W3Cが主要テーマと取組みを発表

W3Cは先週(9月19-23日)、ポルトガルのリスボンで合同技術委員会年次総会 (TPAC2016)を開催した。世界から550人あまりのWeb技術専門家を集め、1週間にわたってWeb技術の将来と標準化課題、工程表について議論した。よい機会なので、W3Cの標準化活動において「本/出版」がどのように関係してくるかという観点で概観してみたい。

本/出版活動との関係は広く、深い

tpac正式名称を Combined Technical Plenary / Advisory Committee MeetingsというTPACは、公式の作業グループと非公式の分科会セッションがそれぞれ40あまりというかなり大規模なミーティング。公開サービスとなって25年を迎えたWebの領域はますます拡大し、標準化を担うW3Cコミュニティの仕事は重くなるばかりだと思う。リリースで要約している10項目のテーマを紹介しておきたい。デジタル出版とOpen Web PlatdormでのCSS WG、The Web PlatformWGが中心となるが、半分くらいは出版と関係が深い(例えば、決済、セキュリティ、エンタメ、メタデータ)。

  • アクセシビリティ:幅広く採用されている現行標準WCAG 2.0の機能を拡張してWCAG 2.1とする作業が準備されている。ARIA 1.1は勧告候補に進み、実装の評価が行われている。
  • 自動車:車載娯楽/情報システムと車両情報データアクセス・プロトコルについて作業が進んでいる。
  • 出版:E-Bookの進化およびオンライン/オフラインのWeb読書体験の拡張を実現するため、著者および出版社の要件を実現する方法について、出版コミュニティとDigital Publishing Interest Group の間で協議中。
  • エンターテインメント:主にTVとWebの連携についての作業が、TV Control WG、Second Screen Presentation WGで進行中。放送コンテンツのブラウザ表示、WebページのTV補助画面での表示が可能となりそうだ。
  • テレコム:The Web Real Time Communications WGで、音声・動画通信の標準を策定中。
  • Open Web Platform:CSS WGは、2016年に6件の新しい勧告を完成させ、Flexible Box Layout level 1を含む22件を勧告案として上程している。The Web PlatformWGは、HTML 5.1を勧告候補とし、HTML 5.2の第1次草案をリリースした。 拡張メディア機能, Media Source Extensions (MSE)は11月中に勧告となる予定
  • Web of Data:Webにおけるデータ共有、相互運用のための指針。
  • Web決済:オンライン・チェックアウト・プロセスの簡易化とセキュリティ強化。
  • Webセキュリティ:Web Authentication WGが、パスワードによるログインに代わる安全・簡便な方法を検討。The Web Application Security WGでは、Content Security Policy level 2を完成予定。
  • Web of Things:WoT SIGは、IoTで進むフラグメンテーション(断片化)に対処するため、 IoTプラットフォームやアプリケーション・ドメインの境界を越えたデータの統合を可能にする標準メタデータを目指す。

デジタル出版関係で最も重要なのは、HTMLとCSSだが、これらはEPUBと直接に関係する、EPUBはW3C標準のサブセットだからだ。HTML+CSS>EPUBという関係は今後も変わらないが、W3CとIDPFの合併は、文書のフォーマット(構造と表現)以外の分野で、サービス的機能を標準化する上で重要な意味を持つと思われる。本誌では、標準化のテーマと背景、実装と市場などについて、W3C/IDIGの活動に即して紹介していきたいと考えている。 (鎌田、09/29/2016)

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