を必要とするものとなった。ここでは概要だけをお伝えしたい。

定額モデルはシェアにどう影響するか

何度かお伝えしているように、アマゾンのベストセラー・ランキングと販売部数の関係についての既知の情報を前提として、著者の出版に際しての判断材料を提供しようというのがAEレポート(AER)の趣旨で、4月に登場して以来、とくに出版関係者に衝撃を与えた。E-Bookの出版形態は5分類(独立系、中小出版社、大手5社、著者単独出版、アマゾン出版)されてあり、今回はアマゾンのE-Book売上の50%あまりを占める上位12万点を、10月2日の1日分について計算している。

今回はKUがどの程度の規模で著者の収入にどんな影響を与えているかを知ることが出来るのだが、これは単純には得られない。AERによれば、既成出版社の場合、KUからのダウンロードの精算は販売と同じ条件で行われるのだが、自主出版者は「貸出」扱いで、精算レートは3ヵ月平均で$1.62となっている。販売部数ランクでは貸出も販売も同じに扱われるので、自主出版社の実収を推定するためには、貸出/販売レートを考慮する必要がある。AEではKU本のレートについて5種類のシナリオで試算している(貸出:販売=100:0/70:30/50:50/30:70/0:100)。

AERは、10月2日における著者の収入金額を出版形態別にみたが、極端な仮定(KUの自主出版物をすべて貸出、あるいは販売とする)を比較してもあまり変化はない。AERは数百人の著者から彼らの出版物についてのデータを得た結果、比率はほぼ「50:50」に近いことを知った。レポートではこれが採用されている。

下はフィクションとノンフィクションを合わせたタイトル数の発行形態別シェア。過去3回のデータと比較して、大手5社のシェアがほぼ変わらないのに対して、中小出版社が10ポイントあまりも増え、その分独立系と著者単独出版の比率が減っている。
titlecount-2014oct-3up販売部数では過去3回との違いはさほど目立たない。しかし、大手5社の比率が3ポイント低下し、逆にアマゾン出版が10%となっていることは、アシェットが外れたこととの関連を疑わせる。

unitsales-2014oct-3up次は売上金額。やはり大手5社の比率が3ポイント低下し、逆にアマゾン出版が3ポイント上げて8%となった。着実に前進している印象だ。ほかは誤差の範囲だろう。
grosssales-2014oct-3up著者収入シェアでも同じ傾向で、アマゾンがやや増えて大手5社が落としている。その結果、独立系のトップの座が堅いものとなり、アマゾンは中小出版社に迫る存在となろうとしている。発行点数から見てアマゾン出版の強さが目立つ。

authorearnings-2014oct-3up著者収入モデルにおいて、ビッグ・ファイブのシェアを5等分すれば、アマゾンの水準はすでにそれを超えており、実質的にホーム・グラウンドは大手と同格となったことになる。また自主・独立出版とアマゾンを合計すれば50%に達しているわけで、大手も警戒すべきレベルだろう。 以下次号 (鎌田、10/23/2014)

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