B&N衰退にみる旧出版業界の没落

B&N_logo2Barnes & Nobleが2017年の最初の四半期決算を発表し、6.6%の減収、6.1%の減益という暗いものとなった。赤字額が1,440万ドルと前年同期比で2倍に近くなったことで危機の深刻さを裏付けている。「大統領選による悪影響」というリッジオCEO代行の説明を信じる人はいない。米国小売業界は不振でないからだ。

全事業にわたって悪化

bn-ns858_riggio_p_20160426191116総売上は、6.6%減の9億1,390万ドル。小売(B&Nストア+BN.com)は6.1%減の8億8,170万ドル。NOOKは24.5%減の4,100万ドルと、なお急落を続けている。採算点から遠ざかるばかりで、赤字は1,400万ドルとなった。買い手がつくかどうかによらず、サービスの閉鎖は時間の問題と言ってもよい。B&Nは最近、ロン・ボイリーCEOを更迭したが、これは出版業界に疎い同氏の下で発注を絞りすぎて店舗の在庫不足をきたしたためと説明されている。これも伝説的な大経営者の言とは思えず「語るに落ちる」というか「聞くだに悲しい」話だ。

B&Nは4月決算なので、Q1は5-7月。B&Nはこの状態が2017年度いっぱいは続くと見ているので、大手出版社の不振を示す数字と合わせて、印刷本に頼る旧出版業界が構造的な問題を露呈していることはもはや隠しようもない。つまり、B&Nだけの問題ではなく、大型書店ビジネスの没落が急速に顕在化してきたということだ。最近までは「書店は悪くない」「不採算店を整理すれば」と考えられていたのだが、それは気休めに過ぎなかった。ストアの売上向上のためのレストラン、雑貨、玩具などの販売も焼け石に水だった。

必然ではない、デジタルに抵抗した結果

bn_cafe22013年まで、Nookも好調だった。2014年までは、書籍販売は悪くなかった。2015年は書店の売上に黄信号が出た。そして2016-7年は店舗の閉鎖が続くのだろう。単純に言えば、顧客はどちらからも去っていったのだ。昨年には顧客サービスの悪化が伝えられたので、顧客の流出が加速したのだろう。顧客はデジタルと紙のコンテンツを、オンラインとオフラインのフォーマットで購入する。すべてを有利に選べるチャネルを優先し、そうしない場合は愛着の持てる独立系書店を選ぶという分極化が進めば、かつては品揃えで独立系を圧倒した大型書店の存在は容易にアマゾンと置き換えられた。

2010年以来、旧出版界はオンラインとE-Bookの急成長に脅威を感じて、これらの成長を価格でコントロールしようとした。しかし、紙だけが自由価格でE-Bookが統制価格という状態は、オンラインとE-Bookのアマゾン支配を助けるものでしかない。大出版社と大書店は、ともに現実から目を背けてきたが、ついに来るべき時が来たのだ。これも大出版社によるE-Book価格改定(2014-5年)の結果であるとすれば、なんとも取返しのつかない大失敗ということになる。2年前から結果を予言していた筆者だが、嬉しくも悲しくもない。やはりクラッシュは止められないのだ。 (鎌田、09/15/2016)

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