米国における「紙の復活」と書店ビジネスの衰退

winner3米国のメディア市場調査会社 NPD Groupは、米国の消費者行動からみた書籍市場に関するBookScanレポートを発表し、2016年のE-Book市場が数量ベースで14.7%減少した一方、全書籍販売に占めるオンライン・ストアの数量シェアが漸増して40%に達し、実書店のシェア(4ポイント減の33%)を上回ったとしている。

オンラインストアのシェアは実書店を抜いた

NPDNPDは 今年1月にニールセン社から BookScanを買収したが、調査のフレームはニールセンを踏襲し、書店のPOSデータを基本に、出版社の提供データで補っていると思われる。オンラインストア(≒アマゾン)とインディーズはブラックホールであり、別の方法でないと推定もできないが、それは放置したままだ。したがって、この方法で市場の現実をどの程度捕捉できるものかは不明ながら、旧来の方式で比較ができるというメリットはある。ただし、かつてのBookScanの看板であった「米国の印刷本市場の85%を反映」はもはや呪文でしかない。

多くの傍証から明らかになっているように、E-Bookの減少にもかかわらず、オンラインストアが全書籍販売におけるシェアを伸ばしたのは、(実書店からシェアを奪う形で)印刷本販売の増加で十分に補ったためである。書店のシェア減少は、現実の書店数の減少と対応しているだけに危機的な水準と言えるだろう。しかし、BookScanは印刷本におけるオンラインストアのシェアを30%、実書店のそれを40%あまりと推定しており、Author Earningsのそれとの落差は大きい。とはいえ、オンラインが米国の書籍販売の中心的チャネルであることは、最も保守的なBookScanでも裏付けられた。

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E-Bookは2010年比で2.5倍以上に拡大

フォーマット別では、ハードカバーが2015年比で5%上昇。2011年以降で初めてE-Bookを上回った。E-Bookは14.7%減。NPDは理由を、E-Bookの価格上昇と専用E-Readerの利用減退としている。しかし、NPDが引き継いだPubTrack Digitalは、「大手5社を含む商業出版社30社以上」をカバーしているだけなので、Author Earningsの捕捉率の半分以下ということになるだろう。大手出版社がE-Book販売を減らしたことは事実だが、市場の真実とはほど遠い。数量ベースで全フォーマットの販売高は1.4%減。E-Bookの構成比は2015の25.9%から3ポイント低下して22.9%となった。

growth6本誌から見て最も興味深いデータは、2010年からのフォーマット別、時系列比較で、2010年比で見ると、E-Bookが2.5倍以上の165.2%であるのに対して、印刷本の3フォーマットが停滞ないし減少を示していることだ。2013年をピークに減少しているものの、構成比にして9.3%から23%に増加した。版元の政策とアマゾンの対応によって、結果的に印刷本との「逆価格差」をつけられたにも関わらず、(大手出版社にとってさえ)E-Bookが最も成長したフォーマットであった事実は重い。デジタルは歴史の必然なのだ。 (鎌田、05/04/2017)

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