大手出版社はデジタル戦線で後退 (1)

AuthorEarnings自主出版を含むE-Book市場推計で知られるAuthor Earningsは、2014年2月以来2年(8回)目となるE-Bookの著者実収レポート (AER16-02)を発表し、チャネル別シェアにおけるインディーズの拡大とビッグファイブ(B5)の凋落を鮮明にした。8回目となるレポートは、とくにB5による価格引上げ以降の1年間の変化を知ることが出来るが、B5のダメージは深刻である。

インディーズは前進し、在来出版社は後退した

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2年前には、販売部数ベースで4割近くを占め、1年前でも35%あったB5のシェアは23%にまで落ち込み、2年間で15ポイントを失ったことになる。インディーズおよび著者出版者を合計した自主出版系は48%と5割近くになった。価格が高い分、金額ベースのB5シェアはそれほど落ちてはいないが、それでも2年前の53%から42%と10ポイントあまり下落し、1年で9ポイントを失っている。これはB5の販売実績の中のデジタル比率の低下と対応している。自主出版系は3割に近い。2年間で10ポイント、1年で6ポイントあまりの上昇。中小出版社やアマゾンには大きな変動はないので、自主出版がB5のシェアを奪ったということも出来るし、B5が一方的な価格引上げによって自主出版に譲ったとも言える。ともかくB5の「一人負け」である。これほどまでの下落は織り込んでいなかったと見られる。

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E-Bookは縮小せず大手が自滅

仮にE-Book市場が縮小していたとしたら、B5にとっては(シェアがどうであれ)実収の落ち込みはさほど問題にもならない。しかし、米国のE-Book市場は拡大を続けており、それはアマゾンの発表のほかに、今回のAERでも確認することが出来る。著者の実収ベースで、B5からの収入シェアはわずか1年で14ポイントもの落ち込みを記録して24%となり、逆に自主出版系は、ほぼその分上昇して5割に達した。著者にとって、B5のE-Book売上(印税収入)は期待できず、自主出版したほうが合理的だということを示している。著者としては、少なくともデジタル版権をB5には売りたくないという気持ちになって当然だろう。

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これは単純に価格変更の結果だろうか。AER16-02は、価格に大きく影響されたことは確かだとしても、2年間を通しての傾向は変わっておらず、インディーズの多様性、価格/内容、発行頻度がしだいにB5を凌ぐようになってきたためと評価している。たしかに、自主出版がチャネルとして定着し、企画・制作・マーケティングのプロフェッショナルなレベルが向上してきたことから考えて妥当なものと思われる。 (鎌田、02/12/2016)

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  1. […] ●大手出版社はデジタル戦線で後退 (1) http://www.ebook2forum.com/members/2016/02/latest-author-earnings-report-shows-expanded-vew-of-the-market-1/ 米国の話。価格をあげてみたがかえって収益を失った大手出版社 […]