Digest [2010年9-12月]

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E-Bookが急浮上し、印刷版沈下の米国出版界 (♥)

2010 年は、たしかに米国にとっての「E-Book元年」だった。この1年に米国で何が起きたかを知ることは、歴史的にも意味があることだ。幸いにして、米国の 出版産業、あるいはマーケティング会社は様々な角度から、この構造変化を捉えるための定点観測データを揃えており、それらを分析することで、間違った常識 や俗説にとらわれない正確な見方を得ることができる。たとえば、E-Readerは印刷書籍の購買を減らすのか、書籍産業全体としてはどうか、ユーザーは 専用リーダとLCDタブレットをどう使い分け(てい)るか、といった基本的問題は、様々に語られてきたが、まだコンセンサスは生まれていない。[2010年12月30日]


出版とソーシャルメディア#2:本か人か (♥)

前回はオンラインショップをベースに、ソーシャルメディアを結びつけたCopiaを紹介した。E-Book+SNSのタイトな結合を目ざすのは、アプローチとして正統的なものだろう。それだけに、アマゾンやB&Nなどのメージャーが同等なものをそれ以上のスケールで提供した場合に生き残れるかという問題が残る。それに対して、本との結合を緩くして、逆にヒト(SNS)にフォーカスしたのがLibraryThingやMendeleyである。いずれも パーソナル図書管理サービスをベースとしている。[2010年12月30日]


出版とソーシャルメディア#1:Copia (♥)

E-Bookの普及とともに、出版/読書体験の社会的側面に注目した新サービスやビジネスモデルが登場している。ソーシャルネットワーキング(SNS)は21世紀のWeb技術の重要なトレンドだが、E-BookとSNSの融合によって新しい価値を創造し、事業化しようというものだ。この動きには新規参入企業、アマゾンのような巨大企業、そして出版社も含まれる。SNS抜きではE-Bookビジネスは不可能になりつつある。本誌では、様々なタイプのビジネスを紹介し、日本での展開の可能性を検討してみたい。[2010年12月24日]


大学タブレットKnoついにリリース (♥)

大学生・教員向けタブレットを開発するノー(Kno)は、初代製品となる2機種の出荷を開始した。タッチ式14型(1440×900 pix)のシングルスクリーンとデュアルスクリーンの2機種があり、16GB版で前者が$599、後者が$899と、この構成ではかなり思い切った価格設定となった。教科書を販売するテキストブック・ストアも同時に展開しており、主要学術出版社の数万冊がラインナップされている。高等教育用タブレットは、たんなる教科書端末ではなく、複合的な意味を持っている。マーク・アンドリーセンという最強の支援者を得ているノーは、2011年の焦点の一つとなる可能性が強い。[2010年12月23日]


NOOKcolorとタブレットリーダ新時代 (♥)

B&Nの新製品NOOKcolorが米国で売れている。出荷台数は、1日に1万8,000台とも言われるが、$249という価格、タブレットリーダというカテゴリー初の製品化であることを考えると、この数字は「10月からの70日間で“数百万台”」というKindleと比べても遜色ないものと言える。多くのメディアや専門家のブログのテストでも推薦を得ることが出来た。2010年は「Kindle vs. iPad」で幕を開けたが、われわれの予想通り、マーケットの違いが鮮明になり、競合することはなかった。それに代わって「Kindle vs. NOOKcolor」が、年末に浮上してきたことになる。[2010年12月16日]


米国出版界の「今年の顔」にB&N会長 (♥)

米国の出版業界誌Publishers Weeklyは「今年の顔」として、Barnes & Noble (B&N)のレナード・リッジオ会長(写真)を選んだ(PW, 12/06)。危機に見舞われながら、なおデジタル時代の書店ビジネスを切り拓いているビジョンと戦略的経営手腕を評価してのものである。その直後の12月6日、ライバルのボーダーズ社 (Borders)の大株主ウィリアム・アックマン氏(Pershing Square Capital Management)は、ボーダーズへの出資額を引き上げた上でB&N買収=経営統合を目ざす(1株$16)ことを表明した(同, 12/06)。B&Nはこの件についてまだコメントしていない。[2010年12月8日]


米国E-Book市場の構造と成長パターン (♥)

米国出版協会(AAP)は12月8日、2010年10月の出荷統計(卸販売額)を発表した。全体で0.9%減の7億2,100万ドルだが、1~10月の通算では3.4%増と、まずまずの基調だ。E-Book販売は前年同月の1,920万ドルから112.4%増加して4,070万ドル。10ヵ月間では、前年同期の1.7億ドルから171.3%増の3億4,530万ドルに達した(構成比8.7%)。E-Bookの数字は9月の3,990万ドルとほぼ同水準で、7月以降、4,000万ドル前後という水準を大きく超えることがない。これをどう考えるかは消費者(読者)についての構造的な考察を要する。本誌は、初期の急成長期から次のステージの移行の兆候ではないかと考えている。[2010年12月9日]


