インディーズの快進撃は終わったのか?

AuthorEarnings-280x150Author Earningsは10月12日、今年3回目となる四半期レポートを発表した。これまで2年半にわたって一貫してシェアを高めてきたインディーズ出版本が、初めて7ポイントあまり下落したことが最大のポイントで、AERは様々な角度から原因を推定している。複数の可能性の中から絞り込めてはいないが、アマゾン出版が4ポイント上昇している。

大手ではなく、中小出版社が大健闘

インディーズ本が大きく上昇を始めたのは2015年1月からで、16年1月に部数で43%、金額で25%に達し、5月まで同じ水準が続いた。大手5社の1→5月は、部数で23→23%、金額で42→40%であり、このバランスがどう変わるか注目されたのは当然だ。しかし意外なことに、5ヵ月を置いた10月の数字は、インディーズが「一人負け」の形で、部数で7ポイント、金額で5ポイントの下落となった。B5は部数で1ポイント回復したものの、金額では1ポイント減らしており、必ずしも低落に歯止めがかかったとは言えない。しかし、中小出版社は部数、金額で4ポイントあまり増やした。唯一目立ってシェアを上げたのはアマゾン出版で、部数で4ポイント、金額で2ポイント上昇した。

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比較的点数が少ないがベストセラー確率の高いアマゾン出版のシェアは、部数、金額ともに10%を前後しているが、あまり安定しておらず、KindleFirstの発行のタイミングと重なることで揺れることがある。いずれにせよ、インディーズの失われた4%分は、B5ではなく、部数ではアマゾン、金額では中小出版社が多くを手にしたわけである。中小出版社の健闘は、ここ1年の傾向であるが、部数で8ポイント、金額で7ポイントあまり上昇した。

さて、この2年間の米国E-Book市場の最大の注目点は、B5による価格引上げと並行して生まれたインディーズ本のシェア上昇と、B5本の低下であった。昨年1月に交錯・逆転した部数シェアは後者がますます差を広げ、今年5月では25ポイントもの差が付いた。金額ではB5が5割を割って4割ラインを下回り、インディーズ本は25%ラインに乗っている。そして、上述したように、今回はインディーズが20%に逆戻りしたが、これはB5が価格を引下げたためではない。そしてB5も1%減らしている。真の勝者は中小出版社と言えるだろう。

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何が起こっているのか

amazon_catインディーズが本当に失速したのか、B5の凋落に歯止めがかかったかどうかは、Q4の数字を見なければ分からない。大手は価格を下げておらず、販売も目立って回復してはいないが、危機的水準に向かってはいない。しかし、同じ在来出版社でも中小出版社は躍進している。AERは、このことの背景について、

  1. 中小出版社の成功は、主に (1)価格設定の柔軟化、(2)マーケティングの充実による。
  2. 大手出版社は、デジタル・マーケティングを活発に行うようになった。
  3. アマゾンが印刷本の値引き幅を縮小し、E-Bookとの価格差を拡大した可能性がある。
  4. アマゾンのマーケティングで、大手本を優先するよう手加減している可能性がある。

あとの2つは確たる根拠があるものではないが、可能性は確かにありそうだ。アマゾンは今年の前半までB5印刷本の大幅値引きを行っていたが、以後は減速している。それによってE-Bookから印刷本への回帰現象が起きたりしたのだが、アマゾンのほうが方針を転換した可能性がある。印刷本とE-Bookとのバランスなのか、大手と中小、インディーズとのバランスなのかは不明だが、アマゾンが印刷本の値引き率によって、シェアをコントロールすることは可能であり、そして急激なシェアの変化を好まない可能性がある。大手が危機感を持つのは結構であるとしても、その反応が予想を超えたものとなるかもしれないからだ。アマゾンという会社は、つねに予測可能性を重視する。 (鎌田、10/18/2016)

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