No.40, 06/23/2011

EDITORIAL

スパムに勝つ方法

当然のことながら、出版ビジネスへの参入障壁が下がれば、いろんなものが現れる。スパムはその一つだ。スパム本の脅威についてはお伝えしたので、この邪道に勝つ方法を提案しておきたい。スパムは必然であり、この邪道が正道を鍛え、消費者(社会)の眼を養い、その支持を得て勝つ方法を教える。だからスパムは恐れる必要はない。ただしこれを怖れるあまり、デジタル市場をスパムに任せ、印刷本の世界に引き籠ったら話は別だ。消費者をスパムに委ねれば歪んだ市場が生まれる。[続きを読む]

ANALYSIS & COLUMN

中小出版社と書店のE-Bookマーケティング

米国書籍商協会(ABA)がアンブライドルド・ブックス(Unbridled Books)と提携して行った、6月9-11日の3日間限定で25冊の書籍コンテンツ(Google eBooks)を各25セントで販売するプロモーションについて、ABAはこれが大成功だったと伝えている。このセールは、独自のプラットフォームを持たない独立系書店がE-Bookビジネスに参加できるかどうかを占うものとして注目されてきた。ABAはGoogle eBooksと提携することで書店が窓口を開設できるようにしたが、実際に一定数の顧客が購買を行う流れを確認する必要があったためである。[続きを読む]


E-Book市場を襲う「スパム」本の脅威 (♥)

マスとしてのE-Book市場の成立とともに、好ましからざるものが現れる。一般的には海賊版だが、これは騒がれる割に確認可能なデータが乏しく、E-Bookとは無関係に昔から存在した。現実に大問題となってきたのは、剽窃、粗悪、改竄などのコンテンツを総称した「スパム」と呼ばれるものだ。スパムはもはやメールだけではない。この3ヵ月の間に、チェックの甘いアマゾンの自主出版支援プログラムDigital Text Platform (DTP)で急速に増殖してきた。DTPでは著者の取り分が70%にもなるので、廉価な犯罪的コンテンツで荒稼ぎして消えるには便利な侵入口になる。[全文=♥会員]

NEWS & COMMENTS

シンプルが一番:Nook TouchがKindle抜く

先月発売されたB&Nの新製品Nook Simple Touch Reader (STR)の評価が高まっている。製品テストで最も権威あるConsumer Reportは6月17日、STRがKindleを押さえてトップの評価を獲得したことを明らかにした。発売時期に違いがあるとはいえ、Kindleは2007年末の登場以来守り続けてきた指定席を失った。CR誌は、2年遅れでスタートした初代のNookについても着実にファームウェアの改善を重ねてきたことを称賛している。[続きを読む]


米国E-Book市場は小説が牽引

E-Book市場で重要なのは分野別の数字で、マンガとアダルト、辞書に偏る日本の数字が欧米のものと直接比較できないのはそのためだ。出版年鑑で知られる米国のバウカー社は、2010–2011年の米国における消費者の購入行動に関するレポートを発表し、E-Bookにおいてはフィクションが、数にして61%、金額にして51%を占めたことを明らかにした(Publishers Weekly, 06/20)。販売数で第2位は児童書で12%、金額ではノンフィクションで14%だった。しかし、ノンフィクションでは自伝/伝記が目立つのみで、まだ十分に浸透していない。[続きを読む]


アマゾン出版が「エド・マクベイン全集」刊行へ

アマゾン出版(Amazon Publishing)は6月22日、ミステリの大御所、エド・マクベインの全作品の出版権を獲得し、近く刊行を開始することを明らかにした。1956年から2005年にかけて書かれ、絶版本を含む47作品から成り、ミステリ・ブランドとして立ち上げた「トーマス&マーサー」の看板の一つとなる。嬉しいことは、これがKindle版だけでなく、印刷版でも提供されることだ。このことは、アマゾンが原作者に十分な敬意を持ち、読者のニーズを知っていることを示すものでもある。E-Bookによって有名作家の埋もれた作品が日の目を見ることになる。同様の全集企画が続くことも期待できる。SFブランドでは何を看板とするだろうか。[続きを読む]


富士通が実用系E-Bookサイト BooksV

富士通は6月22日電子書籍配信サービス、BooksVをスタートした(リリース)。PDF/XMDF形式で提供される販売コンテンツは、実用書を中心に30万点以上あり、国内最大規模としている。当初はWindows PC向けでスタートし、秋までにはAndroid端末にも対応させる。モバイルブック・ジェーピーやグループ会社のジー・サーチと富士通エフ・オー・エム(FOM)などと提携し、ビジネス、経済、生活、健康、文学、趣味など多様なジャンルのコンテンツを用意する。「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」「エコノミスト」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」などの専門誌や市場レポート、調査報告書なども取扱う。雑誌記事は、記事/章単位で販売する。[続きを読む]

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