アマゾンの逆襲:Kindle Web拡張版 (♥)

アマゾンは12月7日、WebブラウザをベースとするKindle for the Web (既発表)を拡張した新しいサービス・パッケージを発表した。Webでの無料サンプル試読に加えて、Kindleの環境全体をアプリを使わずにブラウザで利用できるようにしただけでなく、Kindleのアフィリエイト・ウィジェットを簡単に取り付けることで仮想KindleショップをWebサイトやブログに展開する得意技を初めて出したことに注目。B&Nが力をつけ、Googleがついに参入したことで、気流は乱れ、競争はいよいよ熾烈になってきた。間もなく日本にも余波は及ぶ。シートベルトのご用意を。[2010年12月8日]


50ドル端末時代にどう備えるか (♥)

E-Readerの価格低下と市場拡大のテンポが落ちずに続いている。米国のクリスマス商戦では中心的存在となり、価格はついに100ドルを切るまでになった。2011年末には50ドルまで行くと見られている。2007年11月に399ドルで登場してから3年で25%、4年で12.5%ということになる。印刷物でいえば、用紙と印刷・製本コストが劇的に下がることと同じで、来年以降は、書籍出版だけでなく、新聞や広告などを含めた、あらゆる出版に影響を及ぼすレベルに達し、その影響は顕在化してくるだろう。ここではデバイスの価格革命のインパクトについて検討してみたい。[2010年12月2日]


「電子書籍元年」の実相 (♥)

矢野経済研究所は11月18日、「電子書籍市場に関する調査結果」を発表した。2009年の市場規模を610億円、2010年を670億円(+9.8%)と見込んでいる。iPadを含めたE-Reader向けは20億円。市場のほとんどが依然として携帯・PC向けであることを考えると、「電子書籍元年」はわずか20億円でのスタートということになる。2014年には1480億円。E-Readerは800億円となって50%を超える、という予測だ。しかし、予想にはあまりに多くの疑問符が付くのは仕方ないだろう。[2010年11月25日]


B&Nと教材出版社、大学がNookStudyを実験 (♥)

米国のコース教材出版社XanEdu PublishingとBarnes & NobleおよびテキサスA&M大学(TAMU)の三者は11月18日、高等教育向けコンテンツ提供プラットフォームNookStudyの効果測定を共同で行うことで合意した。TAMUの学生は、NookStudyを使ってXanEduの教材を使用し、ユーザビリティ、アクセシビリティやアプリケーションと教材の評価などをフィードバックする。NookStudyは、教科書(eTextbooks)だけでなく、クラス教材、ノートなど教科学習に関連するコンテンツを一つのアプリケーションで管理することができるもので、PCやMacに無料でダウンロードして利用する。[2010年11月25日]


米国iPad雑誌の苦闘:広告は成立つか? (♥)

米国の大手広告エージェンシー、MediaVestが最近行った調査によると、iPadユーザーの用途の中で雑誌アプリの購読は予想外に低いことが分かった、とAdvertising Age (11/10)が伝えている。インターネットアクセス、メール、音楽、読書、地図閲覧、写真閲覧、カレンダー、ビデオ鑑賞、ラジオ聴取、新聞閲読…と続いて、ほとんど最後に来るのが雑誌アプリだ。まだ広告媒体として認知を得られる段階ではないことを意味する。理由は、iPadユーザーが、従来のアップル製品ユーザーとはかなり違う層に市場を広げたことにあるようだ。[2010年11月17日]


米国消費者専門誌がKindleを1位評価 (♥)

米国で最も影響力のある消費者NPOの専門誌コンシューマー・レポート(CR)は、6月に続きE-Readerのテストレポートを発表し、再びKindleを一位にランクした。あらためて(マーケティングやサービスを除いた)リーダとしてのKindleの強さが実証された形だ。このレポートでは、保守的な読書スタイルで自然に本を読む際の「読みやすさ」を何よりも重視している。メーカーや出版社がカラーを重視した結果、日本語電子ペーパー製品が事実上まだ登場していない日本と比較してみると興味深い。[2010年11月17日]


「デジタル的利用許諾契約」の基本問題(2) (♥)

