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	<title>EBook2.0 Forum&#187; 既刊本</title>
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		<title>米国のE-Book論争：(3) 論点と課題の整理</title>
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		<pubDate>Sat, 16 Jan 2010 11:44:20 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[最後に、米国での価値ある論争をもとに、論点と課題を整理してみたい。論争を通じて、出版という全体としての創造行為における出版社の役割の再確認と再定義が必要なことが浮かび上がってきたと思われる。数百万点にもおよぶ既刊本は、ネ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/debate.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-1131" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="debate" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/debate-300x300.jpg" alt="" width="101" height="101" /></a>最後に、米国での価値ある論争をもとに、論点と課題を整理してみたい。論争を通じて、出版という全体としての創造行為における出版社の役割の再確認と再定義が必要なことが浮かび上がってきたと思われる。数百万点にもおよぶ既刊本は、ネットビジネスにとってだけでなく、出版社にとって巨大な金鉱だ。それを社会的に最も妥当な方法で商品化することが問われている。<span id="more-1123"></span></p>
<h3>デジタル化に対する３つの見解</h3>
<p style="padding-left: 30px;">筆者なりに整理（抽象化）すると、論点としては、</p>
<ol>
<li> 出版の本質とは何か（紙とデジタルで何が変わるのか）</li>
<li>バリュープロセスと関係者の役割の再定義（変わらないものと変わるもの）</li>
<li>原版の出版社が電子版に対し「道義的」に主張可能な権利とその範囲</li>
</ol>
<p style="padding-left: 30px;">といったことが抽出できるように思われる。</p>
<p style="padding-left: 30px;">出版社とその関係者からすると、紙の本をそのまま電子化して出す、というのは、ペーパーバック（日本の文庫本のような位置づけ）や翻訳版となんら変わることがない。つまり<span style="color: #cc0000;">価格や形態以外の付加価値</span>がない。契約当時、世に存在していなかった「電子版」が明記されていないことをタテに、著者（ならまだしもその遺産継承者）がほかの出版社に電子版の権利を売るのは、たしかに「道義的」ではない。たぶん日本でも、ほとんどの出版関係者はそう考えるだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">しかし別の意見に耳を傾けることも必要だ。社会の情報環境はデジタルベースに移行しつつあり、人々は安くて便利な電子版を読みたいのに、悪く言えば紙の書籍の「既得権益」にしがみつく出版者のエゴで、電子化を渋り、あるいは絶版状態に置くなど、社会にとっての知的資産を企業の利益に従属させ、私的に扱っている。<span style="color: #cc0000;">電子化はそれ自体でも大きな付加価値</span>であり、著者と読者 (社会)にとっての経済的利益になるばかりか、文化の向上にもつながる。これが電子出版社やそのバックにあるアマゾンやGoogleの主張だ。ネットの世界ではこれが多数意見になるだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;">第3の意見が、エスポジト氏などの中道的な主張で、<span style="color: #cc0000;">作品とその社会的・文化的価値の形成に関わり、それを最もよく知るプロフェッショナルである原編集者は、電子版の開発に関わるべきで、著作権者の理解と支持を得るようにすべきだ</span>、というものだ。筆者もこれを支持する。著作権者が電子化したいというのを思い止まらせる権利は（法的にも道義的にも）原出版社にはない。しかし、原出版社は（道義的にも実際的にも）<span style="color: #cc0000;">電子版のファーストチョイスであるべき</span>ことを主張できる。これまで出版物のライフサイクルを管理してきており、読者と著者の関係を仲介してきた実績があるからだ。</p>
<h3>E-Bookはネットコンテンツ市場の振舞いに左右される</h3>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/shop1.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-1130" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="shop" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/shop1-300x225.jpg" alt="" width="240" height="180" /></a>筆者にはそこに問題を解く鍵があるように思われる。既刊本の中には、傑作も駄作もあり、ロングセラーもあれば初版で消え、一部読者の書棚の奥や図書館と古書店に流れた以外、ほとんど廃棄されてしまったものもある。現在では内容的に問題のあるものもあるだろう。出版社にとって長期的な経済的価値のあるのは、もちろんロングセラーで、これだけは何としても守りたい。著者や継承者は、自分の著書にまだ（経済的／非経済的）価値があると思えば、まだ世に出ていて欲しいと考える。読者は、当事者の思惑とは別に、なんらかの価値を見いだせれば、値段さえ折り合えば欲しいものがある。それが100年前の料理本であろうと、鉄道時刻表であろうと、同人誌であろうと、トンデモ本であろうと。