「紙の復活」幻想から醒めたB&N

B&N_logo2かつての「世界最大の書店」Barnes & Nobleは、2017年3Qの四半期決算を発表。総売上は前年同期比8%ダウンの13億ドル、デジタルは25.7%ダウンの3,840万ドルとなった。「紙の復活」どころか、「デジタルが売れなければ紙も」という事態に陥っているが、さすがにタイタニックは悠然と「時」を待っているかのようだ。

不振は大統領選挙の狂騒のせい!?

election既存店比較では8.3%の下落で、店舗売上の落込みは大きく、昨年の「空騒ぎ」が完全に剥落したことを示している。同社の説明では、塗り絵ブームの終焉、ベストセラー不足などを理由に挙げているが、リッジオCEOの株主への説明によれば、昨年の大統領選挙以来のの狂騒が原因だそうだ。TVのニュース番組が選挙一色となる4年の周期は、新刊には最悪なのだが、今回は1月の就任演説からまたTVが「政治」を再開してしまって日常に戻れなくなってしまった。本屋の商売はお手上げ、というしだい。

ほとんどTVのニュースショウ的な漫談解説で、確たる根拠はない憶測だ。TVでの新刊の露出と本の売上の関係は統計的に証明されない。もちろん個々には、ボツになった『ヒラリー新大統領本』のような例はあるが。政治スリラーものやノン・フィクションなどをまとめて販促することで狂騒に便乗する手もあったはずだ。この会社にもはやかつての意欲や活気は感じられず、個人的には若くして書籍の流通革命をリードしたリッジオ氏にかつての面影はないのは悲しい。まもなく1-3月(4Q) をもって同社の2017年度は終了するが、店舗売上で7%の減少を覚悟しているとのことで、見通しはよくない。

デジタル事業はまだ底を見ていない。Nookの赤字は前年同期の880万ドルから240万ドルと改善は見せたものの、これはコスト削減のせいで、売上増によるものではない。20%台の縮小は数年で半分以下になるレベルだ。顧客が離れていることを示している。不振の原因は(アマゾン以外の)どこにあり、復活のカギが(もしあるとして)どこにあるかは誰も語ろうとしないが、筆者なりに考えてきたこともあるので、別の記事で考えを示しておきたい。

要約すれば、インターネット・パラダイムにおいて、出版はオフラインからオンラインへ、本から読者へと重心が移行しつつあり、そこを見ない書店も出版社も消滅する、ということだ。「紙かデジタルか」という二者択一は本質を外れている。B&Nはオンライン基盤から再構築できなければ書店も生き残れない。  (鎌田、03/07/2017)

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