IDPF-W3C合併への疑問提起

IDPF_W3CIDPFのW3Cへの合併は、前者での会員投票の段階に入っているが、創立以来のメンバーであるOverDrive のスティーブ・ポタシュ社長兼CEOが10月20日、投票プロセスの停止と合併の再考を求める意見を表明した (DBW, 10/20/2016)。規約上有効なものかどうかは不明だが、会員の中に違和感があることを示している。

目的と性格を異にする2組織の合併

stevepotashポタシュ氏は、独立した団体としてのIDPFに付託された使命とその最大の成果であるEPUBの将来に「重大な懸念」が生じており、W3Cへの吸収は会員への経済的負担の増加となり、そもそも合併の真意が不透明であるという。ちなみに、IDPFの年会費は、非営利組織で$775、営利企業は$775~$5,750。規模がはるかに大きいW3Cは、非営利組織で$7,900、営利企業は$7,900~$77,000で、一桁大きい。(2年間は据え置きとしても)現在300あまりのIDPFメンバーの大半はW3Cに移行することはなく、将来のEPUBに影響を与える道も閉ざされてしまう可能性が強い。出版ビジネスとのつながりを絶たれ、IDPFなきEPUBは弱体化する。現在行われている投票はひとまず中止し、第三の道を検討するための情報と時間を与えてほしい、と彼は提案する。

mergerでは、現在どんな状況にあるのだろうか。ワイリー社の標準化担当ツヴィヤ・シーグマン氏がMediumに寄稿した記事(10/21)によれば、以下のようなものだ。IDPFとW3Cは合併に関する覚書(MOU)に調印し、これにより会員の交換と資産の委譲を伴う法的プロセスへの最初の一歩が踏み出された。IDPF理事会は、投票資格を有する会員130人に対し、交渉経緯とともに合意内容の詳細を提示した。規約(P&P)によれば、33票(25%)以上を得て正式「交渉」の開始が承認される。これはまだ合併の承認を意味しない。付帯文書など、双方の交渉当事者で合意されるべきことはいくらもあり、それらが双方の理事会で承認されなければ無効になる。現在は、交渉をさらに進めるか否かの承認が求められている段階だ。まだ第一関門であり、ここで投票を停止すべきというのは規約上意味をなさないと思う。

しかし、ここで重要なことは、図書館サービスにおけるIDPFメンバーでEPUBユーザーが、EPUBの将来に懸念を抱き、W3Cにはなじまない広汎な出版コミュニティの声を反映させる実効性のある方法の議論を提起したということだ。上述したように、合併案の承認までにはまだステップがあり、「付帯条件」を検討する時間もある。この問題は、IDPF会員以外も含めて議論されてよいことだと思う。EPUBはデジタル出版の標準であり、将来的に維持拡大してより豊かなものとなることが期待されているからだ。 (鎌田、10/25/2016)

参考記事

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