アマゾンが「ラジオ放送」に進出

Echo02アマゾンEchoのロールモデルはラジオだ、と筆者は指摘*したが、ラジオは放送があって成り立つ。その放送局は、どうやらAudibleになりそうだ。Bloomberg (Lucas Shaw, 1/30)によれば、アマゾンは最近、ポッドキャスト型放送コンテンツ制作の体制強化に動いている。人気芸人、プロデューサーと契約したほか、A-Book関連技術者の採用も活発だ。

世界7都市でラジオ関係専門職を大量採用

gangbusters8Bloombergのルーカス・ショウ氏の記事は、アマゾンがオリジナル・プログラム制作への投資によって、Prime Videoと同じようにAudibleをコンテンツ制作者となろうとしていることを伝えている。すでに多くの優秀なプロデューサーを世界的にリクルートしており、その数は100に余る。ポッドキャストやラジオ番組は、もちろん長期的観点からこのインターネット・ラジオ・メディアへのエンゲージメントを育てることを意図したものだ。(写真は1930-40年代に米国で大ヒットした『ギャング・バスターズ』のポスター)

求人情報によれば、アマゾンが採用しているのは、ソフトウェア技術者、UXデザイナー、マーケッター、契約法務担当弁護士などで、勤務地は、ニューアーク(米国NJ)とロンドン、ベルリン、シンガポール、バンガロール、北京、シドニーなどとなっている。少なくとも対象国では近い将来にAudibleのインターネット放送が開始されることになりそうだ。

これは、評価が高いオリジナル・プログラムをプライム会員の販促に活用することに成功したビデオのケースを「ラジオ」に応用するものと考えられている。ラジオにはニュースや天気予報も必要だが、すでにEcho/Alexaの音声応答機能で利用できるサービスがある。アマゾンは米国公共放送(NPR)と英国BBCのニュースをカスタマイズ配信する。

独自のプログラムでエンゲージメント獲得へ

Audibleの番組制作は、元NPRの幹部エリック・ニューザム氏が指揮しており、彼がニューヨークの公共放送(WNYC)のプロデューサーを引き抜いた。モンクレア州立大学のメリル・ブラウン教授によれば、新しいメディアが在来メディアのプログラムとスタッフで番組を提供するやり方は、ケーブル・チャンネルのHBOが、契約拡大のためにオリジナル番組制作を拡大した際にも見られたもの。ニューザム氏とAudibleは、独自の番組制作が戦略的に重要、という結論に達した。とくに力を入れるのは、ラジオ・ドラマとポッドキャストだ。たとえば「寝物語」(Bedtime Stories)は、有名コメディアンを起用し、お伽話をリメイクして提供するシリーズ。

PJ_2015-04-29_SOTNM_audio-02旧ラジオはアナログ電波の放送設備を必要とし、不特定多数のユーザーは受信装置を購入する必要があった。番組制作コストは広告収入で賄われた。聴取者とのコミュニケーションは電話やハガキだった。電波メディアとしてのラジオは、メディアの主役の座をTVに譲ってからも、コスト低減によって生き残った(FM↔インターネット)。とくに米国では、12歳以上のアメリカ人の91%がラジオを聴いているとされ、この比率は2013年から変わってない。つまりデジタルネイティブ世代にも受け入れられており、「可処分時間」をめぐる競争にも生き残る実力を示した。これは耳だけを占有するという控え目さがアドバンテージとして機能するためだろう。

またスポット広告が若干減少したものの、デジタルや放送時以外の広告は堅調に伸びており、ビジネスとしても健在だ。これは、ラジオの経営主体が地上波TVやケーブル会社ではないためだろう。 (鎌田、02/02/2016)

参考記事

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