世界初のE-Ink電子楽譜リーダ

gvido-250x141テラダ・ミュージック・スコア(東京都品川区)は6月3日、世界初となる2画面電子ペーパーを採用した電子楽譜端末GVIDO(グイード)試作機を発表し、フランスのカンヌで開催中の国際音楽産業見本市MIDEMで展示した。E-Ink社の13.3型フレキシブル・パネル”Mobius”を採用、楽譜とほぼ同サイズの見開き表示を可能にした。

読むだけでなく、使える「実物大」楽譜

MIDEM見開きでの使用時のサイズが、480mm (W)、310mm (H)、5.9mm (D)。E-Inkの16階調ディスプレイを重量が650gと、サイズからは考えられない軽さを実現、ワコムのタッチペン入力技術を採用して書き込み/消去/保存も可能とした。ファイル形式はPDFに対応。Wi-Fi/Bluetooth機能を搭載しているので、Webの電子楽譜サービスからの楽譜のダウンロード、SNSを使ったコメントの共有などに使うことが出来る。内蔵メモリは8GB、マイクロSDスロット、マイクロUSB端子もあり、拡張の可能性は大きい。

本機の効果は、独奏用だけではなく、合奏用でよく発揮されると思われる。オーケストラでの複製・利用では、演奏上の指示などを共有するのによい。GVIDOがオーケストラ演奏などで使われれば、さぞや壮観であろうと思う。ただし、使用に際しては、例によって著作権問題をクリアしておく必要がある。

Gvido3現在一般に用いられている記譜法(5線譜)の原型を考案した11世紀イタリアの音楽教師グイード・ダレッツォの名を冠した本製品は、読むだけでなく、書込みも行い、サイズも重要となる楽譜という高価な印刷物を電子的に利用可能にする実用製品としては初めてのものとなる。日本で出版されている一般的な印刷譜は菊倍判で、A4サイズよりもタテヨコとも1センチほど大きいので、A4では若干縮小しないと入りきらない。

ソニーDigital Paperの派生形

Gvido2これまで、タブレットや4Kディスプレイを使った、液晶による「電子楽譜」の表示はあったが、書籍と違って、こちらは発光性のものは好ましくなく、紙の楽譜に近いものであるニーズはほぼ絶対的なものだったので用途は制限された。サイズ、重量、薄さの条件を満たし、反射光で読めるためには、新世代の電子ペーパーが実用化されるのを待つ必要があった。ソニーがMobius 13.3を使ったDIgital Paperを800ドルでを出したので間近とは思われていたが、製品化したのはテラダだという日本の会社だった。

GVIDOは、Mobiusの13.3" EPD (1600 x 1200画素)を2枚使う。解像度は150ppiで16階調。これを使ったE-Readerは、ソニー Digital Paper DPT-S1、Pocketbookの CAD Reader Flexなど、いくつかある。しかし、生産ロットが少ないせいもあり、価格は10万円に近くなる。6"と比べると驚くほどの高さ。GVIDOの価格は発表されていないが、10万円を切ることは難しいだろう。しかし、Mobiusはもともとレターサイズの紙の代替を意図したものなので、パネルはいずれ安くなる。グラフェン・シート(炭素素材)を使った競合製品も登場しているからだ。

なお、テラダ・ミュージック・スコア(株)は、電子楽譜専用端末の開発のため、寺田倉庫F55クリエイティブデザインスタジオが共同で設立した。今後、電子楽譜事業の本格稼動を目指していくとしている。F55の野口不二夫氏は、ソニー出身で、Sony Readerなどをはじめとした電子書籍事業や、音楽配信「エニーミュージック」などを担当した人物。DPT-S1の開発も指揮した。ハードウェアはVAIO、ソフトウェアもソニー子会社のソニー・デジタルネットワークアプリケーションズ社が担当している。旧ソニーの文化が感じられる。 (鎌田、06/08/2016)

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