前回の問題提起に続いて、何が問題になっているかを考える。デジタルコンテンツは印刷刊行物の改版と本質的に異なる性質を持っている。それは(1)再編集や更新が容易で、(2)版元のリスクがなく、(3)マーケティングの可能性が大きいということだ。デジタル版には店頭から消えるまで売れるのを待つしかないという制約がない、組合せを変えることも、オンデマンド印刷もできる。そうした多くの可能性への対応を、例示されている契約書案は触れていない。デジタルコンテンツに関して、出版社はメーカーとしてではなく、具体的なスキルとパフォーマンスを持ったサービス・エージェントとして対応するしかないと思われる。[2010年11月11日]


読者とコンテンツがE-Book市場を牽引 (♥)

Forrester Researchは11月5日、E-Book市場についての報告書を発表した。米国市場の中期(5年間)予測を示し、Kindle登場以来3年間の急成長がどのように持続されるかを検討している。「E-Book購入は持続的に上昇」と題したこのレポート($499)は、米国人の7%がE-Bookを購入していると推定。その市場は2010年に10億ドルの大台に近づき(9.66億ドル)、2015年に3倍の28億ドル規模に達すると予測している。新たに8%が購入意向を示し、購入者はさらに読書量を増やすことが分かっているからだ。[2010年11月10日]


アマゾンが印刷工場!?:Kindleの次はODP (♥)


アマゾンは好調な決算を追い風に、大型設備投資を必要とする新事業に本格進出しようとしている。自主出版本、絶版本、非Kindleユーザーの需要を掘り起こしながら、ハイブリッド化によって印刷本の流通在庫(コスト)を劇的に削減しようというものだ。いまや印刷本以上の売上をKindleで上げる同社にとって、これは落ち穂拾いではない。全米に10ヵ所以上の巨大施設を展開して行う大規模事業だ。これもまた破壊的イノベーションになるのかもしれない。[2010年11月1日]


コンテンツとしての旅行ガイドの可能性 (♥)

旅行ガイドは、E-Bookと最もなじみやすい分野の一つだ。海外ではすでに多くのコンテンツあるいはアプリが、タブレットとスマートフォン向けに登場している。それには定評あるガイド出版社のものだけでなく、中小の専門出版社、Webでシティガイドなどを提供しているサービスまでが含まれる。ということは、これからますます(膨大な)ものが登場し、有料コンテンツと広告モデルの無料コンテンツ、そしてプロやアマチュアの旅行記、旅行写真などのマイクロコンテンツやマイクロアプリまで参入して百花繚乱というか汗牛充棟、玉石混交ということになるだろう。[2010年10月31日]


Nookカラー機は「雑誌」と「子供」でiPadに対抗 (♥)

E-Book市場においてiPadが新たに創造した地平は、雑誌と子供であった。米国の雑誌業界はiPadをターゲットに動き始め、ジョブズがファミリー市場開拓のために整備した畑からは子供向けのヒット・アプリが量産され始めている。なお崖っぷちに立つB&Nが昨年末のNookから1年で投入したNOOKcolorは、まさにこの2つにフォーカスした。iPadが独占した2つの市場にライバルが登場したことで、これらの市場が読みやすくなった。2011年はこれらがE-Bookを牽引するのかもしれない。[2010年10月27日]


版元と独立系書店をつなぐTreelineが拡大中 (♥)

出版業界向け業務用電子カタログサービスのAbove the Treeline(ミシガン州、アナーバー)は10月25日、ジョン・ワイリー社(John Wiley & Sons)が同社のEdelweiss Interactive Publisher Catalogsを導入することで合意したことを発表した。これにより同社のカタログは、30以上の出版社の850の版元(imprint)と87,000点、書店の新刊書の85%をカバーするようになった、と同社は述べている。[2010年10月27日]


E-Bookにおけるデザインと画面の関係 (♥)

アップルは空前の四半期決算を発表し、Macの新製品発表を続けた。しかし、華々しい2つのニュースの影で、スティーブ・ジョブズCEOがiPadについて述べた言葉は、E-Bookあるいはタブレット・アプリケーションにとって非常に重い意味を持つものとして注目されている。18日の決算発表のミーティングに電話で登場した彼は、たびたび噂に上っていた7インチiPadの可能性を明確に否定した。Flashの場合などと違って、十分に説得力のある(つまり政治性を感じさせない)理由を同時に述べていたので、これは未来永劫に否定したことになるだろう。[2010年10月21日]


ラーナー出版が学校・図書館市場開拓へ (♥)

