オトバンク「第7回オーディオブックアワード」開催

ABAwardオトバンクは4月13日、オーディオブックの表彰式典「第7回オーディオブックアワード」を開催した。配信サービスのFeBeの会員投票をもとに、2016年に配信した作品の中から5部門でトップを表彰している。大賞(オーディオブック・オブ・ザ・イヤー)は住野よる原作のベストセラー青春小説『君の膵臓をたべたい』(双葉社、2015)。

音声表現の可能性解放に期待

234391一つのフィクションから、複数のメディア・フォーマットの作品が生まれるというスタイルは、しだいに定着してきているようだ。『膵臓』は、活字、マンガ、A-Book、と続くヒットとなった(映画版も公開予定)。出版社は版権マネジメントとプロモーションを戦略的に考えるようになるだろう。大賞以外は【文芸書部門】【ビジネス書部門】のほか、【企画賞】【特別賞】で、やはり活字で成功したものが並んでいる。

takehei筆者としては、なるべく「オーディオ」ならではの表現の可能性を実感させるものが欲しいのだが、その点では、落語家の林家たけ平が朗読した『一路』(浅田次郎原作 )がやはり出色だった。音声言語による「声演」は修練を経たプロのパフォーマーの仕事で、落語家による役づくりや間のとり方などは一般の俳優、声優などが容易に真似のできないものだ。だから、噺家、講談師、歌舞伎役者、俳優、声優、アナウンサー、などが張り合い、原作を超えたパフォーマンスを展開するようになると楽しい。

というのは、文字と音声とはまったく別のメディアで、声や音については、原作は言語表現の限界の中で書くことしかできず、オーディオ版はいくら原作(者)に忠実であるとしても別のクリエイティブ・ワークとなるからだ。その意味で、オーディオ版のナレーターやプロデューサーは別の表彰に値する。オトバンクのアワードはこれまでコンテンツ・タイトルを中心に表彰しているが、将来は「最優秀ナレーター」を表彰することでオーディオ・クリエイティブのパワーと魅力を訴求するようにしてほしいと思う。映画が俳優や監督によって成り立っているように、オーディオブックというメディアはクリエイターによって成長するものだからだ。

1世紀前のハリウッドの草創期、原作も俳優もすべて舞台などからの借り物で「有名な作品を有名な俳優で」がキャッチフレーズだったが、徐々に独自の「スター」を発見していった。オーディオブックはまだ「本」に依存している。しかし、米国では次の展開が始まった。優れた活字出版物を聴けるようにする、というミッションは重要だが、人々はオーディオとしてのオリジナルを求めていると思う。 (鎌田、04/21/2017)

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