「二重否定」から読むAlexa版Kindle (1):肯定/否定

Kindle-Oasis-boosk-2今年10周年を迎えるKindleが次にAlexaを搭載するかどうかに注目が集まっている。デバイス担当のデイヴィッド・リンプ上級副社長(SVP)が英国を訪れた際ののインタビューで述べた "Never say never" の意味について2つの解釈が出ている。二重否定を「肯定」ととるか、標準英語が認めていない「否定呼応」ととるか。それは「脈絡」で考えるしかない。

拡大するAlexaの音声エージェント環境とKindle

英国のiNewsをそのまま引用すれば、こうなる。

「Alexaがフォードの乗用車やLGのスマート冷蔵庫にも搭載されているのを見ると、FireタブレットやFire TV StickがAlexa対応に更新したように、Kindleもそうなるのは十分にありそうに思えますが、との問いに対し、リンプSVPは(慎重に言葉を選びながら)「絶対にないとは言えません」(“I wouldn’t say never”)と述べ、「そうする時には、ユーザーの気を逸らせる (distracting)ものでなく、おしつけがましいものでない (non-intrusive) やり方で組込む必要があります。」と付け加えた。

feature-AlexaLaunch-1280._CB525891810_付け足しはこれまでアマゾンが表明してきたデザインポリシーであり、これまでKindleの「機能」(たとえば広告)について聞かれるたびに表明してきたことでもある。では、リンプSVPの二重否定は肯定か否定か。筆者は「当面は消極的にノー、将来は積極的な意味でイエス」であろうと考えている。Kindleはこれまでつねにガジェットではなく、読書環境として扱われてきたからだ。アップルが故ジョブズ氏の遺訓を反故にしてiPadのフォーム・ファクターを多様化させたのとは対照的に、アマゾンは「初めての家電製品」と考えられたKindleを特別に慎重に扱ってきた。

周知のように、Alexa音声エージェントはKindle Fire、Fire TVが対応している。さらにKindleに組込まれることで、Kindleはオーディオブックとオーディオ・インタフェースを持つことになる。さしあたっては、以下のことが浮かぶ。

(1) A-Book (Audible)の購入、再生が可能となる。
(2) Echoのように音声での応答サービスが利用できる。
(3) Kindleのアクセシビリティ問題が、別売部品なしで解決する。

KindleリーダはガジェットではなくKindle環境のコア

Alexa_logoガジェットであるという(iPhoneやiPadのような)前提に立てば、Kindleはほぼ毎年新しい機能を加えて市場を拡大し続けなくてはならないだろう。開発チームはかなりの数のリストのセットを組合せながら「次世代」機を開発する。音声エージェントAlexaが、同社の次世代ハードウェアの土台をなす戦略的プラットフォーム機能としてKindleにAlexa版を設定すると考えるのは自然だろう。ただでさえ、各社の音声エージェント開発/拡張競争は熾烈化しているのだ。

しかし、Kindleは基本的にKindle書籍を読むための単能機であり、そしてアマゾンは北米のE-Book市場の9割近くを占めている。逆にE-Bookも読める汎用デバイスは他社製を含めて数多くあり、Kindleデバイスへの内外の開発プレッシャーはほとんどないとも考えられる。デバイスとして売上を拡大するには「Alexa版Kindle」の効果はさほどでなく、逆に未消化のAlexa環境が、成熟し、安定したKindleの読書環境を損なう可能性もある。筆者の推測では、KindleからみてAlexaは「音声」というより「AI」として重要なものだと思う。それは読書環境を構成する機能(Alexaでは 'Skill' と言う)として、ユーザーが納得する形で導入されるだろう。

いずれにせよ、これは簡単な問題ではなく、Kindleとはアマゾンにとって何なのかを示すテストケースになるはずだ。 (鎌田、08/29/2017)

参考記事

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