データを制する者がメディアを制する (1)

personalizationB2BメディアのNAPCOが出版業界向けに提供しているPublishing Executive (04/20)は、すべてのメディアに共通するテクノロジー・トレンドを総括した記事を掲載した。パーソナライゼーション、AIによるデータ利用、戦略的テクノロジー統合、コンテンツの高品質化、という相互に関連する4つの視点でまとめられている。紹介してコメントしておきたい。

メディア・ビジネスの4つの課題

FuSEエレン・ハーヴェイ氏は、昨年のFUSE Media Summit のパネルからデジタル・マーケティングのメガトレンドを4つに集約した。登場したのは、パー・カロー (IBM Marketing Cloud)、コーリー・マンクバック (Parse.ly)、セーチン・カムダール (BlueConic) の3氏。Parse.lyはアナリティクス・サービス、BlueConicは、顧客データ・プラットフォーム。いずれもその分野の先端企業で、有力メディア企業を顧客に持っている。

P13nは、個人を知ることから始まる

パーソナライゼーション(P13n)、あるいはマス・カスタマイゼーションは、メディアビジネスに限らず現代のビジネスに共通する最大の課題だが、ハーヴェイ氏によれば、コンテンツの推奨機能、DMマーケティング、サイト・レイアウトを中心にP13nに取組んでいる出版社は多い。IBMのカロー氏は、P13nを始める前に、ターゲットとするオーディエンスは誰で、彼らが何を読んでいるかを知っていることが重要だ、と強調した。それを知るまではP13nを始めることは出来ない。マンクバックは、さらに実際に個人レベルで把握している必要があるという。未知のオーディエンスを知るためには、ニューズレターへの登録、(無料)ダウンロードなどを使うが、出版社が個々の識別子(メールアドレスなど)を得たならば、彼らがサイトをどのように移動し、どんなコンテンツに関心を示したかを見て、P13nを進めていく。サイトやアプリにアクセスしてくる人を知っていれば、出版の目的に即して対応していくことが出来る。

AIによるデータ利用

ai-280x150書籍出版の場合にはそもそも具体的な読者を想定してビジネスを行ってはこなかったので、ギャップは最も大きい。しかも、ごく最近までは、顧客に関して蓄積されるデータは(処理コストに比べて)ゴミ同然であったので、集め方も使い方もろくに知られていない。データはマーケティングのエネルギー源だが、エンジンがなければ役に立たない。その意味で、AIはP13nを促進する主要な要因といえるだろう。出版社が優秀なデータ・サイエンティストを採用できる可能性は少ない。IBMのカロー氏は、データを解析してオーディエンスに最適化するアルゴリズムを開発する本格的なアプローチではなく、AIを使ってP13nプロセスを迅速化し効果を上げていくことが可能であると述べている。 つづく  (鎌田、04/27/2017)

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