<span style="color: #cc0000;">出版関係者は、紙の増刷・重版・復刊とはまったく違う経済性が生まれていることを知らない</span>（少なくとも数年前の常識を更新していないし、技術と方法を知るものは敢えて知らせないようにしている）。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/img209_file.jpg"><img class="alignright size-full wp-image-1127" title="img209_file" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/img209_file.jpg" alt="" width="205" height="154" /></a>デジタル化は、技術だけでなく「本」の出版と流通の経済的基盤（採算点）をまったく変えている。重要なことは、それと同時に既刊本の「価値」基準も変わるということだ。これも出版社の人には理解しにくいかもしれないが、電子化され、ネットに載った途端に、公式の価値基準とは別の基準で売買されることのほうが多くなるのだ。リストに置いておきさえすれば、社会的なトピックが既刊本の売れ行きに直結する。これは現在でもままあることだが、ネット上では（ブログのPVのように）、話題にさえなれば（値段しだいで）爆発的に売れることもあるだろう。100円でリストに並べていた「あんなもの」が、突如として1万ダウンロードを記録するとしても不思議ではない。それでボーナスが出たりすれば嬉しいではないか。古書店の店頭で野晒しになっていた<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%83%83%E3%82%AD%E6%9C%AC" target="_blank">ゾッキ本</a>が出版社を救う、夢のような話もあるかもしれない。電子化していさえすれば。なにしろ、旧出版社の既刊リストは膨大なのだ。プロレス全盛時代に山のように出た本や雑誌などは、そのままデジタル化しただけでもファンにとっては宝の山だ。</p>
<h3>出版社／編集者の新しい仕事：デジタル化こそが本を生き返らせる</h3>
<p style="padding-left: 30px;">ネット時代の出版企画は、したがって既刊本のネット販売のデータを見ながら判断することになる。また、学術、技術、芸術から没社会的なものまで、多様なコンテクストのSNSやWebのァナリティクスのデータを見ながら、社会や読者にとっての知識情報の価値を発見し、プロモートすることは、編集者の基本的な仕事となる。様々な形で読者がこれに参加することは言うまでもない。そこでサイン会などF2Fのリアルミーティングも必要になってくる。印刷すべきもの（たとえば販売率70％以上）を見極めることは、編集者だけでなく、出版社全体の仕事となるだろう。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/publishers.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-1129" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="publishers" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/publishers.jpg" alt="" width="202" height="152" /></a>デジタル化によって、出版のすべてのプロセスの可視化が容易になっている。オライリー社は、原稿段階の本を敢えて公開し、読者からのレスポンスを得ながら完成していく、というスタイルをとっている。これは衆知を集める crowd sourcing をシステム化したものだが、編集プロセスへの読者参加と言えるかもしれない。少なくとも技術書に関する限り、これは編集者の知識の限界を補い、読者の参加意識と誇りを共有する意味で効果的な方法だと思う。筆者は、出版のバリューチェーンとライフサイクル管理を図式化し、それぞれのステークホルダーの関与のレベルを示すモデルをつくりたいと考えている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">出版社は、既刊本の著者や権利者に対して、電子化についての基本的ポリシーを明らかにし、デジタル化に対する彼らの意向を把握すべきだろう。それは早ければ早いほど、納得を得られやすいと思う。　（鎌田、01/16/2010）</p>
<p style="padding-left: 30px;">
<p>関連記事：<br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles/" target="_self"> 米国のE-Book論争(1) 「道義」的問題</a><br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles-2/" target="_self"> 米国のE-Book論争(2)　紛争回避への模索</a></p>
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		<title>米国のE-Book論争：(2) 紛争回避への模索</title>
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		<pubDate>Sat, 16 Jan 2010 10:14:41 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
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		<description><![CDATA[米国での既刊本の電子化権をめぐる論争を紹介した本連載は、すでに多くの人に読まれており、日本でも関心が高いことがうかがえる。著者と出版社の間で、契約すら交わされずに出版が行われることもあったほど「相互信頼」が常識化されてい [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>米国での既刊本の電子化権をめぐる論争を紹介した本連載は、すでに多くの人に読まれており、日本でも関心が高いことがうかがえる。著者と出版社の間で、契約すら交わされずに出版が行われることもあったほど「相互信頼」が常識化されていた日本では、いったん紛争化すると米国より厄介かもしれない。重要なことは「未来志向」で出版の「社会的・経済的な価値」を高めるために、協力関係を再構築することだ。出版社の仕事も変わらなければならない。<span id="more-1116"></span></p>
