B&Nは書店を減らし、アマゾンは増やす

BN_store2米国最大の書店チェーンBarnes and Nobleは、出店の縮小を進めており、今年度内に8店舗の閉鎖を発表している。他方でアマゾンは主要都市と近郊で7店舗の出店を着々と進めつつあり、B&Nが減らした数だけ増やそうと考えているふしもある。21世紀の書店経営の方法を知っているのはアマゾンだけなのだろうか。

大規模ショッピング・モールと運命を共にするB&N

BN_storeB&Nの閉鎖は、米国消費文化の中心である大規模複合施設=ショッピング・モールの衰退と結びついている。多くのモールで「アンカー・ストア」と呼ばれる、様々なクラスのデパートが撤退したことで廃墟化が進んだ。モールが誕生し、人々が蝟集するようになったのは1950年代からのことで、半世紀を経て退潮が言われるようになった。1960年代から文化消費の中心として大型書店チェーンを展開したB&Nは、モールの繁栄と共にあった。消費文化の変化は徐々に進み、個々の企業は個別に対応することで影響を軽減できるので、むしろ戦略的な対応は遅れる。

B&Nはいまだに持続可能な「書店」というモデルを更新できていない。玩具や飲食店を入れたり、パイロット店をテストするなど「工夫」はしているが、消費者の生活スタイルの変化(その最大のものはオンライン化)を反映していないためだろう。他方でオンラインを前提としたアマゾンは、次々と出店を拡大させており「成功パターン」を確立したことを窺わせる。分かっていることは、アマゾン・ストアが、(1) 小規模、くつろげる雰囲気、(2) オンラインでの売れ筋・高評価本を中心に展示、(3) 構成・展示などで店長に大きな権限、(4) ガジェット展示は最小限、といったところだ。

書店を知る者がアマゾンとは…

amazonbooks重要なのは、店舗ごとのオペレーションの自由度(おそらく地域・消費者に最適化)で、これは独立系小書店の復活現象に注目しているのだろう。「地元作家コーナー」などのテーマ展示なども同じ手法だ。B&Nはいまだに大衆消費社会の幻想(現実逃避)から抜けていない。アマゾンはオンラインの弱点を知り、そこをフォローするので成功するように思える。大出版社やB&Nが在来のビジネスモデルに絶対の信頼を置いてきたのと対照的で、結果は当然だろう。

アマゾンが出店のペースを上げる兆候はないので、大型店の撤退ペースに合わせて(あるいはそれを超えないペースで)出店するというポリシーを持っていると思われる。大きな変化があるとすれば、B&Nが撤退を速めた場合だろう。従来のように、来店者に対して在庫品を販売する販売スタイルがビジネスとして存続するかどうかは分からない。しかし、アマゾンは街から書店が消える時に「書籍/出版」が危機に陥る可能性は予想している。出版の運命がこの会社に託されるような事態は考えたくもないことだが、危機感は薄いようだ。 (鎌田、04/25/2017)

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