日本市場の現状を読む

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デジタルではコミックの片肺飛行が続く

全国出版協会・出版科学研究所が発行する『出版月報』11月号は「電子書籍ビジネス最前線」を特集し「紙と電子の出版物販売金額推移」(2009-2013)を掲載している。13年の「電子合計」は、ケータイ向け(141億円)を含めて936億円と見積もられている(小売ベース)。コミックスを書籍と分けているので、実態を知ることが出来る。

■ 紙と電子の出版物販売金額推移(単位:億円)


コミックス
紙書籍 紙合計 電子コミック 電子書籍 PC
向け
電子
合計
総合計
ケータイ
向け
新プラット
フォーム向け
合計 ケータイ
向け
新プラット
フォーム向け
合計
2009 2,274 8,255 10,529 428 428 85 6 91 55 574 11,103
2010 2,315 7,979 10,294 492 4 496 80 21 101 53 650 10,944
2011 2,253 7,966 10,219 423 69 492 57 43 100 37 629 10,848
2012 2,202 7,797 9,999 302 272 574 50 95 145 10 729 10,728
2013 2,231 7,647 9,878 120 611 731 21 178 199 7 936 10,814

驚くのは、ケータイを除いてさえ、コミックスが書籍を圧倒していることで、2013年で77.4%と8割に近い。E-Bookの「コミック比率」は、2012年、13年ともに70%台だが、成長率が違うので、14年は80%を超える可能性が強い。書籍は178億円だが、これも写真集やアダルト向けなどを除いていくら残るか、ということだろう。海外でも書籍に分類されるものは、50億円に満たないのではないか。「電子書籍」と呼ぶことすら憚られるほどだ。

ところで、日本では「単行本」(シリーズ)として発行されるコミックスは、書籍ではなく「雑誌」に分類される。2013年までの5年間で書籍における「電子」の増加は108億円、118.7%と2倍程度でしかないが。紙のほうは608億円、7.4%減。出版社の経営への影響は軽微なものでしかない。電子比率は1.1%から2.5%という淋しいものだ。コミックスについてはどうか。「電子」は428億円→731億円で303億円、70.1%増。紙のほうは2,274→2,231億円でほぼ横ばい(43億円減)。電子比率は15.8%→24.7%と、こちらはかなり前向きの進展があった。つまり低迷する紙の市場を補完し、ささやか(9.6%)ではあるがデジタルが確実に成長を牽引したと言える。

以上から言えるのは、次のようなことだろう。

  • コミックはケータイからスマートフォン/タブレット環境への移行に成功し、さらに市場を拡大している(年平均11.3%弱)。コミックにおいて、デジタルは紙および出版社の敵でないことが証明された。
  • デジコミの高い利益率、メディア横断的展開力は、関連出版社の重要な収入源となる。出版社は主力商品のデジタル化を推進するだろう。アマゾンなどもコミック重視を明確にしている。
  • 書籍の市場は継続的に縮小している。電子の増加は比較的高いとはいえ(年平均17%弱)紙の減少を補うことができていない。活字書籍に限れば、まだデジタル化はまだ離陸すらしていない。  (鎌田、01/13/2015)
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