<h3>寄稿への反響と「著者 vs.編集者」論争</h3>
<p style="padding-left: 30px;">エスポジト氏は<a href="http://scholarlykitchen.sspnet.org/2010/01/12/how-not-to-negotiate-for-digital-rights/" target="_blank">「デジタル化権交渉を避ける方法」</a>と題する小論で、まずギャラッシ氏への敬意を忘れていない。ラトガース大学出版で駆け出し編集者だった頃、同氏が『パブリシャーズ・ウィークリー』誌に寄せたエッセイ「煽動的行為としての出版」を読んで感激し、出版人として進むべき道について助言を請うたエピソードも紹介している。出版者はビジネスがどうであれ、出版する価値のあるものは何としてでも出版すべきだ、という趣旨だった由。エスポジト氏はその後、1990年代前半に Encyclopaedia BritannicaのCD-ROM版およびオンライン版を指揮し、出版社でのデジタル化プロジェクトの現場を経験した。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a title="本の制作現場を描くアラビアの写本" href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/arabic.jpg"><img class="alignright size-full wp-image-1122" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="arabic" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/arabic.jpg" alt="" width="200" height="325" /></a>彼はギャラッシ氏の主張の道義性を認める。完成した本は編集という特殊な創造的技能が必要で、電子版を出す場合には、オリジナル版に多大な貢献をした印刷版編集者が何らかの形で参加するようにすべきだ。しかし、それを強く主張するほど、著者がそれに耳を傾けることはない。本の「謝辞」ではあらゆる外交的賛辞を惜しまなかったとしても、作品の最終形態に対する編集者の貢献までは主張されたくない。感情を害されることもあるだろう。ギャラッシ氏の言い方は、まるで作家はボーキサイトの鉱石で、それを製錬しアルミ加工品にまでしたのは出版者（編集者）であると主張しているように聞こえる、と彼は言う。</p>
<p style="padding-left: 30px;">これはまったくその通りで、事実、この記事へのコメント欄では、「編集者 vs. 著者」で激しい議論が戦わされている。日本ではやって欲しくないと思うが、自分たちの仕事の価値を再認識する意味で、一度はガス抜きが必要かもしれない。難しいところだ。米国では「ライティング」の教育が徹底されており、さらに論争の参加者は修辞の達人たちだから、巧妙な比喩や効果的なデータなどを使ってやり取りすることになる。<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/T%E3%83%BBS%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88" target="_blank">T.S.エリオット</a>の『荒地』に手を入れた編集者で詩人の<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%BA%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89" target="_blank">エズラ・パウンド</a>の書き込みを見たことがあるかとか、去年出版された40万点の新刊の大部分に対し、出版社はどんな価値ある仕事をしたというのか、とか。高見の見物をする分にはおもしろい。もっとも、あまりにもエピソードが豊富な世界なので、比喩やレアケースをネタに使うのは止めよう、というルールがすぐ生まれたりもするので、理性的な議論の枠内で収まっている。けっして危ないところまではいかない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">エスポジト氏は、ランダムハウスは別の方法を選べたはずだ、という。問題となっているのは<span style="color: #cc0000;">オンライン・マーケティング、オンラインコミュニティの形成、著者専用Webサイトの商品化、トラフィックの監視、ユーザーのアクティビティ（から推定されるユーザー体験）、その他オンラインバリューチェーンの管理など、原出版社なればこそできるベストエフォートがあるはずだ</span>、と述べている。</p>
<p style="padding-left: 30px;">この指摘は、過去の因縁をつらつら持ちだすよりもずっと建設的だ。この辺りは、本サイトがいちばん関心を持っているところで（それが <span style="color: #cc0000;">Ebook2.0 </span>と名づけた所以だが）出版関係者もオンラインビジネスに目を開いてくれると信じている。本稿は話題を提供するのが目的ではないので、次にこれまで目にした中で論争の論点を整理してみたい。論争を通じて、偉大な編集者の仕事が再確認されたことはよかったと思う。編集者は、時に創造者でもミューズでもあり、パートナーであり、助手でもあり、時にたんなる読者でもある。しかし、編集者なしにまともな本ができるとは思えない。それどころか、オンライン時代にはより重要な役割を果たせるし、果たすべきだと考えている。（つづく）</p>
<p style="padding-left: 90px;">余談だが、筆者も駆け出しの編集者だった大昔、先輩に「編集者は、天を翔けるような仕事も、地を這うような仕事も、芸者のような仕事もできなければ勤まらない」と諭されたことを覚えている。これってどういう付加価値だったんだろう。</p>
<p style="padding-left: 90px;">
<h4 style="padding-left: 30px;">参考記事</h4>