青少年向け図書で知られるLerner Publishing Groupは10月19日、オンライン配信会社のImpelsysと提携してE-Book出版に本格的に進出した。Impelsys社のiPublishCentralを利用し、とくに学校と図書館を対象に考えられたもので、カリキュラムに最適化した読書体験とコンテンツを生徒に提供する。同社はPDFと拡張E-Bookフォーマット(Lerner Interactive Books)を含む1,000あまりのタイトルを有している。ラーナー出版は、E-Bookに戦略的に取組んでおり、Impelsysとの提携も、同社の目ざすものがたんなるオンラインコンテンツの提供・配信に止まらないことを示している。教育市場のデジタルコンテンツは、すでに広義のeラーニング環境と一体化しつつあるからだ。[2010年10月21日]


中国政府が電子書籍産業振興施策を発表 (♥)

北京週報日本語版などが伝える(10/10)ところによると、中国の国家新聞出版総署は9月「電子書籍産業の発展に関する意見」を発表し、電子書籍産業の成長について政策と新目標を提示した。世界第2の“E-Book大国”に成長しながらも、規格が乱立し、版権保護の体制の遅れなどが成長の制約になるとして、国家の全面的な関与による基準制定の必要を指摘している。また出版社、プロバイダー、端末メーカーを支援することでナショナルブランドを国家的に育成するという方針を明確にしている。[2010年10月14日]


マグロウヒル社がカスタム教科書作成支援 (♥)

ニューヨークのマグロウヒル社(Higher Education)は10月8日、プレスリリースで高等教育の教授用教材作成プラットフォームMcGraw-Hill Createサービスの内容を紹介した。講師は、5万点もの図書の中から自由にアレンジすることで、教える内容に即したページだけを選択し、特別に構成されたカスタム教材を電子版または印刷版で容易に作成することができる。1時間以内に校正刷りが得られるので、急な講義にも使用できるという、夢のようなシステムだ。[2010年10月14日]


B&NのPubIt!と自主出版が注目される理由 (♥)

Barnes & Nobleは、自主出版 (self publishing)支援サービスをPubIt!というブランドでスタートさせた。ユーザーは、(1)アカウントを取得してコンテンツをアップロードすると、あとはPubIt!が(2)ePUBに自動変換、(3)BN.comで販売を行うことになる。5月に「今夏」と発表されていたもので、やや遅れてのスタート。サービス内容にも目新しさはないが、B&Nも進出ということがニュースではある。[2010年10月6日]


DLコンテンツは販売か貸与か? (♥)

米国のラップ・ミュージシャン、Eminemの版権管理会社が原告となり、ユニバーサル・ミュージックに対して「ライセンス料の不足分」の支払いを求めて争っていた訴訟で、サンフランシスコの連邦控訴審は9月2日、一審判決を覆して原告勝訴の判決を下した。iTunesを通じて消費者に提供していたものはライセンス(使用許諾)であってコンテンツじたいではないから、アーティスト側に支払うべきはロイヤルティ(販売に伴うもので20%あまり)ではなく、CMや映画サントラでの使用に適用される50%である、というものである。確定すれば、影響はオンラインコンテンツ全体に及ぶ。[2010年10月5日]


E-Bookビジネスモデルの鍵:ブランドと個客 (♥)

日本の「電子書籍ビジネス」のパターンがほぼ出来つつある。音楽コンテンツのように、制作会社と消費者の間に配信プラットフォームとデバイスを配置するものだが、どうもメーカーにも通信会社にも、そして出版社も、最も重要な要素を忘れているように思われる。それは簡単に手に入るものではない。モデルの成否とサステナビリティを保証するもの。それは個々のユーザー(読者)との対話を通じてつくられるブランドだ。[2010年9月29日]


モバイルWeb戦争の開始を告げる「電子書籍」 (♥)

モバイルWebが21世紀の巨大市場となることは確実だけに、通信会社は非電話系デバイスとサービスに積極的に関与しようとしている。iPadでソフトバンクに先を越されたNTTドコモとKDDIは、ともによく似たアプローチで「電子書籍」にフォーカスとした事業を立ち上げた。しかし、同様の「プラットフォーム」の乱立が、果たして創造的な競争につながり、日本の市場を新たな段階に進めるかどうかは定かでない。このスタートラインから次の一歩につなげる条件を考えてみた。[2010年9月30日]


プロフェッショナル・タブレットへの期待 (♥)

Research In Motion社 (NASDAQ: RIMM)は9月27日、BlackBerry PlayBookタブレットとBlackBerry Tablet OSを発表した。PlayBookは2011年初頭に北米で発売し、第2四半期より他地域へ展開する計画(つまり年末商戦には間に合わず!)。ARM Cortex A9 (1GHz)で動作し、7”(1024×600)マルチタッチスクリーン、カメラ×2を装備、通信はWi-FiとBluetooth 2.1+EDR。重量は400g。3G/4G対応機は後回しとなるもよう。[2010年9月28日]


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