No.48 (08/18)に掲載した「E-Bookの価格問題」の記事(本日一般公開)について、読者の方からコメントをいただいた。印刷本の20~30%引き、という欧米の消費者調査の結果を「だいたい予想していた高数字」と見ておられるが、同意見の方は少なくないと思う。自分が本を買う立場として考えるとそんなところだろう、ということだ。しかし、採算性の読めない(比率的にはハイリスクな)商品群を扱う当事者としては、値引きをしてさらに売上を減らし、赤字を拡大することへの不安は強い。現に、ご指摘のように、コンテンツには「売れないと高くなる」という性質もある。ここでは、本誌なりの問題提起として、価格問題へのアプローチをノートにまとめ、読者諸賢の批判に委ねたいと思う。 [ 続きを読む ]
アマゾンは8月24日、Kindle Daily Dealというマーケティング・プログラムを始めた。24時間限定で毎日1冊を大幅(初日は80%)に割引き、Kindle FacebookやTwitterを通じて宣伝、販売するもので、初日は2006年のベストブック50に選ばれたケイト・ディカミロの名作『エドワード・トゥレーンの不思議な旅』(The Miraculous Journey of Edward Tulane, Candlewick Press, 2006)でスタートした。通常価格$6.99を$1.39 (105円)で販売する。版元のキャンドルウィック社は、マサチューセッツ州サマーヴィルにある創業20年の独立系児童書出版社。 [ 続きを読む ]
価格戦略を中心としたマーケティング調査で定評のあるサイモン・クーヒャー社(Simon-Kucher & Partners)が、今年の4月に米国、英国、ドイツの3ヵ国の書籍購入者を対象に行った調査で、E-Bookの低価格化への要望が強いことが分かった(標本数=250)。とはいえ、そう単純ではない。おおむね印刷書籍の65~70%程度を適正水準と考えているようだが、消費者にとって本の購入は一種の投資であり、そこには結果に対する期待値と満足水準、失望への不安(つまりリスク)などが絡むからだ。なお大ざっぱに言って、E-Bookの普及率は、米国では一般消費者の10%台前半、それを追う英国で10%未満、ドイツでは1%台と見られる。
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E-Bookは徹底的にマーケット指向の商品であり、いくら価格を機械的に固定しようとしても、最適価格の追求は止めることが出来ない。出版社もオンラインストアも売上を最重視し、売上=利益はリアルタイムで計算できるからだ。4年あまりの米国での「社会実験」の結果、価格についてかなりのことが判明してきた。重要なことは、昨年はアップルとともにエージェンシー価格制の徹底に動いた大手出版社が、今年は姿勢を緩和し、市場から学ぼうという意識を持つようになったことだ。油断のならないパートナーであるアマゾンとともに。[全文=♥会員] [ 続きを読む ]
「消費財」でも「耐久財」でもあり、「買回り品」でも「生鮮品」でもある本の価格設定は最も難しいものの一つだろう。価格と販売額の関係もあまり分かっていない。だから、例えば高名な経済学者のように「ある本の販売総額はその本の内容によって決まっており、価格設定によって大きく変わることはない。」と言って片付けることもできた。[全文=♥会員]
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アマゾンは6月1日から15日までの半月、Kindle Sunshine Dealsという期間限定の販促キャンペーンを行っている。旅行シーズンを前に大幅ディスカウントを行って市場を刺激するとともに、価格の販促効果を計測しようという「社会実験」で、出版社の参加を得て、600点以上の書籍を、$0.99、$1.99、$2.99の3種類の価格で販売する。中堅以下の出版社が参加し、評価・実績の高かった既刊書を扱っている。eBook Market Viewによれば、最初の4日間でかなりの販売を記録したもようだ。 [ 続きを読む ]
世界的な市場調査会社であるGfK Groupは、無作為に抽出されたフランス人のインターネット・ユーザー1,000人を対象に行った読書傾向調査の結果を発表し、14%がE-Bookを読み、うち約半数がもっぱらE-Bookばかりを読んでいる、という結果を発表した。面白いのは、コンテンツの消費は平均3ユーロで、39%がオンライン書店を利用し、34%がアプリを使用する一方で、34%がもっぱら無償E-Bookだけを利用し、じつに29%が海賊版の利用を認めていることだ。デバイスは圧倒的にPCで、スマートフォンも多くはない。 [ 続きを読む ]
同じく本ではあっても、E-Bookと印刷本は本質的に異質な商品だ。同じ音楽を扱っていても、イベント、CD、ダウンロードが異質であるように、E-BookとP-Bookでは商品特性が違いすぎる。そこで問題は、印刷本を絶対的基準としている現在のE-Bookの標準的価格設定は全くの見当違いではないかということだ。そのことは(1)E-Bookネイティブな本におけるケース、(2)有名著者が複数の形態で出したケース、(3)一般商品の価格設定で使われる価格感度の分析などから、かなり具体的に明らかになってくる。これはE-Bookの場合、コストが一定なので単純に「売上最大化」だけを考えればよいためだ。そこから、E-BookとP-Bookの斬新な組合せ方の試行も始まっている。[全文=♥会員] [ 続きを読む ]