<p style="padding-left: 60px;"><a href="http://scholarlykitchen.sspnet.org/2010/01/12/how-not-to-negotiate-for-digital-rights/" target="_blank">How Not to Negotiate for Digital Rights</a> by Jeseph Esposito, the scholarly Kitchen, 1/12/2010</p>
<p style="padding-left: 60px;">
<p>関連記事：<br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles-1/" target="_self"> 米国のE-Book論争：(1) 「道義」的問題</a><br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles-3/" target="_self"> 米国のE-Book論争：(3) 論点と課題の整理</a></p>
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		<title>米国のE-Book論争： (1)「道義」的問題</title>
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		<pubDate>Fri, 15 Jan 2010 08:19:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Editor</dc:creator>
				<category><![CDATA[Book Industries]]></category>
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		<category><![CDATA[既刊本]]></category>
		<category><![CDATA[著作権]]></category>

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		<description><![CDATA[ベストセラー著者の既刊本の版権問題 (12/16の記事参照)は、これからもしばらく後を引く問題となる。法的な問題のほうは、どうみても著者（と契約した電子出版社）側の勝利で確定しそうだが、（相互信頼に基づく）慣習は、道徳的 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/styron1.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-1094" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="styron1" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/styron1.jpg" alt="" width="130" height="122" /></a>ベストセラー著者の既刊本の版権問題 (<a href="http://www.ebook2forum.com/2009/12/ebook-as-a-time-bomb/" target="_blank">12/16の記事参照</a>)は、これからもしばらく後を引く問題となる。法的な問題のほうは、どうみても著者（と契約した電子出版社）側の勝利で確定しそうだが、（相互信頼に基づく）慣習は、道徳的感情とも絡んで単純ではない。価値ある出版が多くの関係者の創造的協力によって生まれるものであるとすれば、法律と市場に任せておいていい問題ではない。たとえアメリカでも、それは変わらない。<span id="more-1091"></span></p>
<h4 style="padding-left: 30px;">はじめに</h4>
<p style="padding-left: 30px;">米国での議論は、著名な出版人やE-Book編集者、出版編集者などを巻き込んで活発に展開されている。しかし、著者と編集者が険悪になっては出版は崩壊しかねないので、基本的には感情を抑制し、将来に向けて新しい関係をつくっていこうという前向きな内容が基調となっている。問題は世界中どこでも同じであるだけに、議論は日本でも共有されるべきだと思われる。それによってデジタル時代の出版の新しい価値が見出され、コンセンサスとして世界的に定着するプロセスがスムーズに進むことが期待される。</p>
<h3>著者と出版社の新しい関係を目ざして：道義的問題</h3>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Galassi.jpg"><img class="alignleft size-full wp-image-1100" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="Galassi" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Galassi.jpg" alt="" width="93" height="136" /></a>NY Timesのゲスト論説員で出版社社長の<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Jonathan_Galassi" target="_blank">ジョナサン・ギャラッシ</a>氏 (Jonathan Galassi＝写真中) は1月2日「出版はスクリーンに向かっていて出来るものではない」というエッセイを<a href="http://www.nytimes.com/2010/01/03/opinion/03galassi.html?pagewanted=print" target="_blank">寄稿</a>した。世界的ベストセラー『ソフィーの選択』(1979)などで知られる作者<a href="http://www.nytimes.com/2010/01/03/opinion/03galassi.html?pagewanted=print" target="_blank">ウィリアム・スタイロン </a>(1925- 2006=写真上) の権利継承者が、ランダムハウス社から出版していた数冊の著書の電子版を <a href="http://openroadmedia.com/" target="_blank">Open Road Integrated Media</a>社にライセンスしたことを取上げ、E-Bookというのは、出版のフロンティアではなく、単なる既刊本の焼き直しにすぎないのか、と疑問を投げかける。そしてランダムハウス社とその編集者が、1951年にスタイロンの処女作『暗闇に横たわれ』を世に出して以来（これは間違いで正確には次作以降）、大作家としての地位を築く支えとなってきたことを、作家自身の言葉を引用して述べている。</p>
