スティーブン・レヴィがコンデナストに復帰

CondeNast_Digital米国の大手雑誌出版社コンデナストは6月16日、MediumプラットフォームのITビジネス・ジャーナルBackchannelを買収すると発表した。新設したWired Media Group (WMG)においてWIRED、Ars Technicaに続く3番目のブランドになる。WIREDからMediumに転じたスティーブン・レヴィ氏はWMGで指揮する。

Medium/BackchannelをWIREDと融合へ

backchannel-flagBackchannel は、スティーブン・レヴィ氏が2014年にMediumの中で立ち上げたテクノロジー・メディアで、主にシリコンバレーにフォーカスしており、ビジネスとテクノロジーの深層をレポートする記事は、明確で信頼性のある視点とともに、起業家を含むテクノロジー・ビジネスの関係者に評価されている。動きが速く、傑出した個人たちのネットワークで動く、このビジネスの裏面に通じたスティーブン・レヴィ氏ならではのものだ。なお、WIREDのITジャーナリスト、ジェシ・ヘンペル氏がBackchannel に参加することが明らかにされている。

backchannel condenast steven levy acquired今回の買収・再編で注目されるのは、Backchannel が、新しいタイプのメディアを目ざしたMediumのプラットフォームの下に残る、ということだ。これがMediumの「コンデナスト化」を意味するものかどうかは不明だが、少なくともコンデナスト/WMGがMediumをWebメディアビジネスのエンジンとして活用しようと構想していることは窺える。

wired「Backchannel はITビジネス分野で最高の評価を得るブランドの一つで、WIREDおよびArs Technicaと完璧に補い合い、テクノロジー分野をカバーするプレミア・グループを形成します。Backchannelは、ユニークで対話的な読者は、弊社の広告主に新しい機会を提供するでしょう」とコンデナスト社でデジタル部門を総括するフレッド・サンターピアCDO (Chief Digital Officer)は述べている。

Webメディアは買収が近道

Talking New Media (6/16)のD.B.へバード氏は、大雑誌出版社にとっては、「Webメディアは自前でするより買った方が見込みがある」という認識を語っている。これは真理だし事実だと筆者も思う。印刷雑誌の延長として位置づけられるWebメディアは、紙の補完にしかならず、それはデジタルの可能性を拘束してしまうからだ。印刷雑誌の補完(Webの活用)は純粋にそのサバイバルのためにのみ、雑誌のスタッフによって行われるべきで、Webメディアはネイティブでないと最初から機能しない。

condenast2連携とか融合は、メディア企業にWebの文化(スタイル)が根付いてからでないと意味を持たないだろう。紙で育ったリーダーが「成功体験」を捨てるのは、Webで育った新人がビジネスを覚えるよりも難しい。さらに言えば、「ITビジネス」のメディアはレヴィ氏のような個人がいて初めて機能する特異なものだ。テクノロジーとビジネスを結ぶビジョンを起業家と同じレベルで理解し、社会とつなぐ戦略的なコミュニケーション能力というものは、かなり人間臭いもので、たとえ企業組織にはまずいない。テクノロジーの世界のトップは、ビジョンを共有できる人間にしか胸襟を開かないからだ。

コンデナストは、Webメディア・ビジネスのロールモデルの構築をレヴィ氏のホームグラウンドで託したのだと思われる。 (鎌田、06/23/2016)

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