発行目的と編集方針、構成

何を目ざし、何に注目しているか

出版の危機は、約20年にも及ぶ日本の知的・道徳的・産業的・社会的衰退と表裏をなしており、その衰退の主要な部分を占める出版を再建するというのが、大それていますが、本誌の使命と心得ています。「電子書籍」は出版の再建の手段として注目します。また出版業界ではなく、社会的機能としての出版の再構築に注目しています。

空洞化と崩壊の拡大を特徴とする日本の出版の危機は、かなりの部分日本的現象であり、デジタル化という産業技術史的な変化の問題とともに解決しなければなりません。それは「先進国」である米国のモデルや方法を取り入れるだけで問題に対処できるとは考えられません。新しいシステムを既存のものに接ぎ木することはできないと思います。

出版で扱うものは「娯楽・慰安」から「技術・知識」「思想・科学」まで幅広い分野の情報ですが、これらは社会の知識空間の広がりと価値を表現しています。「その人の読むものが分かれば、その人が分かる」と言われますが、いま読まれている本の質と量から、日本はどう描き出されるでしょうか。正確なデータに基づく現状認識が必要とされています。

本誌は業界誌ではありません。電子書籍業界が成立することもないと考えています。私たちは、狭い「業界」を超え、出版に関わるプロフェッショナルが連携する創造の場、そして様々な分野の企業と著作者、消費者、ユーザーのインタラクションを通じて市場が成長する社会的エコシステムを問題にし、そのための知識・情報の提供を目ざしています。

企業出版や自費出版が重要な役割を果たしていたとはいえ、従来の出版は「出版社」あってのものでした。デジタルコンテンツの制作と流通において、出版への物理的障壁は消滅し、商業出版社だけでなく、音楽・映像・ゲーム・教育・メディアを含む、それ以外の「出版者」にとっても、大きな機会が広がっています。本誌はそうした機会に注目します。

情報の意味を読む複眼と方法

E-Bookのようなテーマでは、ニュースやその背後にあるイシュー(問題・争点)を、必ず複数の視点で見なければ意味は理解できません。そして情報は意味を理解できなければ役に立ちません。本誌は「意味」を読む媒体ですが、そのために出版を、市場・テクノロジー・ビジネスの3次元のスコープでスキャンし、時間軸を含めて分析します。

出版/コミュニケーションのコンテクストと時間性
本誌は「電子書籍」を独立したものとしては扱いません。それは一定の社会的機能を果たすものとして登場し、その過去と現在を見なければ未来は考えられないからです。

市場/技術をクロスオーバーする
E-Bookは、既存のメディア、テクノロジー、プロダクト、サービスのカテゴリを超えており、本誌は様々な要素のダイナミックなネットワークとしてデジタル出版を見ています。

グローバルな変化を捉える:
デジタル出版には国境はなく、言語とテクノロジーは変換可能なもので、自由に移動、移殖できます。本誌は日本、アジア、米州、欧州など地域圏と言語圏を注目しています。

データに基づく事実認識、静態より動態を重視
市場と民主主義は、事実を構造的に伝える客観的な数字に基づく「透過性」があってはじめて機能します。本誌はデータを批判的に検討し、粗略に扱いません。

「業界」視点を越えた「産業」「エコシステム」視点の分析
日本の専門メディアはビジネスの主体である「業界」に寄り添う形で存在していました。本誌はあえてそれらから独立した第三者として「産業」と「エコシステム」を見ています。


EBook 2.0 Magazine 内容構成

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