児童向け定額サービスAmazon Rapids

a_rapidsアマゾンは11月2日、少年少女がモバイルを使って読書に親しめる「チャット型電子絵本」のストーリー・アプリ Amazon Rapidsを立ち上げた。数百本の短編が月2.99ドルで読める。プラットフォームは、Kindle Fire、iOS、Androidで、アプリには保護者向けの管理機能が付いている。アマゾンとしてはこれをミニ・プラットフォーム化していくと思われる。

マンガ+テキストによるショート・ストーリー

amazon_rapidsコンテンツとなるストーリーは、7-12歳の小学生程度を対象に、マンガ的なキャラクターとして描かれた登場人物の対話をモバイル上でのショート・メッセージを交換するようなスタイルで表現される。吹き出しの中のセリフは、子供に面白いものを考えさせるようにすることも出来る。すでに数百本のタイトルがあり、毎月数十本が追加されていくという。短いものを数多く用意するのは、子供の注意を惹きつけておくためだ。このやり方は読書教育の王道あるいは常識からは外れているが、読書に親しませる素材としては悪いものではない、という評価もある。

ジャンルはかなり幅広く、SF、スポーツ、ユーモア、ファンタジー、ミステリがある。これは文字中心のE-Book、あるいはA-Bookへのステップとなることを想定していると思われる。チャット形式は子供たちが親しんだスタイルということで選ばれたのだろう。アプリには備え付けの辞書があり、発音もチェックできる。また「読んで」モードでは読上げ機能が働く。

戦略的に重要な児童向けモバイル・フォーマット

児童向けE-Bookのフォーマットとサービス/ビジネスモデルは、まだ確立したとはとても言えない状態だ。もちろん、デジタルの可能性を生かした優れた作品は生まれているのだが、商業的なフォーマットとして定着したものはない。「紙の本を親が読み聞かせる絵本」というものを原点として考えると、キャラクターが強いインパクトを与えるコミックや、対話性電子メディアのゲームのような磁力があるわけでもなく、なんとなく中途半端なものに思えてしまう。

さて、Amazon Rapidsは読書教育のツールでもあるが、活字時代に確立されている読書教育に対応した(アマゾンでも学校教材用に提供している)常識的なものではない。絵とショート・メッセージでコミュニケーションを成立させ、ストーリーを理解することを優先する。これは日本のマンガ(その起源は絵草子にある)と同様に、文章が持つ「冗長性」を省略したもので、現実的なものと思われる。読書(reading)の出発点は、まずコンテクストをたどる「読解」であるのが自然で、絵を補助輪としたストーリーはコミュニケーションの土台となるからだ。

本サービスについては、ビジネス/モデルの成否以前に、読書教育のテクノロジーとしての妥当性をめぐる論議が起きている。これは別稿で検討してみたい。 (鎌田、11/08/2016)

参考記事

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