米国で広がる「教科書負担ゼロで学位」

zero cost米国では教科書コスト負担が問題となっており、単位取得に高額の教科書が必要とされるカレッジ以上では学生の進路や進学を制約する要因となっている。州や大学、財団による無償教材の提供は拡大しているが、カリフォルニア州のコミュニティ・カレッジ(公立短大)では教科書負担ゼロの学位プログラムを提供するところが現れた。

公立短大レベルでOER採用コースが拡大

zero_cost_textbookカリフォルニアの College of the Canyons (COC)では、来期からCalifornia Community Colleges (CCC)総長室が推進しているZero Textbook Cost Degree (ZTCD)技術支援契約プログラムにより学位取得に必要な教科書を無償提供する。このプログラムはジェリー・ブラウン州知事の提唱で生まれ、2年間500万ドルが確保されている。地元メディア (The Signal)によれば、COCは教育コストの上昇が学生の応募、コース選択に与える影響を調査した。

それによれば、学生の75%は、書籍の購入費用と供給は学業の目標を達成する上での主要な障害となっていると回答しており、また70%はコースの選択に影響するとしている。コースごとに異なる教科書のコストは、技術系の資格取得コースで特に問題となる。COCはすでに200以上の教科でオープン教材(OER)を採用しており、それにより2016-17年度で学生の負担を300万ドル軽減することに成功している。またカリフォルニア州の看護師不足対策として、12万5,000ドル分の看護学コース教材が提供された。CCC理事会などでは、こうした試行を拡大しつつ、教師や学生へのフォローアップ調査を継続して行っている。

Zero_cost教科書・教材は、コースの修了に不可欠なものだが、義務教育以上は「受益者負担」とされ、1冊100ドル以上にまで高騰した大学教科書の問題も、放置あるいは無視されてきた。それは出版社や教師にとっての重要な収入源となってきたことも理由の一つだ。しかし、近年では格差問題の観点からも注目され、教材の無償化は、行政や教育機関にとってもテーマとなっている。しかし、OERと商業教材をどのようにバランスさせるか、とくに一般科目と専門科目でのOER選択などは現場での経験の蓄積が必要と思われる。 (鎌田、07/13/2017)

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