<p style="padding-left: 30px;"><a href="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Loomis.jpg"><img class="size-medium wp-image-1098 alignright" style="margin-left: 8px; margin-right: 8px;" title="Loomis" src="http://www.ebook2forum.com/wp-content/uploads/Loomis-300x198.jpg" alt="" width="240" height="158" /></a>たしかに、歴史に残るようなしっかりした本は、まず出版者が著者の才能を発見するところから始まることが多い。何段階もの書き直しが行われ、綿密な校正・校閲を経て磨かれる。一流のブックデザイナーによる活字の選択やレイアウト、装丁を経て完成する。それで終わりではない。出版社はあらゆる方法でパブリシティを考え、多くの新聞雑誌の書評で取り上げてもらえるようアレンジする。営業はなるべく多くの予約注文を取れるように動き、版権管理部は、海外での翻訳や映画化を売り込む。出版社はその後も本の成長を見守る…。ギャラッシの論旨は「道義的に」とても説得力がある。いったい別の会社がランダムハウス社とは無関係に、かっさらうように電子版を出版できるのだろうか。</p>
<p style="padding-left: 30px;">米国社会を揺るがす問題作となったスタイロンの『ナット・ターナーの告白』(1967)には、スタイロンのオリジナル原稿以上のものが含まれている、と彼は言う。それは偉大な編集者、<a href="http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Loomis" target="_blank">ロバート・ルーミス</a>の手が入って出来上がった。のちの大作家の傑作が世に出るための出版社の関係者の苦闘は、電子版の理想的な候補を仕上げるためだったのだろうか！  オープンアクセスとなったこの時代、読者は出版人の仕事についてきちんと認識していただきたい。E-Bookのディストリビューターは、出版社ではなく仕出し屋にすぎない。出版物の最終的な形を決定したのは原出版者なのだ。たとえ本が将来印刷されなくなったとしても、ルーミスやその同僚たちが、60年以上にわたってスタイロンの作品に注ぎ込んできたような深い思いや配慮は失われることがあってはならない。</p>
<p style="padding-left: 30px;">さすが詩人にしてNYの有名雑誌の編集長を歴任した出版界の大物だけのことはある。こうまで言われると、参りました、と降参するほかない。少なくとも、著者からゴーストライター、編集者、清書屋まで、様々な立場で出版に関わったことがある筆者は。スタイロンも一時マグロウヒル社で編集者をしていた経験がある。著者と編集者の関係は近くて遠い。もちろん、ルーミス氏を知る昔気質の出版人ギャラッシ氏の嘆きに対して、共感する人ばかりではない。このエッセイはTwitterやブログで轟々たる反響を巻き起こした。筆者もまだ十分にフォローしていないが、大学図書館人の団体 <a href="http://www.sspnet.org/" target="_blank">Society of Scholarly Publishing (SSP)</a> のブログ、the scholarly kitchen にジョセフ・エスポジト氏 (Joseph Esposito)が書いた<a href="http://scholarlykitchen.sspnet.org/2010/01/12/how-not-to-negotiate-for-digital-rights/" target="_blank">反論</a>は、ギャラッシ氏に対する敬愛の念に溢れながらも、デジタル時代の価値創造における出版者の新しい役割を述べている点で評価も高く、コメントもハイレベルなので紹介してみたい。（続く）</p>
<h4 style="padding-left: 30px;">参考記事</h4>
<p style="padding-left: 60px;"><a href="http://www.nytimes.com/2010/01/03/opinion/03galassi.html?pagewanted=print" target="_blank">There’s More to Publishing Than Meets the Screen</a>, by Jonathan Galassi, NYTimes Online, 01/02/2010  (Mr. Galassi is the president of Farrar, Straus &amp; Giroux)</p>
<p style="padding-left: 60px;"><a href="http://scholarlykitchen.sspnet.org/2010/01/12/how-not-to-negotiate-for-digital-rights/" target="_blank">How Not to Negotiate for Digital Rights</a>, by Joseph Esposito, the scholarly kitchen, 01/12/2010</p>
<p style="padding-left: 60px;">
<p>関連記事：<br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles-2/" target="_self"> 米国のE-Book論争：(2) 紛争回避への模索</a><br />
<a href="http://www.ebook2forum.com/2010/01/controversy-over-copyright-of-existing-titles-3/" target="_self"> 米国のE-Book論争：(3) 論点と課題の整理</a></p>
]]></content:encoded>
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