「世界最大の書店」に買い手は見つかるか

B&N2Barnes & Noble (B&N)が自身の売却について投資銀行筋と交渉を行っている、という噂を金融情報メディアのDealReporter (DR)が伝えた。B&Nが否定したことで噂に火が点くことはないが、株主を中心に低迷する株価に不満が高まっていることが背景にあると思われる。問題は、買い手が(アマゾン以外に)見つかりそうもないことだろう。

Nookはなお黒字化に向け奮闘

DRによれば、B&Nがこの半年ほど金融顧問の関係にあるGuggenheim Securities (GS)を通じて売却の打診を複数の投資企業と行っているという、交渉先はApollo Global Management APO、 Platinum Equityを含むファンドとのことだ。The Digital Readerのネイト・ホフェルダー氏は、この情報が虚報に近いと判断している。過去に虚報の実績がある上に、GSは不動産の売却で関係があるからだ。

B&N_Nook2問題は売る側よりも買う側にある。買う側はB&Nに現実的な「対アマゾン生残り戦略」があるかどうかを問題にするだろう。それがないことは過去5年で証明済みだ。転売の可能性がない限り買い手は現れない。B&Nの経営陣は平均1年以下で交代して、信頼性・安定性は限りなく低い。アマゾンが食品スーパー (Whole Foods)のように買収する可能性は、独禁法との関係で政治化する可能性があり手を出しにくい。現在可能性があると見られるのは、米国進出の意思を表明したことがあるカナダのインディゴ(前のKoboの親会社)だが、書店チェーンという業態がデパートなどと並んで危ない業種と考えられている時代に、ひと回り大きいB&Nの買収は考えにくい。

Good eReaderは、Nookが直近の2四半期で7,300万ドルを売上げ、下落に終止符を打つ可能性があることを伝えた。NookのE-Bookは専用端末でしか販売されていないので、この数字は2015年 (Nook Glowlight Plus)以降新製品がなく、Nook Tablet 7で躓き、急成長のA-Book市場にキャッチアップするべきNook Audioのアプリ展開も遅れている状態であることを考えると、驚くべきことかも知れない。

B&Nのデモス・パルネロス新CEOは、「Nookは、顧客が好きなフォーマットを選択できるようにする弊社のオムニ・チャネルの重要な構成部分であり、これまでに赤字を4,700万ドルから1,700万ドルに縮小し、2018年の黒字化に向けて鋭意取組んでおります」と表明している。企業としての戦略も資源投入もなく、予算が限られた状態であることを考えれば、現場の努力は想像に余りある。次の四半期決算の発表は間もなくだ。 (鎌田、09/07/2017)

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